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ジャパンC、ジャパンCダート

  • 2004年11月22日(月) 21時32分
【ジャパンC】

1頭外国馬を入れるとしたら……

 マイルCSはラクティの出遅れでえらい目に遭ったが、それでも外国馬を買いたくなるのがジャパンC。国際交流当然という世代の人には理解できないだろうが、JCといえば年に一度のハレの日という意識が私なぞにはまだある。

 ただ、外国馬は買いすぎても、買わなさすぎてもいけないものである。皆さん御存知のように、ゴールデンフェザントの年を最後にJCは日本馬中心の傾向が続いている。唯一の例外である2002年は中山開催だ。外国馬3頭の3連単などというものは成立する余地がなく、外国馬に本命だとそういう目も引くことになってしまう(とか書いている本人が、昨年の本命アンジュガブリエルだったのだが)。

 一方で、日本馬だけでは好配当が狙えない。昨年は馬単万馬券だったが、それでも「日本馬の中で人気順が4番目以内の馬」という原則はキープされている。せめて3着に外国馬が入ってくれるなどしないと、低配当の決着になってしまう。

 さて、その外国馬だが、よく問題にされるのが持ち時計だ。しかし、欧州のレースで日本並みの時計などというのは出しようがない。それよりは、

1.現地の標準タイムより速いレースで好走しているか
2.大陸をまたぐような遠征で好走したことがあるか
を重視すべきだろう。

 2.についてはハートレイク、スキーパラダイス、ケープオブグッドホープが当てはまるし、逆に先に日本で勝ち負けした馬ではフェアリーキングプローンやファルブラヴが他の遠征先で結果を出している。

 この原則で言うと、ウォーサンあたりは買えない。好走してきたコロネーションCやエクリプスSは標準か遅めの決着だったし、ポリッシュサマーが人気で勝ってしまうようなドバイシーマクラシックで5着。香港ヴァーズは3着だが、これもメンバーはいまひとつだった上に11着までダンゴの入線だった。

 「外国馬本命」はパワーズコートだ。2着したプリンスオブウェールズSも標準タイムより少し速かったし、高速決着だった愛チャンピオンSでも崩れていない。そもそも2000mに対応できるというのは今のJCに合っているし、ササッて行儀の悪い競馬を繰り返したもののアメリカ遠征で好走していることもプラスだ。

 同じ流れで穴を狙うならフェニックスリーチだろう。今年の3戦を「相手の強いところを使いすぎた」で言い訳し、加インターナショナルにのみ目を向ければ△くらいは付けられる。

【ジャパンCダート】

アドマイヤドンを負かす馬はいるか

 穴党を自称する私ではあるが、アドマイヤドンはさすがに外せない。負ける、あるいは馬券の対象から外れるとすればなんらかの形での自滅(出遅れなど)だろうが、データでそれを予期することはできない。

 そこで考え方を変えてみた。昨年のようにアドマイヤドンが惜敗するとしたら、負かすのはどの馬かという風に考えるのである。

 まず、ダートの中距離重賞における1番人気馬というものを見てみよう。

 95年以降の約10年間で、1700m以上の中央ダート重賞は63レース行われている(アラブ重賞を含む)。

 1番人気馬の成績は[16-9-6-32]で勝率25.4%。回収率は単複とも62%で、あまり高くない。

 単勝1倍台になるような馬はどうか。[4-2-2-5]で勝率30.8%。実はあまり高くない。回収率も単51%、複69%だ。

 その負け方を分類すると、大きく言って2つになる。

1.自分より前にいた馬に粘られる
2.きわどい競り合いになって競り負ける

 負けた9頭のうち、1に該当するのは5頭、2に該当するのが3頭、どちらでもないのが3頭(2003年JCDにおけるアドマイヤドンのように両方に該当する馬がいるので、合計は9にならない)。

 アドマイヤドンより後ろにいて叩き合いに持ち込めるような強い馬は今回いないので、狙うとしたら前々からの粘りこみを狙うしかない。

 実際にきわどい競馬をした実績ならナイキアディライトなのだが、今回はユートピアが出てきてしまい、ハナを叩かれるとJBCの二の舞になる公算が大きい。叩きに行くユートピアも、先行馬の多さからして末はもたないだろう。

 となると、その次にいる組だ。ローエングリンかトータルインパクトである。ローエングリンは久々のダートだが、500万下を勝ったときの強さを信じる手はある。

 一方、トータルインパクト。JCDでの外国馬は印象が悪いが、デキなしで来たリドパレスと、箸にも棒にもかからない欧州勢がイメージを下げすぎている面はある。デキがあって先行するアメリカ馬は2頭馬券に絡んでいるのだから、むしろよく走っている。状態を見ながらだが、アドマイヤドンを負かしても不思議ではない。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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