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【有馬記念予想】有力馬たちが強調材料と不安を抱える難解な一戦

  • 2020年12月25日(金) 18時00分

牝馬の引退戦は無理をしないなどという噂が流れるが…


 今年の有馬記念は難解だ。ジャパンカップの1〜3着馬が不在のうえ、有力馬もそれぞれ強調材料と不安材料を抱えている。

 人気はクロノジェネシスだろうか。レース内容が安定していて自在性もあり、瞬発力勝負にも持続力勝負にも対応できる強みがある。ただ極端な消耗戦になると2500m向きのスタミナがあるかどうかは微妙。どんな競馬場でも好走してきたので大丈夫とは思うが、初の中山というのもプラス材料にはならない。

 フィエールマンはスタミナ勝負歓迎。基本的にステイヤーでありながら天皇賞秋であれだけ走るというのは、能力の高さを物語る。ただこれまで好走してきたのは外回りコースや東京のような長い直線ばかり。昨年の有馬記念にしても、展開を考えるともう少し走ってもよかったように思う。昨年より状態は良いと思えるので、そのぶん昨年よりどれだけ結果を伸ばせるか。

 ラッキーライラックは引退戦。よく牝馬の引退戦は無理をしないなどという噂が流れるが、実際に調べてみると一流牝馬の引退戦はよく走っており、最近もアーモンドアイが有終の美を飾ったばかり。この馬についても状態面の問題はないと見る。あとは乗り替わりがどう作用するか。福永騎手はおそらく控える戦法だと思うので、ある程度展開の助けは必要となる。

 オーソリティはこのレースに強い3歳馬というのが魅力。ただ過去に有馬記念で好走した3歳馬は、そのほとんどが既にGIで連対歴のあった馬。三冠レースに出ていないこの馬が同レベルにあるのか、そこをどう判断するかによって評価も変わってくる。ただ逃げるバビットも含め、3歳馬に注意は払っておきたいところだ。

 ワールドプレミアは3歳だった昨年に菊花賞勝ち→有馬記念3着。ただ今年は2キロの恩恵がなくなるうえに、昨年と比べて臨戦過程が良いとも言えない。個人的には昨年本命にした馬なのだが、今年は軽視している。

 カレンブーケドールは乗り替わりで臨む一戦。先頭に立つとやや気を抜いてしまう一方で、追い比べになると瞬発力に欠けるあたりが惜敗続きの原因だろう。勝つとしたら2、3番手から良いタイミングで抜け出す形。逆に控えすぎると伸びているものの3、4着あたりという結果になってしまうのではと見る。

 他に気になるのはブラストワンピース。有馬記念を勝っていて今年AJCC勝ち。今年は中山のGII以上に実績のある馬が少ないうえ、この馬としてはプラスの内枠を引いた。相変わらず馬体重は重いので軸にはできないが、ヒモ穴として意識しておきたい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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