中山牝馬Sは牝馬限定でハンデ戦という、一見無法地帯な重賞だが、実は「格」がモノを言うレースである。
前走条件戦組が馬券に絡むことはほとんどないし、斤量減が幸いして連対するレースというのも極めて稀である。また、前走クラス別成績で見ると、前走GI・GIIに出走していた馬を買った場合の回収率が高く、かつ連対率も高い「いいことづくめ」になっている。
しかし、今年はそれをそのまま応用してよいかどうか少し考えるところだ。前走GI・GII組というのが、秋華賞のあと休み明けでここへ臨むニシノナースコールと、ダート交流のエンプレス杯から来る2頭しかいないのである。
秋華賞からここというのは過去に例が無いが、普通に考えてニシノナースコールの地力なら通用しそうにも見える。しかしデータ以前の問題がある。ニシノナースコールはこの原稿を書いている時点で除外対象であり、しかも順番的にかなり厳しい除外対象なのだ。
もしこのまま除外になってしまった場合、エンプレス杯組の2頭に期待することになるが、果たして前走ダートというのはどうなのだろう?しかも惨敗してきた直後だ。
結論を先に言うと、問題はないように思う。エンプレス杯からここへ来た馬は過去10年で3頭。馬券に絡んだ馬はいないがいずれも超人気薄ばかりで、そんな中から14番人気4着のオルレアン(しかも3着とハナ差)が出ている。
前走ダートから中山牝馬S好走を果たした馬は3頭で、メジロランバダ、レッドチリペッパー、エイシンルーデンス。いずれも優勝しており、ダートの専門家というよりは「本職は芝」という色彩の強い馬だ。
エンプレス杯組のライラプスとジェダイトも、今のところダートに強いとは言えない馬。本職に戻るという意味で今回は注目に値するところだ。