このところ私が唱えているのが、「いまのスプリント重賞は、単純に斤量の軽い馬が好走しているのではないか」という説である。
もともと、ハンデ戦などでは、古い俗説のように長距離ほど斤量差が効くのではなく、短距離のほうが影響が大きいとする説がある。また、いまのスプリント界は本質的な能力差の無いメンバー構成であるため、斤量のアヤがものを言うということは十分に考えられる。
ここで言う斤量差とは、セックスアローワンスを無視して、斤量の絶対値で見た話である。当然ながら、この説だと牝馬は常に有利ということになるが、この夏の結果がそうであったことは皆さんご承知の通り。また、牡馬が勝った北九州記念も勝ち馬は52kgのキョウワロアリングだったし、「背負っている組」は見事なまでに下位に固まった。
スプリンターズSは定量戦なのでサマースプリントシリーズ出走時とは全く違う斤量を背負う馬も出てくるが、そういった馬については注意して扱う必要がある。
さて、では今年に限らず、スプリントGIにおける「前走からの斤量増減」は結果にどのような影響を及ぼしてきたのだろうか。
外国調教馬を除いて過去10年について見てみると、斤量増で臨んだ馬は[5-4-4-109]で連対率7.4%、回収率は単28%、複53%。全馬ベース(こちらも外国調教馬は除く)の平均連対率が12.3%、回収率が単131%、複73%だから、やはり斤量増が効いている印象はある。特に2kg以上増えた馬からはタガノバスティーユの人気薄3着があるものの、のべ38頭で連対ゼロという結果が出ている。
斤量減となる馬も全部買えというほど良い回収率は出ていないのだが、連対率17.5%、回収率が単49%、複76%だから斤量増組よりもすべての指標が良いということになる。また、00年スプリンターズSのダイタクヤマトにせよ、06年高松宮記念2着のペールギュントにせよ、斤量は前走と同じだった。今回背負うのと同じレベルの斤量を背負い慣れた馬を重視すべきだろう。