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【横山武史×藤岡佑介】第4回『GI初騎乗がダービー リオンリオン騎乗の舞台裏』

  • 2019年08月14日(水) 18時02分
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▲GI初騎乗がダービー、リオンリオン騎乗の舞台裏とは (撮影:山中博喜)


横山武史騎手をゲストにお迎えして対談。第4回の今回は、今年のダービーで大いに注目を集めた「リオンリオンの騎乗」について。父・横山典弘騎手の代打で、自身にとってはGI初騎乗。さぞかし緊張するかと思いきや、「レース自体に悔いは残さなかった」ときっぱり。「いねーよ、そんな若手(笑)」と佑介騎手も驚く、メンタルの強さに迫ります。

(取材・文=不破由妃子)


父からは細かい指摘はあれど「レース全体としてはよかった」


──フォームの改革が起爆剤となったのか、今年は1回小倉開催でリーディングを奪取。続く1回新潟でも開催リーディングに輝き、デビュー3年目にして大きな波を引き寄せました。

佑介 若手が注目を集めるための開催だと思うので、武史のように飛び出してくる若手がいるのはいいですよね。武史だって狙ってたでしょ?

武史 はい、狙ってました。でも、小倉でいうと、去年は2勝しかできなくて。だから最初は去年の数字を超えられたらいいなぁと思っていたんですけど、2週目からポンポンと勝つことができて、リーディングを狙える位置につけられたので。そこから(リーディングを)意識し始めた感じですね。

佑介 小倉、新潟と連続でリーディングを獲ったのはインパクトがあったよな。

──それはもちろんですが、たしか佑介さんは1年目に開催リーディングを獲ったような…。

佑介 はい。デビューした年の5月に新潟リーディングを獲りました。

武史 1年目!? 佑介さん、化け物ですね!

佑介 そんなことはないです(苦笑)。

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▲1年目に開催リーディング、武史騎手「佑介さん、化け物ですね!」 (撮影:山中博喜)


──連続リーディングで波に乗ったところで舞い込んできたのが、リオンリオンへの騎乗依頼。GI初騎乗がダービーなんて、さぞかし緊張しただろうな…と思っていたのですが、実はそうでもなかったとか。

武史 心臓バックバクになる覚悟をしていたぶん、なんか思ったより…っていう感じでしたね。もちろん緊張はしましたよ。ただ、「ヤバイ! どうしよう!」みたいにはならなかったというだけで。

佑介 今回は初騎乗で、しかもテン乗りだったでしょ? これがたとえば自分の手で前哨戦を勝ってのダービーだったら、むちゃくちゃ緊張したと思うよ。その差は絶対にあると思う。

 ただ、ダービージョッキーの息子としてダービーの重みは絶対にわかっているはずだから、若い子にありがちな強がりだとか、わけがわからなかっただけとかではなく、あくまで覚悟していたほどではなかった、っていうことだよな。

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▲前走の青葉賞は横山典弘騎手で逃げ切り勝ち、ダービーへの切符を手にした (撮影:下野雄規)


──なるほど。初騎乗に加えて逃げ馬でしたからね。老婆心ながら、スタートですべてが決まる逃げ馬って余計に緊張するんじゃないかと思っていました。

佑介 それは確かに。ダービーで逃げるって宣言したら絶対に逃げないとですからね。逃げられなかったりしたら、痛い目に遭いますから(苦笑)。

──クリンチャーでの苦い思い出が…(苦笑)。

武史 僕ね、逃げ宣言はしてないんですよ。「できれば前に行けたらいいなと思います」とは言いましたけど、それがいつのまにか逃げ宣言になっていて(笑)。

佑介 それはね、ダービーのような大きいレース特有の怖さだよ。少なくとも、俺はもう二度と逃げ宣言はしない(笑)。

──武史さんのダービーでの騎乗は、佑介さんの目にはどう映りましたか?

佑介 今の武史らしさが全面に出たダービーだったと思います。

武史 結果は残念でしたけど(15着)、レース自体に悔いは残さなかったです。

佑介 今はそう思えることが一番大事だと思う。そもそもダービーというのは、参加していないジョッキーがどうこう言ってはいけないレースだからね。武史の場合、ノリさんにもいろいろ言われただろうし。

武史 最初に「いいレースだったんじゃないか」とは言ってくれました。まぁ理想は向正面でもっとペースを落とすとか、そういう細かいところはいろいろ指摘されましたけど、レース全体としてはよかったと思うぞって。

佑介 そもそも俺は、武史が起用されたこと自体、全然ビックリしなかった。けっこうサプライズ選出みたいな報道のされ方をしていたけど、俺はノリさんが騎乗停止になった時点で「武史抜擢もあるな」と思っていたから。

 オーナー(寺田千代乃氏)も若手を応援しようという気持ちを持ってくださっている方だし、武史は幹夫さんの厩舎で勝ち鞍もあったしね。だから、むしろやっぱりなっていう感じだった。ノリさんの息子だからではなく、武史だから選ばれたんだと思うよ。

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▲佑介騎手「ノリさんの息子だからではなく、武史だから選ばれたんだと思う」 (撮影:山中博喜)


──「レース自体に悔いは残さなかった」と言い切れるのもすごいですよね。メンタルの強さを感じます。

佑介 普段のレースのあとに喋っていても、武史はすごく前向きな発言が多いんですよ。上手く乗れたときは、自分の口で「上手く乗れました」ってしっかり言えるし。

武史 自分でもそこは長所だと思っているので、「長所は?」と聞かれたら「ポジティブなところ」って答えてます。

佑介 さっきパラダイスガーデン(6月29日・函館11R・TVh杯・14番人気1着)の話になったときも、自分で「完璧に乗れた」って言ってたもんな。普通はなかなか言えないものだけど、完璧に乗れたんだからそれでいいと思うし、そう言える武史は本当にすごいと思うよ。

武史 そういうものですかね。僕の場合、そこはもう迷いなく(笑)。

佑介 いいねぇ(笑)。武史みたいな若手はいないからね。レースのあとも、普通の若手は「失敗してしまったんですけど、どうしたらよかったのか、一緒に(レース映像を)見てもらえませんか?」って言ってくるんだけど、武史の場合、「今のレース、めっちゃ上手く乗れたと思うんですけど、負けちゃったんですよ。ちょっと見てもらっていいですか?」だもんな。いねーよ、そんな若手(笑)。

(文中敬称略、次回へつづく)
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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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