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【天皇賞・春】大阪杯組不在の今年は阪神大賞典組を有力視

  • 2020年05月01日(金) 18時00分

ベテラン騎手の手腕にも注目


 1番人気が予想されるフィエールマンが大外枠に入ってしまった。大外からの優勝はアドマイヤジュピタの例などがあるが、それ以降は人気順を上回る着順を得た馬がいない。フィエールマン自身、昨年も道中やや力むようなシーンがあったし、外枠からの競馬は歓迎とは言えないだろう。

 ただそれでもこの馬には軽視できないだけの能力と長距離適性がある。昨年あの折り合いで他馬を完封したのだから、枠順の不利を跳ね返す余地はある。

 今年は大阪杯組がいないので、ステップレースとして有力なのはまず阪神大賞典組。ユーキャンスマイルは昨年5着なのでそこは強気になれないが、今年のほうが相手関係は楽な印象。また馬自身も昨年より良くなっている。

 阪神大賞典2着のトーセンカンビーナは馬券的な魅力がある馬。古馬になり使う距離が伸びて成績に繋がったあたり、さらなる距離延長で上積みの可能性も。ディープインパクト産駒にはいろいろなタイプがいるが、いわゆる「筋金入りのステイヤー」が出てきても不思議ではないし、むしろ本来はそちらが守備範囲だ。京都外回り2戦2勝というのも好材料。

 日経賞勝ちのミッキースワローは脚質的に自分で競馬は作れないので、展開が向いてほしいところ。ただ単純に前が崩れてくるような消耗戦になると、自分のスタミナにも響いてくる。長距離巧者の横山典騎手がどんな競馬をしてくるか。おそらく決め打ちのイン突きではないかと思うので、脚質的に競合する馬(騎手)は、この馬に対して先手を打ちたいところだ。

 同2着のモズベッロは52キロで日経新春杯を勝っただけでは評価できなかったが、日経賞2着(56キロ)でいよいよ本物という感じになってきた。3200mはやや不安な面もあるが、このレースで有利な1番枠を生かしたい。

 扱いが難しいのがキセキ。再審査はあっさりクリアしたようだが、なにかとメンタルのややこしい馬ではあるし、菊花賞以来勝っていないだけに1着前提の馬券は買いづらいところがある。ただ武豊騎手を試すというのは馬のタイプとしては面白そう。あっさりスタートを切って逃げでもした場合はやはり怖い存在だ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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