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【宝塚記念】時期の影響もあり上がりだけの競馬になりにくいレース

  • 2020年06月26日(金) 18時00分

金鯱賞と違ったタイプの競馬を要求されるサートゥルナーリア


 宝塚記念の1番人気はサートゥルナーリアだろうか。金鯱賞を勝っていいムードで臨むが、今回はまた違ったタイプの競馬を要求される。

 金鯱賞を勝ったときの上がりは33秒2。それに対して宝塚記念は多くの年で上がり最速馬も35秒台。梅雨の時期で雨が絡みやすいこともあるが、中盤が緩みにくく上がりだけの競馬になりにくいことも影響している。

 サートゥルナーリアは大消耗戦だった昨年の有馬記念でも2着はしているので能力の絶対値が解決してくれる可能性はあるが、勝ち切るということについてはファンから過剰に期待されている面もあると思う。

 ラッキーライラックは完全復調の様子で、牡馬相手の競馬にも強い。近況に文句をつける点は一切ないが、こちらも馬のタイプがレースの特徴に合うかどうかがテーマ。エリザベス女王杯を上がり32秒8で勝ったような馬という点が、逆に良いのかどうかだ。ただ今年の宝塚記念がいきなり上がり特化型になる可能性もゼロではないので、そうなるとサートゥルナーリアとこの馬で堅い決着になってくる。

 クロノジェネシスはとにかく安定した馬で、路面も問わないで持続力勝負にも瞬発力勝負にもある程度対応できる。ただ狙ったところでしっかり勝ち切るという感じではなく、いわゆる連軸向きの印象。距離も2000mがベストかもしれないので、超のつく消耗戦になるとやや不安な面がある。

 ブラストワンピースはピンかパーかのタイプなので、常に警戒が必要。大阪杯はペースの上がったところを外から捲り上げて末を失うという、前年と全く同じ負け方だった。同じ阪神内回りでも宝塚記念のほうが外を回った差し馬も届いているし、もう一回期待してみたくなる馬だ。雨が軽く絡むのも悪くないだろう。

 ハービンジャー産駒は阪神芝2200mより2000mのほうが産駒全体の成績は良いのだが、この種牡馬は基本的に距離延長は歓迎だと思うので、そこも見限れない理由のひとつである。

 グローリーヴェイズは意外と人気が伸びてこないようだが、ドバイ往復からだいぶ時間も経っているし、状態面の問題はないだろう。2200mはやや短いと思われているかもしれないが、このレースはスタミナの余裕があったほうがよい。マイナス面があるとしたら内枠。14頭以上が揃った2000年以降の宝塚記念を見ると内枠から勝ったのは先行・好位タイプで、内枠から引くとややこしい競馬になりやすい。

 ワグネリアンも人気が伸びないが、JCでの3着があるし衰えたわけではないはず。若いときに比べると距離はあったほうがよい印象だし、瞬発力型だったものが持続力型になってきた印象。いずれも宝塚記念を戦う上では悪いことではない。

 キセキもトンネルの出口が見えないが、宝塚記念は強気の位置取りがうまくはまる年もある。後続が付きバテるような逃げを打つのが良いのではないかと思う。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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