今、絶対にひとつ、夢を叶えてくれるとしたら…

──先週はハワイアンパレスがデビュー(12月4日・阪神6R・ダ1400m)。9着という結果でしたが、まずは初戦の印象を。

小牧　返し馬では、すごくいい感じやった。ダートも合うし、走りもすごく力強くてね。これはいい勝負ができるんちゃうかなと思って、久しぶりにドキドキしながら乗ってたわ。でも、レースにいったら、なんかマイペースやったね。ちょっと残念やった。

──スタートから中盤にかけては、いい感じで追走しているように見えたんですけどね。

小牧　うん。でも、どうもマイペースで。なんか久しぶりに追わされたわ。馬主さん(小林量氏)も、競馬場にきていたからね。毅(弟)とふたりでパドックにきてくれて。

──そうでしたか。いいところを見せたかったですね。

小牧　一生懸命に乗ったけどね。次はちょっと距離を延ばしてみようと思ってる。一度使って上積みもあるやろうし、良くなってくることを信じて頑張りますわ。

──ワンダーブレットが調教を開始。11月30日に小牧さんが乗って時計を出していましたが、どんな感触でしたか？

小牧　ワンダーブレット、いい感じです。まだちょっと太いけど、馬は本当にいい。年内はワンダーブレットに懸けますわ。

──2歳馬は放牧に出ている馬が多いですものね。来年改めて。

小牧　うん。来年、また乗れるからね。

──来年といえば、サワーホマレーやキャロリンの馬主さん、伊藤永二郎さんの1歳馬が、来年も笹田厩舎に入るそうですね。

小牧　そうそう。馬名を考えていて、ヤルキゲンキフトシにしようかなとか言っとったで(笑)。

──伊藤オーナー、遊んでる(笑)。

小牧　完全に遊んでるよ(笑)。でも、まだ1歳やろ？

──早い馬なら半年後には入厩しますよ。

小牧　あ、そうか。じゃあ来年も乗っとかなアカンね。

──そうですよ！ なにしろ伊藤オーナーは、小牧さんのためにオーナーになったんですから。

小牧　十三の飲み仲間やからね。

──ゴルフ仲間だとおっしゃっていませんでしたっけ？

小牧　いや、もともとの出会いは全然違うねん。ずいぶん昔の話やけど、曾和くん(曾和直榮元調教師の息子である栄司氏)つながりで、 全日本の男子バレーボール選手の滝行に連れて行ってもらったことがあってね(曾和栄司さんは、JVA日本バレーボール協会認定トレーナーの資格を持っています)。なぜかそこに伊藤さんもいたんや。

──そうでしたか。ちなみに、小牧さんも滝行をやったんですか？

小牧　一回だけ(笑)。伊藤さんとは、同級生ということもあって、すぐに仲良くなった。以来、十三で飲むようになって、ゴルフにも一緒に行き出して。いまや家族ぐるみの付き合いや。

──伊藤オーナーは、もともとスポーツ関係の方なんですか？

小牧　今は全然違う業界にいるけど、昔はK-1の選手やったらしい。でね、アンディ・フグと戦ったこともあるんやて。だから、伊藤さんを人に引き合わせたときは、「アンディ・フグと戦った男です」って紹介してる(笑)。

──すごい経歴！ それにしても、夢が広がりますね。松島オーナーと武豊騎手のように、いつか伊藤オーナーと小牧さんの胸熱ストーリーを紹介したい。

小牧　ホンマやね。恩返しできるように頑張らな。

──そんな小牧さんに、ちょうどいい質問というか、こんなリクエストがきています。「サッカーの三浦知良選手の名言に『夢は語ったほうがいい。言わなきゃ何も始まらない』という言葉があります。苦しい今だからこそ、小牧騎手にもぜひ夢を語ってほしいです」。

小牧　すごい偶然やけど、さっきたまたま「もし何かひとつ、夢を叶えてくれるんやったら、何をお願いしようかな」って、ずーっと考えてた。というのも、今日ね、映画を観に行ったんやけど、始まる前の予告編のひとつに「夢をひとつ叶えてあげます」というような内容のアニメがあって。それを見て、ふと考え始めた。

──ものすごいタイミングですね。

小牧　そうやね。いろいろ考えたんやけど、やっぱりね、ダービーを勝つことかなって。絶対にひとつ夢を叶えてくれるんやったら、やっぱりダービーを勝ちたいなって思った。

──その夢を、伊藤オーナーと叶えられたら…。

小牧　最高やね。2歳馬もいるし、1歳馬も控えてる。甘くない世界なのは十分わかっているけど、まだまだ夢は終わらないよ。