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今年は重賞実績の無い馬にもチャンス?

  • 2006年05月15日(月) 23時50分
 かつて、前走で500万下を勝ったばかりの馬がオークスでも好走することの多かった時期があった。

 もう随分と前の話ではある。昭和の話だ。昭和63年のオークス馬コスモドリームは、前走で400万下(当時)の、はなみずき賞を勝ったばかり。昭和60年のノアノハコブネも、前走で400万下平場を勝ったばかりだった。さらに、2着馬も含めればユウミロクもこのグループに入る。

 こういうタイプの激走馬がなぜ居なくなったかというと、まず第一には2勝馬の入れる出走枠が減ったことである。もうひとつは、育成技術が進み特に牝馬は早くから能力発揮することで、遅れている馬=能力の低い馬という割合が高まったからではないだろうか。

 もうひとつ、重賞実績の無いタイプの激走というのはもともと能動的に行われるものではなく、桜花賞組に隙があるとき発生するものでもあると言えよう。ノアノハコブネの時は桜花賞馬エルプスがはっきりとした距離不安を抱えていたし、コスモドリームのときはアラホウトクが距離に泣いた。

 最近では、キョウエイマーチが歩いた97年にナナヨーウイングが、収得賞金800万円の立場で2着している。

 そこで今年のオークスである。近年、オークス連対馬の7〜8割を占める桜花賞からの直行組だが、今年は母が短距離馬だったアドマイヤキッス、血統からも走りからもマイルがベストのように思われるコイウタなど、距離に泣いてもおかしくない馬たちがいる。

 また、桜花賞組というのは6〜9着あたりの負け組がけっこう復活してグループの成績を支えているのだが、今年はここに直行組ではなくなったテイエムプリキュアしかいない(ウインシンシアは収得賞金400万円)。つまり、掲示板組がコケるとそれをバックアップする馬がいないのだ。

 そう考えると今年は重賞実績の無い組、キャリアの浅い組にチャンスが回ってもおかしくはない。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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