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格よりもコース適性が重要な根岸S

  • 2019年01月25日(金) 18時00分

極端でない位置から競馬ができる馬は貴重


 根岸Sは過去10年、前走でオープンの10着以下だった馬は[0-0-1-24]と全く走っていない。基本的には前走の格に関わらず好走してきた馬が強いレースで、あとは馬自身の東京適性などを加味して考えていくのがいいだろう。

 サンライズノヴァは東京コースにこだわってきた馬。チャンピオンズカップは1800mでGIということもあり敗れたが、1400m・GIIIならば当然勝ち負けに絡んでくるべき馬だ。ただ極端な脚質の馬ではあるので、届ききらず2,3着という可能性は考えておきたい。

 コパノキッキングは連勝の勢いがあるが、1000-1200mタイプというところが気になる。過去10年の前走ダート1200m組は[1-3-1-51]。前走1200mかつ1400m以上オープンでの好走歴なしというと2010年のサマーウインドがいるが、同馬にしても1番人気2着だった。この馬自身、1400mは昨年の大スポ杯で1番人気4着だったこともある。脚質転換が距離への対応力に繋がっていればいいが、ちょっと今回は人気になりすぎのようにも思える。

 マテラスカイも1200mがベターだが1400mの重賞勝ちもある。前走は大外枠かつ内から突っ張られて自分の競馬ができなかった。府中の直線を粘りきれるのかと考えてしまうとちょっと不安はあるが、父スパイツタウンとこのコースの相性が良いこともあり、切るまでは踏み切れない。

 ユラノトは派手さこそないものの堅実で、いわゆる連軸としては魅力がある。武蔵野Sで先着された馬が2頭いるのでそこは強気になれないが、展開次第では先着の可能性もあると見る。

 ケイアイノーテックは初ダート。母がケイアイガーベラなのでダートをこなす可能性はあるが、重賞でいきなりがどうか。現30歳世代以下で、初ダートが重賞だったケースは、地方のダートを走っていた馬(09年シリウスS3着のゴールデンチケットなど)まで「(中央)初ダート」と見なしてもなお[5-5-5-146]。手詰まりになっていた馬がダートを使ったケースが多いとはいえ、単勝20倍未満に限定しても[5-4-3-42]で回収率は単63%・複58%。クロフネやメイショウボーラーのように劇的に新しい世界が広がる可能性もあるが、馬券的魅力は限定的だ。

 クインズサターンは脚質のわりに堅実なのだが、距離の1400mがどうか。いつも以上に置かれる可能性もある。直線を向いてしっかりギアが入ればこの距離でも馬券に絡む可能性はあるが、それでも2,3着と考えておいたほうがいいだろう。

 キタサンミカヅキは船橋移籍後の変わり身が素晴らしい。1200m中心に走ってきているので1400mが課題にはなるが、もちろん全く走れない距離ではない。地方馬の存在感を示す走りを期待したい。

 モーニンは7歳になったとはいえ、前走の内容からもまだ侮れない。近いところでは東京コースで良い着順がないが、もともとは東京巧者で2016年の覇者でもある。ひどく人気が落ちるようなら複穴として検討したい。

 逆にサトノファンタシーは格が不足する一方で、最近東京との相性が良い。極端でない位置から競馬ができる馬は、今回のメンバー構成の中では貴重。こちらも複穴候補になる。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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