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「乗り替わられ馬」の買い方

  • 2005年07月18日(月) 17時05分
 函館記念のデータを調べていて、興味深い事実に気が付いた。

 前走と同じ騎手が乗った馬より、乗り替わりの馬のほうが成績が良いのである。

 函館記念は97年からハンデ戦に戻ったレースだが、騎手と斤量条件はあまり関連が無いと思われるので、単純に過去10年を対象としてみる。

 まず、前走と同じ騎手が乗っていたケースは[4-6-6-62]で勝率5.1%・連対率12.8%。回収率は単勝25%・複勝80%である。

 一方、乗り替わりは[6-4-4-59]で勝率8.2%・連対率13.7%。回収率は単勝184%・複勝120%で大幅にプラス決算だ。

 継続騎乗組も2ケタ人気で馬券に絡んだ馬が何頭かいるのだが、それでも回収率が伸びきっていない。その一方で乗り替わり馬の回収率はすさまじい。

 乗り替わり馬が活躍する構図にはふたつある。ひとつは、他場から転戦してきた馬が騎手を変えるケース。もうひとつは、馬も騎手も函館組だが「選ばれなかった」というケースである。前者も、重賞なのに騎手が馬についてこなかったわけだから、「選ばれなかった」と言えるだろう。

 函館組について例を挙げると、例えば昨年ワイルドスナイパーは松永幹→藤岡で9番人気3着したが、前任者の松永幹は3番人気7着だった(ダービーレグノ)。00年に7番人気2着だったオースミタイカンは横山典→小林徹だったが、このとき横山典はアドマイヤコジーンで1番人気6着だった。極めつけは99年で、6番人気1着のジョービッグバンと4番人気11着のブリリアントロード。どちらでも選べたはずの山田和が、後者を選んでいた。

 これらのケースに共通するのは、「乗り替わられ」で好走した馬が条件戦上がりだったということである。「選んだ選ばれた」の話でなく、当然のこととして乗り替わりになっていたのだ。

 こういうタイプの馬が来るときはレースにおいて格が通用しなくなっているわけで、前走騎手が乗った(選んだ)人気馬の方を買う必要が無いということになる。「乗り替わられた馬を買うときは、乗らなかった騎手は買わない」とすると購入点数も減らせるはずだ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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