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国内最大規模を誇る「サマーセール」が開催

  • 2022年09月15日(木) 18時00分

前年を上回った5日間の総売り上げ


 国内最大規模を誇る「サマーセール」が、去る8月22日(月)〜26日(金)の5日間の日程で新ひだか町静内の北海道市場を会場に開催された。今年の上場頭数は、1237頭(牡681頭、牝556頭)と、昨年より99頭少ない頭数となったが、落札頭数は958頭(牡549頭、牝409頭)と、前年比46頭の減少にとどまり、売却率は昨年から2.3ポイント上昇して77.4%に達した。

 5日間の総売り上げは、同セール初の70億円の大台に乗り、70億2471万円(税込み)に達して、前年を1.6%上回った。

 平均価格もまた、前年比6.5%増の733万2682万円となり、初めて700万円台を記録した。なお中間価格は前年と同じく、550万円であった。

 税込み3000万円以上の取引馬は昨年の5頭から1頭増加し6頭。また1000万円以上の取引馬は前年の175頭から21頭増えて196頭に達した。

 購買登録者数は1523名で前年比147名の増。またオンラインビット購買者登録数も103名と前年より5名の増。

生産地便り

▲ファーゴの2021


 5日間を通じての最高価格馬は、651番、ファーゴ2021(牡栗毛、父マインドユアビスケッツ、母の父ハーツクライ)の4180万円(落札価格3800万円)で、生産、販売者、飼養者ともに岡田スタッド。落札者は松本好雄氏。

 母のファーゴは、2009年生まれで、現役時代23戦3勝2着3回3着1回、4047万円の獲得賞金という成績を残しており、産駒には2019年にシンザン記念を勝ったヴァルディゼール(父ロードカナロア)がいる。

生産地便り

▲ハイノリッジの2021


 また第二位は、371番ハイノリッジ2021(牡鹿毛、父ミッキーアイル、母の父マンハッタンカフェ)の4070万円(落札価格3700万円)であった。母ハイノリッジの産駒はタイガーアチーヴ(父クロフネ、東海公営11勝、石川1勝)、ペイシャノリッジ(父クロフネ、駒場特別など3勝)、セイウンハーデス(父シルバーステート、プリンシパルステークスなど2勝=現役)等、堅実な成績を残している。生産、販売申込者は鮫川啓一氏。飼養者は(株)木村育成牧場。落札者は(株)カナヤマホールディングス。

生産地便り

▲ショウナンアオバの2021


 牝馬では、312番ショウナンアオバ2021(黒鹿毛、父ゴールドシップ、母の父キングカメハメハ)の2915万円(落札価格2650万円)が最高価格であった。母ショウナンアオバは、トンボイ(父アドマイヤマックス、戎橋特別など2勝)、ロードベイリーフ(父ヴァンセンヌ、4勝=現役)等をすでに生んでいる。生産、販売申込者、飼養者いずれも(有)大北牧場。落札者は(有)ケイアイファーム。

 価格上位10傑(第10位は同額のため11頭)のうち、牡は7頭、牝馬は4頭という内訳であった。

 種牡馬別の成績では、平均価格の高い順に、まずエピファネイアが2頭上場で2頭売却、2365万円、続いてレイデオロの3頭上場2頭売却、2200万円、キズナ3頭上場2頭売却の1853万5000円、ダイワメジャー7頭上場7頭売却の1763万1428円、ゴールドシップの3頭上場3頭売却で1631万6666円が上位5傑である。

 以下、主だったところを拾っていくと、シャンハイボビー13頭中13頭売却1626万円、ヘニーヒューズ11頭中10頭売却1501万円、マインドユアビスケッツ10頭中8頭売却の1178万円、シニスターミニスターの23頭中23頭売却で1145万円、シルバーステート14頭中12頭売却で1108万円、ホッコータルマエ30頭中28頭売却1050万円、イスラボニータ14頭中12頭売却1032万円、パイロ19頭中17頭売却で929万円、エスポワールシチーの18頭中18頭売却で916万円、などが平均価格の高い中では目についた。

 コロナ禍も3年目になり、さらにウクライナ情勢や原油高、円安など、日本経済を取り巻く環境は決して明るいとは言い難いが、引き続き競馬は堅調に推移している。とりわけ各地の地方競馬は依然として好調をキープしており、今回のサマーセールでも、それら地方競馬の補助馬購買が活発なセリを下支えしたのは間違いないところだ。

生産地便り

▲古川雅且組合長


 5日間を総括して主催者の日高軽種馬農協・古川雅且組合長は「予想を上回る結果に大変驚いております。今回の市場は、中央、地方の売り上げが依然として好調なことや、中央、地方の垣根のないダート3冠競走の創設が発表され、ダート適性のある1歳馬の需要が高まったこと、各地方競馬の補助馬購買制度がさらに充実してきたことなどいくつもの追い風となる要素がありました」と分析し「今後も各位には生産馬をどの市場に上場させるのがベストなのかを慎重に検討してもらいながら、さらなる購買者ニーズに応える市場運営を目指したい」とコメントした。

生産地便り

▲マドリガルスコアの2021


 最後に、5日目に登場した道立静内農業高校の生産馬マドリガルスコア2021について。今年も高校生が引くフレッシュな姿が市場内に明るいムードを提供し、同馬は昨年に引き続いて(有)ミルファームの清水敏氏によって700万円(取引価格770万円)で落札され注目を集めた。

生産地便り

▲▼マドリガルスコアの2021


生産地便り


生産地便り

▲▼マドリガルスコアの2021


生産地便り


生産地便り

▲マドリガルスコアの2021


 清水氏は「昨年、静内農高の生徒たちとの心温まる交流が生まれたので、今年も落札させて頂きました。今後、調教を進めて行く過程で、また昨年と同じように静農の生徒たちに馬名を付けてもらう予定でおります」とセール後報道陣に語っていた。

 父アニマルキングダムの牡馬である。この馬の今後にも引き続き注目しておきたい。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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