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苦戦目立つ毎日王冠組

  • 2007年10月23日(火) 19時57分
 昨年の天皇賞・秋はダイワメジャーが優勝したが、これはある切り口で考えると「久々の優勝例」となるものだった。

 その切り口とは、毎日王冠組の優勝例である。

 前走が毎日王冠となる天皇賞・秋優勝馬は、1996年のバブルガムフェロー以来。連対例ということで考えても1997年2着時の同馬以来ということになる。

 その後にはサイレンスズカの不幸な事故もあったが、それも1998年のことだから、仮にサイレンススズカが無事で勝っていたとしても8年ぶりの優勝例・連対例だったということだ。

 ちなみに、過去10年の前走毎日王冠組について天皇賞秋での成績をまとめてみると、[1-1-5-45]。回収率は単勝13%・複勝38%である。11年前から20年前の10年間で取ると[6-7-3-40]の単勝79%・複勝82%。番組選択が多様化したという事情があるにせよ、毎日王冠組の落ち込みが激しいことが分かる。

 天皇賞・秋については東京競馬場の改修後にスタミナ色が強くなったという指摘があり、私もわりとそれに納得していたのだが、こうして見ると改修の前から毎日王冠組については落ち込みが始まっていたように思える。

 ここでさらに毎日王冠→天皇賞・秋と使った馬の次走を辿ってみると[5-4-5-32]という成績で9連対はすべて重賞なのだが、うち、マイルCSが5例、関屋記念が1例、鳴尾記念と中日新聞杯(ともに1800mでの施行)が各1例で、2000m以上の距離で連対したのはスイープトウショウしかいない。イメージ以上に「毎日王冠組」はマイラー色が強いということが分かる。

 その毎日王冠組が苦戦しているのは、天皇賞・秋で要求される資質が変わったというだけでなく、そもそもマイル界全体が地盤沈下しているという事情があるのではないかと思う。毎日王冠だけでなく、登録各馬の戦績のうちマイル前後のものについては、若干割り引きながら評価したほうが妥当かもしれない。

「3強インタビュー」から「よく当たる予想」まで、天皇賞・秋の大特集はこちら

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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