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レーティングから読み解く香港馬の格

  • 2007年05月28日(月) 23時50分
 毎年、安田記念とスプリンターズSの時期になると聞かれるのが「で、香港馬はどうなんですか?」という質問だ。

 自分の知識の範囲でお答えするようにしているが、香港競馬を見たことの無い人にニュアンスまで伝えるのは正直難しいところがある。

 そこで、今回は逆に割り切って、数字で示せる「格」について書いてみることにした。

 ご存知のように競走馬にはレーティングというものがある。皆さんがよく目にするのは国際レーティングだろうが、それとは別に香港には自らのレース編成のために設定されている「香港レーティング」がある。一流馬といえど負ければ下がる(1走の負けでいきなり下がるわけではないが)ので、ピーク時との比較や最近の流れを示すことに利用できるのではないかと思ったのである。

○エイブルワン
91→91→98→103→前走出走時103
現在値122 生涯最高値122

 前走時が人気薄(単勝33倍)での逃げ切り。4走前はまだクラス2にいた馬で、良く言えば上がり馬、悪く言えば前走が恵まれた。

○グッドババ
103→103→110→117→前走出走時122
現在値122 生涯最高値122

 これも上がり馬タイプだが、エイブルワンよりは力の保証がある感じ。前走は1番人気だったが展開に殺された。

○ザデューク
122→122→125→125→前走出走時125
現在値125 生涯最高値125

 善戦マンタイプなのに昨暮の香港マイルではまさかの優勝。その後もなんだかんだで好成績を維持。昨年安田記念出走時のレートは121。ただ、年齢から見ても地力そのものがアップしているとは思えない。

○ジョイフルウィナー
122→120→120→120→前走出走時121
現在値121 生涯最高値125

 昨年安田記念時のレートは125。勢いがあって人気が無かった昨年は格好の狙い目だった。差して届かずの芸風は相変わらずだが、弱い相手なら1着まで突き抜けることも。この馬とのレース後の相対比較が日本馬のレベルを計る物差しとなる。

 個人的におすすめするならグッドババとジョイフルウィナーだが、前者は予定通りエリック・サンマルタンが乗るのだとしたらあまり購買意欲が上がらない。後者はやはり脚質がネック。

 ちなみに、昨年安田記念出走時にブリッシュラックが持っていたレートは128(安田記念を勝って130、今は下がって124)。私が「今年来たら在り金勝負しよう」と思っていたアルマダ(現在休養中)は130である。ご参考まで。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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