スマートフォン版へ

【チャンピオンズC】『クロフネからソダシ』父子2代にわたる伝説の誕生

  • 2021年12月04日(土) 12時00分

その後は父が達成出来なかった世界制覇の続きを…



「リアル二刀流、ショータイム」が流行語大賞に選ばれた。大谷翔平選手の話題でこの一年を終えようとしているところに、白毛のアイドル二刀流が、これを追いかけてきた。果たして競馬界の大谷翔平は誕生するのか、今年のチャンピオンズCはソダシの話題が目立っている。

 無傷の4連勝で阪神ジュベナイルFを勝ち、年明け桜花賞馬になった頃は、白毛初のGI制覇とたたえられたが、オークスで初めて敗戦を喫したあと、夏の札幌記念を古馬を相手に勝ったときから、芝、ダート兼用の声が上がるようになってきた。斤量の52キロは魅力だったが、大外枠からとび出し2番手で流れに乗り、残り800米、まくってきたブラストワンピースに並びかけられたが先頭はゆずらず、4角手前から早目のスパートでリードを広げ、ラヴズオンリーユー、ペルシアンナイトのGI馬2頭も振り切っていた。

 デビューから2連勝を飾った洋芝での復活は、ソダシの将来に明かるい灯をともしたと誰もが感じたが、クロフネ産駒で2000米の重賞を勝ったのは初めてであり、この勝利には大きな意味があった。白毛の女王につきまとっていた距離の壁という不安を振り払ったことで、新たな物語が始まったと言える。

 そのあとの秋華賞の惨敗は、その白毛故の異様なまでの周囲の過熱ぶりで平常心をなくしてしまったのが原因と考えているので、今度は父と同じく芝とダート双方のGI勝利の可能性は高いのではないか。父子2代にわたる伝説の誕生に期待してみたい。

 クロフネがNHKマイルCと当時のジャパンCダートのJRAの芝、ダートのGIを制覇したのが2001年。ダービーが外国産馬に開放された年で、そのダービーは5着だった。秋は距離を考え天皇賞のマル外出走枠2つをめざしたが、直前にアグネスデジタルが参戦したため、急きょダート重賞武蔵野Sに出走し、2着に9馬身差をつけレコード勝ち。底知れぬ能力を見せつけてのぞんだのがジャパンCダートだった。

 今ではダート伝説になっているが、ダートの本場米国から、前走、ブリーダーズCクラシックを連覇したティズナウを破ったリドパレスが参戦、これを2100米2分5秒9の驚異的レコードで7馬身差とまたしても圧倒したのだった。その強さは世界的レベルと言われたが、右前浅屈腱炎が発症して突如引退となり、ドバイワールドC優勝の夢は、その産駒たちに託されている。

 この伝説の続きをソダシが受け継ぐことが出来るか。3歳牝馬の斤量54キロも味方に、父子二刀流の完成を期待してみたい。そしてこの続編をドバイワールドCへと広げてもらいたい。これを今年2着と快走したチュウワウィザード、ひと足先に芝からダート路線に切り換え、二刀流を続けるエアスピネルとキングカメハメハ産駒にも物語性が見えてくるので注目してみたい。

「冬晴れや ドバイの夢が この先に」

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング