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【宝塚記念】梅雨どきの開催、求められるは切れより持続力

  • 2020年06月27日(土) 12時00分

レース史上最多のGI馬8頭に名勝負を予感


 ひそやかに咲く花のような、そんな趣のある宝塚記念。だが、どの馬も思いをこめてここに登場している。だからこそ、強い印象を人の心に刻んできた。この湿潤な季節に咲くアジサイ、クチナシ、ヤマボウシ、どれもが慎ましく目に映る。特にヤマボウシは、白い花が咲いて初めて、そこにあったことを思い出すことが多い。宝塚記念というレースは、しばしばそんな感慨にひたらせてくれた。だが、今年は華やかさが異なる。

 上半期の締めくくり、今年はなんとレース史上最多となる8頭ものGI馬が出てきた。海外に思いを馳せていたものがコロナ騒ぎでそれが叶わず国内へ。安田記念に次ぐGI馬の多さはそのせいもある。史上に残る名勝負が期待できるが、ここで出世の糸口をと思うものには絶好の試練の場となるだろう。

 いつも梅雨どきで雨の影響を受けやすく、レースは、切れより持続力のある脚を持っている馬が活躍してきた。この10年、ステイゴールド産駒が4頭で5勝、キングカメハメハ産駒が2勝して目立っている。やはり、気にしておくべきだ。

 さらには、阪神の内回り2200米はスタートして1コーナーまでが長く、ペースが上がらずポジションが取りやすいという特徴がある。ここで位置取りが悪かったものは、向正面から早目に動くことになる。直線が短かく360米弱しかないことも影響している。

 宝塚記念にはこういうイメージでチャレンジしてみたい。1番人気は5年連続勝っていないが、それほど難しい面があるので、その点は注意したい。なんとか2着に入った昨年のキセキはスローペースでの逃げだったし、追い込んで2着の2016年のドゥラメンテの時は、めずらしく速いペースだった。

 さてそうこう考えていって、有力馬を絞り込んでみたい。

 牝馬の時代、まず大阪杯で牡馬を破ったラッキーライラック。父のオルフェーヴルはステイゴールド産駒で自らもここを勝っていて、11年ぶりに牝馬で優勝したマリアライトと同じく、前年のエリザベス女王杯を勝っていた。体重がぐんぐん増えてきたのもいい。

 母の父にキングカメハメハが入っているブラストワンピースは、持久力戦に強く、父がKジョージを勝ったハービンジャーだから、馬場がしぶってもいい。牝馬で秋華賞馬クロノジェネシスも、父が凱旋門賞馬バゴでしぶった馬場がいいし、古馬になって成長している一頭だ。前年の皐月賞馬が宝塚記念でめぐりめぐって勝つことがよくあるので、サートゥルナーリアも。右回りの成績が光っている。伏兵には、GI7度目、ステイゴールド産駒のスティッフェリオを。春の天皇賞2着は力のある証拠だ。さて、これらをどう組み合わせるか。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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