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【マイルCS】上昇が著しい3歳マイルチャンピオンの誕生

  • 2022年11月21日(月) 18時00分

直線勝負に徹し、鮮やかな騎乗だったレーン騎手


重賞レース回顧

マイルCSを制覇したセリフォス(C)netkeiba.com


 ゴール寸前は大接戦。最速の上がり33秒0で一気に1馬身以上も差し切ったのはセリフォス(父ダイワメジャー)。上昇著しい3歳のマイルチャンピオン誕生だった。

 後方を進み、4コーナーを回った地点では最後方にも近い位置取りになったが、慌てることなく直線勝負に徹したD.レーン騎手の鮮やかな騎乗だった。

 予測されたようにレースはスローの流れで、前後半「46秒6-45秒9」=1分32秒5。1000m通過は58秒5。早めに動いたライバルもいたが、最初から最後の爆発力勝負になるのを察知していたかのようにスパートを待ち、迷うことなく芝状態のいい一番外に出したのが最大の勝因。

 この日、馬場の内寄りを通って差し切った馬も出現した難しい芝コンディションだったが、ロスを承知で外を狙ったセリフォス(レーン)は、他馬と接触することも、交錯して進路を変えることもなかった。

 現在21歳の父ダイワメジャー(その父サンデーサイレンス)は、2006年、2007年のこのGIを連勝しているが、簡単にはバテない粘り強い先行を生かして乗り切る戦法。代表産駒にも直線一気型はあまり多くないが、これほど切れる馬は珍しい。3歳セリフォスはすべてマイル戦への出走で【5-1-0-2】。5勝はすべて0秒2差以内。負けた3戦もすべて0秒1-3差。12月の香港マイルは辞退しているとされるので、次走の展望は難しいが、ことマイル戦ならこれからもめったに崩れないだろう。

 2着ダノンザキッド(父ジャスタウェイ)は、好位の馬群の中で終始もまれる苦しい展開。直線は他馬と接触のシーンもあったが、新馬快勝以来の騎乗となった北村友一ジョッキーの闘志あふれる騎乗で詰めの甘さを見せなかった。乗り替わりで人気を落としたところもあるので、このGI2着は勝ち星にも等しい価値があるだろう。香港マイルに挑戦予定なので、コンビで【1-1-0-0】の北村友一騎手の連続騎乗の可能性がある。

 ソダシ(父クロフネ)は、正攻法の好位追走から懸命に伸びた。切れる男馬相手に、最後「11秒6-10秒8-11秒6」となった。爆発力勝負は有利ではないはずで、ダノンザキッドと接触したと映るシーンもあった。この3着は、負けたとはいえさらに評価の上がる素晴らしい快走だった。

 1番人気のシュネルマイスター(父Kingmanキングマン)はダノンザキッドの直後で、最初からきびしい位置取り。スムーズともいえない追走になったうえ、直線は外に出そうとしたが他馬も伸びているのでスペースがなかった。切れるが、少しばかり器用なタイプではない死角が出てしまった。

 内を狙う形になったジャスティンカフェ(父エピファネイア)は、ほかにも内に進路を探した馬がいたため、挟まれる場面があった。スローな流れでまだみんなが伸びようとしていた大接戦だけに、仕方がない不利といえる。

 3番人気のサリオス(父ハーツクライ)は、スタートで気合を入れ好位につける作戦だったと思えるが、行き脚もう一歩。勝ったセリフォスと同じような後方追走になったあと、思い切って外の回った勝ち馬に対し、サリオスは馬群にスペースを探さなければならない位置になり、ずっと前にカベが生じていたように映った。緩い馬場が合わなかったともいえるが、さすがのR.ムーア騎手も厳しく追う態勢に持ち込めなかった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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