スマートフォン版へ

新設重賞の阪神Cを考える

  • 2006年12月11日(月) 23時50分
 新設重賞の阪神カップは定量戦の1400mで行われる。

 私も気づいていなかったのだが、06年になって定量戦の設定レースが一気に増えている。それまで別定戦で行われていたものが、定量戦に衣替えしたものがほとんどである。条件戦の場合、今の昇級システムだとほとんどの馬が横並びの立場にあるので、別定でも定量でも、パっと見た感じでは分からないのだろう。

 ちなみに、それ以前の芝1400m・定量戦というと、WSJSのうちの一戦が該当したり、3歳のトライアル重賞、OP特別の一部が定量に設定されていたりという感じだった。

 さて、定量戦になるとどういう効果があるのだろうか? 斤量差は無くなる方向性だから、理屈でいえば格上の馬が強くなるイメージがある。

 そこで、こんな調査をしてみた。芝2000m以下の古馬条件戦を対象に、定量戦・別定戦・ハンデ戦のそれぞれについて、全馬均等買い時の単複回収率を出すのである。この数値が高ければ波乱傾向、低ければ本命傾向ということになる。

 1996年以降の10年強を対象にした場合、結果は次の通り。

○定量戦(期間内408R)
 単勝回収率=69%・複勝回収率=79%

○別定戦(期間内5200R)
 単勝回収率=71%・複勝回収率=73%

○ハンデ戦(期間内894R)
 単勝回収率=76%・複勝回収率=77%

 多くのレースを対象にしているので数%の差異しか出ないが、単勝回収率については綺麗に定量→別定→ハンデとなっている。ただ、複勝については3カテゴリの中で定量戦が最大だ。これは、複勝8000円台など、とてつもないホームランが今年数回出たことも影響している。

 重賞だとそこまでの期待はできないだろうが、以上の結果をふまえ、1着付けは人気馬から、3着候補はとんでもない人気薄もアリ、という方針がいいのではないだろうか。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング