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見どころに溢れている今年の大阪杯

  • 2019年03月29日(金) 18時00分

あの馬の逃げが他馬の運命も握っている


 今年の大阪杯、逃げるのはもちろんキセキだろう。無理に押さえ込むと行きたがるが、ハナへ行っていればどこかでペースを落とすこともできる。昨秋の3戦を見るとどういう逃げを打つかが読めないが、この馬としてはスタミナの余裕を生かしてくるようにも思う。いずれにしても、他馬の運命もこの馬によって決められる可能性がある。

 ブラストワンピースは重賞3勝のコースや展開が違いすぎて、本当の適性が読めない。有馬記念を勝ったくらいだから能力の絶対値が高いのは当然だが、どちらかというと上がり勝負を避けたほうが無難かと思う。キセキが緩めず逃げてくれればこの馬にとって追い風となるのでは。

 逆にワグネリアンは上がりの速さを生かしたいところ。サングレーザーあたりも同じグループか。サングレーザーは実際にキセキが逃げた天皇賞秋の2着馬だが、当時は残り600-400mが最速という特殊なラップだったので参考にしづらい。ただワグネリアンともども、消耗戦やロングスパートよりも短い距離を速い時計で走る競走のほうが歓迎であることは間違いない。

 単純に上がり上位に来ることが多いという点ではステルヴィオもいるが、同馬は2000mが微妙。前崩れのような競馬だと自身のスタミナが問題になるので、中緩みでいったん馬群が凝縮するような競馬が理想か。

 エアウィンザーは速い上がりを使う馬だが、どんな展開になってもある程度は対応できそう。ただまだGI実績が無いので、馬券においては、そのわりに人気になっていることをどう捕らえるかだろう。

 ペルシアンナイトも対応幅は広そう。超持続力タイプの競馬だった皐月賞でも好走している一方、上がりが速くても大きくは崩れていない。軸によさそうな馬だが、展開が極端になるとそこに強い適性のある馬に負けてしまう可能性もある。

 そのペルシアンナイトを含め、アルアイン、ダンビュライトと3連単100万馬券だった2017年皐月賞の1-3着馬が揃ったのは今年の密かな見どころ。エポカドーロも荒れた皐月賞(18年)の主役で、穴党はこれらの馬にそそられる面もある。スパート距離の長い競馬になるとこれらの馬が浮上して波乱になることもありそうだが、いまの競馬はなんだかんだで上がり偏重になりがちでもある。私自身はこちらのグループにそそられながらもデータの都合で違う角度から入らざるをえなさそう。ただ、穴党にはこちらのシナリオを勧めたいとも思っている。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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