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「僕の後ろをついてきて…」カノヤザクラと走ったアイビスSDでの思い出

  • 2021年07月20日(火) 18時01分
今週の『太論』は、先週のレース回顧とユーザー質問3連発。小倉のダート1000mでは、必ず小牧騎手の馬券を買っているというファンの「攻略法は?」という質問に対し、長年意識しているというレースの肝を明かしてくれました。そのほか、カノヤザクラで2連覇を達成したアイビスSDの思い出、この夏オススメの映画情報も!(取材・文:不破由妃子)
※このインタビューは電話取材で実施しました。

短い距離でも「ひと呼吸」──曾和先生の大事な教え


──土曜日の最終レース(小倉12R・3歳上1勝クラス・ダ1000m)では、ウェーブメジャーがいい脚を見せましたね(6番人気5着)。

小牧 うん。脚は使ってくれたけど、もうひと伸びやったねぇ。もともと1000mは合うだろうと思ってた。ただ、もうひとつスタートダッシュがつかなかったような感じでね。

──左右の馬が速かったことも影響しましたね。

小牧 そうやねん。どっちも(斤量が)軽くて、右の馬(ムジック4着)は52キロ、左の馬(キャンユーキッス7着)は49キロやったからね。ただ、1000mが合うことはわかった。スタート次第ではもっとやれると思うよ。

──2戦目となったワールドパレスは10着(7月18日・小倉2R・2歳未勝利)。宣言通り、初戦の1400mから1800mに延ばしましたが。

小牧 ん〜、なかなか脚を使わんね。乗り味のよさが、実戦で出てこない…。

──調教の時計は少しずつ詰まってきていますけどね。

小牧 そうやね。あとは、もう少し絞ってもいいかもしれん。調教は引き続きしっかり乗っていこうと思っているので、もうちょっと乗り込んでいきますわ。

──さて、今週から3週間は、新潟、函館の2場開催になります。小牧さんに限らず、小倉組のなかには、乗り馬の確保が難しくなるジョッキーも。

小牧 そうやねぇ。1頭でもいれば喜んで乗りに行くんやけど、なかなかおらんのが現状です。僕だけじゃなく、みんな厳しいやろうけど、なんとか夏休みにならんようにしたいね。

──では、ユーザーからの質問です。「小倉のダート1000mでは、必ず小牧騎手の馬券を買っています。フチサンメルチャンでも馬券を獲らせていただきました。前々で決まることが多いコースですが、小牧騎手は差してくることが多いような気がします。小牧騎手ならではの攻略法があるのですか?」

小牧 1000mでも行き切ることなく、一呼吸置くように乗ってますわ。まぁスピードが違えば、行くこともあるけどね。やっぱり一呼吸入れることが大事。

──確かに小倉ダート1000mの小牧さんの成績を見ると、好位、あるいは中団からの差しで馬券に絡んでいることが圧倒的に多いですね。2019年のニホンピロランドも、絶望的とも思える位置から差し切って。

小牧 ああ、そうやったね。短い距離でも一呼吸入れるようにしているのは昔から。これは曾和先生の教えやねん。ただ、差してくる馬であっても、スタートで遅れたらダメやけどね。

──ご自身でも得意意識はありますか?

小牧 うん。スタートさえ決まれば、いい競馬ができる自信はあるよ。

──続いては、「もうすぐアイビスSDです! 小牧騎手はカノヤザクラで連覇していますが、どちらも外枠だった印象があります。やはり、あのコースでは外枠が圧倒的に有利なのでしょうか。カノヤザクラは、どういった特徴を持った馬でしたか? 思い出を聞かせてください」という質問です。

小牧 アイビスは絶対に外です。ラチを頼れるのもそうやけど、外は馬場が荒れていないから。カノヤザクラはね、一瞬のスピードというより、スピードの持続性に優れた馬やった。ゲートが悪かったけど、アイビスのときはうまく一番外枠が当たって、後入れでね。勝つときはそんなもんや。懐かしいね。ただ、3度目のアイビスSDのときに故障してしまって…。

──ゴール直前でしたよね。

小牧 うん。ゴール手前で異変が起きて。その瞬間に(故障したことが)わかったね。馬は人間を頼るから、ゴール後に下馬したあとも僕の後ろをついてきて…。今でも思い出すとつらい気持ちになるね。

──では、最後の質問です。「映画好きな小牧騎手に質問です。夏休みはどこにも行かない予定なので、近場で映画でも観ようと思っています。小牧騎手がこれから観に行こうと思っている映画や、すでに観たなかでオススメがあれば教えてください!」

小牧 ここ1カ月で6本くらい観てるわ(笑)。最近上映されているのは、いい映画ばっかりやで。なかでもオススメは『キャラクター』。あの映画は、めっちゃおもしろかったわ。SEKAI NO OWARIのボーカル(Fukase)の人が初めて演技したって話題になっていたけど、彼の演技がむちゃくちゃ怖くてね。ただ怖いだけじゃなくて、内容もすごく濃くて、今なら一番のオススメやね。あとは、この前に観た『夏への扉』もおもしろかった。

──山崎賢人さんが主演の映画ですね。

小牧 そうそう。未来に行ったり過去に戻ったりする話で、最後にそれが全部つながってくるんですわ。あの映画も、すごくおもしろかった。これから観ようと思っているのは、韓国映画の『SEOBOK/ソボク』やね。永遠の命を持つクローンの男の子と彼を守る人の物語で、近々観に行こうと思っているので、また感想を報告するよ。
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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