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まず買い方を考える

  • 2006年12月18日(月) 23時50分
 ディープインパクトの最終戦ということでイベントとしては盛り上がりそうな有馬記念だが、馬券をどう組むかというのはなかなか難しい。

 馬券の券種ごとに考えてみよう。まずは単勝。ディープ派がディープの単で、穴党が逆張りの単で勝負できるかというと、これはなかなか微妙だ。

 仮にディープの単が昨年と同じ1.3倍のオッズだとすると、77%(100÷1.3)以上の確率で勝利する場合、お得な選択肢になるが、GIにおける同馬は8戦6勝、しかも今回は前年に負けている舞台だけにそこまで強気にはなれない。

 反対に、ディープの勝つ確率が61.5%以下(80÷1.3)だとするとこれはかなり損な選択肢ということになり、この場合は他馬の単勝を漁る妙味が出てくる。しかし、ここまで積極的にディープ危うしと見る根拠もない。

 また、過去10年の有馬記念では4番人気以内の馬しか優勝しておらず、昨年のハーツクライ(4番人気で17.1倍)は、期待できる中でも最もおいしいシナリオという感じ。昨年の2番人気はゼンノロブロイで6.8倍だったので、仮に打倒ディープに成功し、配当7〜8倍でも嬉しいのかどうかという辺りから自分の考えを整理しておかねばならない。

 このようにそれぞれの賭式・券種について考えていくと、実は「ディープインパクトから馬連」という選択がいちばんよいようにも思う。馬連ならディープインパクトの1着付け(話の趣旨は単勝と同じ)が過剰人気なのかどうか頭を悩ませなくていいし、組み合わせによっては、馬単よりも得なケースがある。

 馬単1着付けは単勝と同じく過剰人気になるリスクがあるし、2着付けはそもそも2着になってもらわないと始まらない。それよりは馬連に集約したほうが話が早い。

 特に、組み合わせによっては馬単の表裏よりもいいオッズだったりもする。的中した買い目を対象にして、馬単の表裏で馬連と同様の内容を表現した場合と、実際の馬連配当を比べるとこうなる。

 馬単で作った馬連 実際の馬連
ジャパンC  6.8倍    7.5倍
宝塚記念   18.2倍   19.2倍
天皇賞春   3.6倍    3.8倍
有馬記念   6.8倍    7.5倍
菊花賞    11.7倍   12.9倍
ダービー   5.0倍    5.4倍
皐月賞    51.5倍   58.3倍


 全てのGIで右側が高くなっているのは、やはり馬単の1着付けが売れすぎなのではないかと思う。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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