▲福島で第3の馬生を過ごすメイショウカイドウ(撮影:佐々木祥恵)
月20日ほど研修生たちとともに
JRA競走馬リハビリテーションセンター所長の塩瀬友樹さんの案内で厩舎に到着すると、メイショウカイドウが馬房から顔をのぞかせていた。ターフに別れを告げてから約12年の歳月が流れ、今年20歳になったカイドウだが、まだ目力があり、表情も若々しい。カメラを向けると、こちらにチラッと視線を送ってくれた。そうこうしているうちに、入所している競走馬たちの午後のリハビリや手入れ等を終えた研修生たちがやって来て、カイドウの馬装を始めた。
午後3時過ぎ―これから研修生たちの騎乗訓練が行われるのだ。カイドウの隣の馬房には、黒っぽい馬がいた。2007年の天皇賞・春(GI)2着馬エリモエクスパイアだ。こちらは顔付きがシャープで、気性もキリッとしている印象を受ける。エリモエクスパイアも馬装をされて、研修生を背にした2頭は厩舎を出て馬場へと向かった。
▲キリっとした表情のエリモエクスパイア(撮影:佐々木祥恵)
騎乗訓練に使用されている馬場は、リハビリ中の現役競走馬が使用する際には、軽めの運動やウォーミングアップを行う角馬場の役割を果たしている。馬場の外側は1周400mのトラックコースになっており、前回も紹介した通り、このコースでリハビリ最終段階の騎乗調教が行われている。
20歳のカイドウと今年16歳になったというエリモエクスパイア。
「おじいさんとおじさんですね(笑)」と塩瀬さんは冗談めかして2頭を表現していたが、月に20日ほど研修生たちの練習相手をしているだけあって、両頭とも引き締まった体に映る。
▲馬場へ向かうカメイショウカイドウ(C)netkeiba.com
「カイドウは、加齢変化で背中が弓なりになってきていますけど、肩先の筋肉は現役の競走馬にも負けないぐらいしっかりついていますし、健康状態も至って良好ですね」(塩瀬さん)
研修生の指示に従ってスムーズな動きをするカイドウは、操縦性が良くて乗りやすそうに見受けられた。
「ハミ受けをさせてしっかりと動かして、駈歩までさせるという感じで、確実に乗るための練習に使うことが多いですね。ただカイドウは、日によって(動かす時に)とても重いので、少し苦労することもありますね」
と説明してくれたのは、筑波大学馬術部出身で研修生の貝塚秀樹さんだ。スムーズな動きに映った取材当日は、比較的反応良く動いていた日だったのかもしれない。