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女王杯に世代論は役立つか?

  • 2006年11月06日(月) 23時51分
 エリザベス女王杯というと悩むのが3歳馬の扱いや、世代比較についてである。一頃は「今年の風邪は悪い風邪だって毎年言う」のと同じように「今年の3歳馬は強い」的なことを言っていたような気がするが、全体として3歳馬が低調なせいか、それもいつの間にか無くなった。

 では、そもそも世代のレベルを語ることに意味があるのだろうか?

 例えば96年は、ヒシアマゾンの降着が無ければ4,5,4歳の決着だった。翌97年は4,5,5歳で決まっているから、ここでは「92年生まれ世代が強い」という仮説が成り立つ。

 続いて98年は4,4,5歳の決着。その翌年の99年は5,3,4歳の決着で、メジロドーベルは踏みとどまったものの世代としての説得力は無い。さらに翌00年は、3歳時0頭、4歳時1頭しか3着以内馬を出していない95年生まれ世代が1,3着馬を出している。

 初めて3歳馬が優勝したのは02年のことだが、翌03年はファインモーションがいなくなっており、年齢的には3,3,4歳の決着。4歳(ファインモーション世代)がいるにはいるが、これは外国調教馬のタイガーテイルである。

 こうして見ていくと、世代論が機能したように見えるのは04年の「スティルインラブが脱落したが、同世代のオースミハルカがカバー」というケースぐらいしか無いように思える。また、3歳馬の食い込みについても、3歳馬が優勝した02年(=4歳以上が弱い)の翌年にファインモーションがいなくなっていたことにより3歳馬2頭の連対が可能になったというところにしか世代論っぽい説明は適用できず、しかも今年はそれがあてはまらない。

 さんざん書いてきたわりに恐縮だが、世代について考えるよりは個体について考え、「2度目の挑戦になる馬は買い」「桜花賞タイプかオークスタイプかでいったらオークスタイプが買い」といった条件を適用していくほうが早道のように思う。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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