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申し分ない動きを見せた馬とは!? 東西金杯出走馬の追い切りチェック

  • 2016年01月03日(日) 18時00分


万全の状態で出走できそうなトーセンスターダム

 あけましておめでとうございます。2016年もどうぞよろしくお願い致します。個人的に年末はお休みをいただいていまして、1月2日の調教からトレセン勤務。2日は挨拶回りと思っていましたが、意外と追い切る馬も多く、昨今の休み明けでも追い切ることに抵抗がないという状況を象徴しているようでした。

 3日は日曜日なので、本来は左回りですが、この日に限っては右回り。東西の金杯出走組はヤマカツエース(トレセンニュースで追い切り内容を速報しています)のように、中山への輸送があってもしっかりやるタイプもいれば、京都で当日輸送でも控えめにする馬とこちらもいろいろ。評価に悩むところですが、まずは東西の金杯をしっかりと的中させることができるように努力します。

【中山金杯/フルーキー】

 前走チャレンジCで念願の重賞制覇。昨年は同じローテーションで京都金杯に出走しましたが、今年は中山金杯へと目標を定めています。昨年はアクシデントがあったこともあり、状態に関して首を捻りたくなるようなところはありましたが、今年はそういった心配もなさそうです。

 それは1月3日の最終追い切りで坂路4F54.7秒をマークした点から想像できます。清水S時には最終追い切り場所が坂路で1着という実績があるので、さほど心配することではないかも知れません。しかし、追い切り本数が昨年時よりも少ない点も加味すると、決して前走時のような状態にあるという判断は難しいところでしょう。

【中山金杯/ベルーフ】

 セントライト記念、菊花賞、金鯱賞と決して大きく負けたわけではありませんが、京成杯時の完勝ぶりを振り返ると物足りないレース内容といってもよいでしょう。ただ、今回は実績のある小回りの芝2000m。舞台設定としては申し分ありません。

 しかし、肝心の状態に関しては首を捻りたいところ。追い切り本数が多いことは評価できますが、CWでの併せ馬では遅れて見映えしない動き。最近の成績が物語るように、なんだかパッとしない、そんな表現が適切な気がします。1月3日の坂路でも4F56.1秒と時計を出してきましたが、ラスト1F14.0秒。2014年の中山金杯優勝馬である、同厩舎オーシャンブルーも同じような調整だったので、これが凡走調教とは断言できませんが、馬個体の調教としては評価できません。

ベルーフ(2015年12月24日撮影)

最近の成績が物語るように、なんだかパッとしないベルーフ(2015年12月24日撮影)



【京都金杯/トーセンスターダム】

 マイルCS後はノーザンファームしがらきに放牧に出されて、12月15日に栗東へ帰厩。そこから順調に追い切りを重ねて、12月24日、12月31日のCWでの併せ馬ではきっちりと先着する動きを見せています。

 年が明けてからは、3日時点で時計を出していませんが、3日の坂路でのキャンターが4F64.7秒。気合の乗った雰囲気ある走りができていて、いかにもレースに向けて照準を合わせてきたという感じ。ひょっとしたら、4日は終いを伸ばす程度の調教になるかも知れませんが、そうすれば、レース間隔があいているとはいえ、万全の状態で出走することができそうです。

【京都金杯/マジェスティハーツ】

 左回りにこだわって使われた、近2走の新潟記念と金鯱賞ですが、今回は右回りで距離短縮。これまで京都競馬場は6走して、すべて4着以下になっているように、舞台適性は決して高いと思いませんが、右回りの方が爆発力があるというのが個人的な意見です。

 最終追い切りでもそんなところを感じました。全体時計が6F83.2秒と遅かったとはいえ、最後の直線は抜群の手応え。しっかり追えば、内に思いっ切りもたれそうでしたが、このくらいの動きをする時の方が実戦でも走るような気がします。ただ、全体的な調教内容としては少し物足りないですし、後方からの脚質という点は馬券的に割引であることは間違いないでしょう。

マジェスティハーツ(1月3日撮影)

全体的な調教内容としては少し物足りないマジェスティハーツ(1月3日撮影)



【京都金杯/オメガヴェンデッタ】

 スワンS3着以来のレース。そしてマイル戦は谷川岳S6着以来ということで、距離やレース間隔など少し課題が多いようにも思えるのが今回。しかし、12月8日にグリーンウッドから帰厩してからの追い切り内容に関しては申し分ありません。

 昨年のうちに坂路での追い切り本数を山のように積み、年が明けた1月2日はCWでの追い切り。坂路をキャンターで上がった後、角馬場でハローが終わるのを待ち、3コーナーから入場して4Fでの追い切りでした。このパターンが「返し馬」「待避所」「レース」という流れに思えて、馬にとっては実戦形式として非常に良いルーチンに思えます。

 ラヴアンドポップとの併せ馬では手応え優勢で、動きに関しては申し分ありません。昨年末からこの流れを取り入れている安田隆行厩舎。この馬の走りが今後の厩舎の調教方針の鍵を握っているかも知れません。

オメガヴェンデッタ(1月2日撮影)

動きに関しては申し分ないオメガヴェンデッタ(1月2日撮影)



◆次走要注意

・12/26 阪神C【ビッグアーサー】(1人/3着)

 調教内容に関しては特に問題なかったと思いますが、やはり距離。しかしここで1400mを経験できたことは、2016年にスプリントG1を狙う上で大きな意味を持つような気がします。
 これまで追い切りで引っ掛かるくらいの行きっぷりを見せていましたが、これがどのように変化してくるか。このあたりを見届けた上で、この馬の飛躍を見守りたいと思います。

[メモ登録用コメント] [芝1200m]最終追い切りが坂路でラスト1F最速ラップなら勝ち負け

・12/27 ハッピーエンドC【アドマイヤゴッド】(2人/1着)

 かなり大味な競馬になりましたが、最後はメンバー最速の上がりを使って、アルティマブラッドを差し切り。差し届かない中山芝でありながら、あんなレースができたのは、このクラスで力上位を示す結果でしょう。
 ただ、スプリントだからこそ見せたパフォーマンスであることも間違いありません。次走も厩舎の勝負調教なら。

[メモ登録用コメント] [芝1200m]須貝尚介厩舎の勝負調教なら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・万葉S【プランスペスカ】
 12月31日の坂路では、自己ベスト更新となる坂路4F51.5秒をマーク。「今、具合は過去最高」と騎乗する中山義一調教助手も語るほど。
 ただ、1月3日の坂路でも行きたがるところがあり、追い切り後もかなりテンションが高くなっています。すんなりとハナを切ってくれる馬がいて、自然と折り合うことができれば、かなり走れそうな気がします。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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