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1頭は穴馬を盛り込んで

  • 2004年10月04日(月) 20時07分
 京都大賞典の行われる京都芝2400mというのは、基本的に本命サイドの決着が多いコースである。昔のエリザベス女王杯のイメージで捉えてはいけない。

 よく言えば人気上位馬が実力を発揮しやすいコース、悪く言えば穴党の出番がないコース。1994年以降、全馬を均等買いした場合の回収率は単64%・複65%とかなり低めである。しかも、下は未勝利から上はオープンまで軒並み低めの数値なのだから、これは構造上の問題と言ってもいい。

 堅いレースが多いならば人気上位馬を買えばいいじゃないかとお思いになるかもしれないが、人気上位馬で回収率が100%を超えるわけでもない。1〜4番人気の複勝回収率は順に85%・80%・86%・82%。この中途ハンパさが、どこからも切り込みようのない難しさを作っている。

 そんな中でも、特にやっかいな存在がサンデーサイレンス産駒だ。サンデーサイレンス産駒の成績は、

[13-17-12-100] 勝率9.2%・連対率21.1%
単回収率34%・複回収率57%

 トウカイオーザのような人気薄馬が一発穴をあけることはまずないし、アドマイヤグルーヴ(およびこちらに使ってくればゼンノロブロイ)も、それ自体に配当的魅力はないということだ。

 SSほど極端ではないが、トニービンなどメジャーどころの他の種牡馬も似た問題を抱えている。

 こういうとき、勝率や連対率ベースの「強さ」で馬券を買うと消極的なくじ引きのような事態になってしまう。3連複や3連単では、サンプル数の少ない血統・ローテの馬から無理にでも1頭盛り込んだほうがいい。結果的に的中率を下げるかもしれないが、期待値は上がる可能性がある。ハズレるにしても積極的に、という考え方だ。

 個人的にはマーブルチーフに期待したい。名うての京都巧者でも、この臨戦過程ではさほど人気にはならないだろう。しかし、チーフベアハート産駒というもの自体、片っ端から買っていい穴チームでもある。こういうときこそ2着・3着でいいから食い込んでもらいたい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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