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リオンディーズはエピファネイアか?アルビアーノはキンシャサノキセキか?

  • 2016年03月03日(木) 12時00分


先週の中山記念は強い馬が強いレースをする圧巻のレースだった。ここから何頭の馬が海外へディパーチャーするのかわからないけれど、「名レースはG2から生まれる」という格言が思い出されるようなレースだった(そういう格言が実際あるのか自分は知らないけれど、あっても不思議じゃない)。

まあ名レースの価値はその瞬間に決まるだけではない。出走した馬のその後の活躍で変動したりもする。今でも語り継がれるサイレンススズカ・エルコンドルパサー・グラスワンダーの対決(毎日王冠)だって、サイレンススズカのその後の出来事だけでなく、エルコンドルパサー、グラスワンダーの活躍あってのものだ。しかもグラスワンダーは5着だった。それでも語りぐさに入れてもらえている。3着のサンライズフラッグ、4着のプレストシンボリをどの程度の人が覚えているだろう。そういう意味では、伝説の中身は今後の活躍次第でどうにでもなる。ドゥラメンテ・アンビシャス・リアルスティールで語り継がれて行きそうなムードがなんとなくあるけれど、それ以外の馬にも伝説入りするチャンスは十分ある。

思えば、アンライバルド・リーチザクラウン・ブエナビスタ・スリーロールスで決まった伝説の新馬戦だって、最初はアンライバルド・リーチザクラウン・ブエナビスタの伝説だった。スリーロールスが入れてもらえたのは菊花賞を勝ったあとだ。半年以上も遅れて仲間に入れてもらえていた。それを思うと、6着に負けたラストインパクトだって、ドバイのシーマクラシックでの活躍次第ではどうにでもなる(本命だったので未練あり)。もちろん他の馬にも伝説チャンスはある。

伝説かどうかはさておき、今週の弥生賞も上位人気馬で決まりそうなムードだ。
3人気まででくくるか、4人気まででくくるか?
そこを問われるような気もする。

予想では(水曜夜)
1人気 リオンディーズ(1.9)
2人気 エアスピネル(2.9)
3人気 マカヒキ(3.0)
4人気 タイセイサミット(15.6)

3強+もしかして1
そんな感じか。

マカヒキまでにするか、タイセイサミットを加えるか。

ちなみにこの10年で1・2・3人気で馬券圏内を独占したことはない!
だから「もしかして」を加える意味はある!2年前も1人気・4人気・2人気だった!
と言いたいところだけれど、11年前にはあった。
ディープインパクト(1人気)・アドマイヤジャパン(3人気)・マイネルレコルト(2人気)で決まっていた。

今年は騎手もソツがなさそうだし、乱れる要素は見つけにくい。

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弥生賞注目馬
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マカヒキ
(タイセイサミット)
(ヴィガーエッジ)

今年の弥生賞はマカヒキがリオンディーズ&エアスピネルより上か下かをたしかめるレースではないか?
それ以外の注目要素は見つけにくい。

仮にマカヒキの方が上だとなるとサトノダイヤモンド(にルメールが騎乗すると仮定して)の評価がさらに急騰しそう。
仮にマカヒキの方が下だとなるとリオンディーズ、エアスピネルとサトノダイヤモンドとの対決で盛り上がりそう。

自分にはPOG的な縛りがないので、どの馬が強くても構わないけれど、予想どおりにマカヒキが3人気ならば、馬券的にこの馬から買ってみたくなる。

タイセイサミットは4人気だからふつうに注目。っていうか拾う。
リオンディーズ・エアスピネルらが強いとしても、3連馬券で1・2・3人気を買う度量は自分にはない。予想3人気のマカヒキから買うなら、4人気を加えて、1・3・4人気、2・3・4人気の馬券を買いたくなりそう。小さい男の小さい抵抗だ。

ヴィガーエッジは鞍上が横山典だから。
少頭数で、かつガチガチのレースのときは奇襲戦法を打てる騎手に注目してしまう癖(へき)がある。今回のメンバーで奇襲戦法が似合うのは横山典と江田照だけど、江田照の馬は牝馬だから、ここではスルーすると横山典しかいなくなる。アドマイヤエイカンやプレイヤーサムソンに誰が騎乗するかで奇襲指数も替わるけれど、現状ではわからないので、そこは保留しておく。

ちなみに奇襲戦法とはここでは逃げ。縦長だけど、実はスローみたいなレースになると楽しい。正直、ヴィガーエッジがそれをやるとは思ってない。横山典に逃げは似合うけれど、大逃げは似合わない。でも江田照は似合う。ものすごく似合う。

江田照シャララが大きく逃げて、番手で横山典。横山典が番手につけて、江田照を自由に泳がせて、縦長のスローを産み出す。で、後続との距離を確かめつつの早めのスパート。そんな演出。そんな願望。人気馬のテーマはみんな「折り合い」のはずだから、途中までは上手くいく可能性はなくはない。それでも奇襲が通用するとは思ってないけれど、そういうレースにでもならないとお話にならないことを江田照や横山典は知ってると思い込みたい。

リオンディーズはエピファネイアの下だから、3歳の初戦で折り合いを欠く可能性もある。それを封じ込めるのがMデムーロの役目だろうけど、封じ込めるためにスパートをギリギリまで遅らせるかもしれない。

エアスピネルはデビューが1600だったのが気になる。なぜ1600だったのだろう?クラシックを歩ませようとしたら関西では1800デビューが圧倒的だ。「偶然です」と言う答えなら最高にハッピーだけれど、馬主ラッキーフィールド&生産社台F&笹田厩舎で「偶然」なんてあるのだろうか?もしかしたらデビュー前は目標NHKマイルだったとか?ずっと1600だった馬がここで通用しないと思わないけれど、折り合いに多少不安があったから1600を使っていた可能性はある。だとすると、ここでも折り合いに気をつけて競馬をするはず。

うむ、1、2人気が先を見据えて、折り合い重視の競馬をするなら、ほんの少しはチャンスが生まれるかもしれない。

リオンディーズ、エアスピネルと違って、マカヒキは最低でも3着、できれば連対して賞金の上乗せをしたいはず。それゆえのルメールのはずで、ここでは折り合いより結果が求められるはず。奇襲戦法をしそうなのは実はマカヒキだったりして。

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チューリップ賞注目馬
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シンハライト
ブランボヌール

シンハライトの兄姉は阪神の芝の方が得意な印象あり。
アダムスピーク  全3-1-0-4 阪神芝2-0-0-0
シンハディーパ  全1-1-2-7 阪神芝 未経験
リラヴァティ    全3-3-3-10 阪神芝 2-0-2-5
アダムスブリッジ 全2-0-1-2 阪神芝 1-0-1-0

シンハライトは京都で2戦2勝で、阪神初出走。
兄姉と同じなら、ここでポテンシャルを上げる可能性あり。実際、リラヴァティはチューリップ賞で3着して桜花賞の権利を取った。シンハライトは現時点ではリラヴァティより強そう。ならば連対の期待をしてもいいのではないか。

ブランボヌールは予想5人気。
その通りなら、鞍上岩田で南蛮漬けの漬かり頃。3着を念頭においた3連複の馬券を買いたくなる……んだけど、それをやってセンスのない馬券で外してるんだった。

複勝1本100万円!
そんな男になってみたい!

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オーシャンS注目馬
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アルビアーノを見ているとキンシャサノキセキを思い出す。
どちらも外国生産馬で、馬主がノーザンF系の吉田和美氏だからかもしれない。
でもキンシャサノキセキとアルビアーノの戦績を眺めていると共通点は多い。っていうかキンシャサで経験したことを凝縮させてきているようにも感じる。

キンシャサノキセキは新馬こそ芝1200だったけれど、そこからマイル路線を歩んで、NHKマイルで3着し、秋はマイルチャンピオンシップを5着した。

アルビアーノはNHKマイル2着、マイルチャンピオンシップ5着。似ている。

キンシャサノキセキは4歳時もまだマイルに未練を残すかのような使われ方をしてたけど、5歳になって吹っ切れたのかスプリンター路線を歩み出し、高松宮記念2-1-0-1、スプリンターズS0-2-0-1という成績を残した。

8歳でも高松宮を制して、その後引退したけれど、引退までの4戦はすべて外国人騎手が騎乗していた。
結果的に4歳時のマイルへの未練は無駄だったように思える。

アルビアーノは4歳でオーシャンSにルメールで出走する。オーシャンSにルメールで出走するということはふつうに考えて、高松宮もルメールで出走するということだろう。つまり、マイルへの未練を立ち、早々と外国人騎手にチェンジし、スプリンター路線に変更してきたということだ。キンシャサノキセキで経験したことを凝縮させているように感じるのはそのためだ。

おそらくここは1人気必至。Mデムーロとともに通年2年目で勝ちまくっているルメール騎乗なら1人気でもきっちり走らせそうではある。
でも今回が1200初出走というのは、ほんの少し気になる。キンシャサノキセキはデビュー戦で1200を1着して以後、マイル路線を歩んだ。4歳時はマイルへの未練を残したと書いたけれど、1200のセントウルSには出走していた。デビュー以来の1200だったからか、1人気で3着に敗れた。

鞍上ルメールなら、そのあたりのことも抜かりはないかもしれないけれど、初の1200競馬に戸惑い、追い上げて2着、いや3着の可能性も考えられなくはない。レース後コメントで「初メテノ1200デ、馬ガ少シ戸惑イマシタ。デモ次ハ、大丈夫デ〜ス」とか言いそうだ。

つまり、思う。仮にアルビアーノがキンシャサノキセキのように強いスプリンターになるとしても、今回は取りこぼす可能性もあるのではないか?

こういう場合はたいてい、逃げ先行馬を捕まえきれない敗戦だ。
中山実績を加味した上で、逃げか先行しなそうな馬で気になるのはネロやハクサンムーンやスカイキューティーだけど、1200だし、フルゲートだし、枠でも見ながら検討しよう。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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