スマートフォン版へ

前走GI・別定GII組に注目

  • 2008年03月31日(月) 21時50分
 大阪杯過去10年の結果を見ていて、ひとつの傾向に気がついた。

 前走レースごとの回収率を見てみると、前走でGIや別定GIIを使っていた馬の中から面白い穴馬が出て、ハンデGIIIやオープン戦から来た馬は、それでも大阪杯で人気になるレベルの馬がぼちぼち馬券に絡む程度、という傾向である。

 例えば前走有馬記念組の場合、勝ち馬2頭はともに1番人気だったので単勝回収率は低いが、少ない該当馬の中から5番人気3着馬が2頭出たので複勝回収率は147%と高水準を維持している。また、中山記念組もメイショウオウテが昨年8番人気3着したことで、複勝回収率が115%とプラスに乗ってきた。

 一方、該当馬が27頭いる中京記念組は、1、3番人気での1着が各1回と5番人気3着がいるだけ。連対率や複勝率の低さがそのまま回収率に反映されている(単38%・複18%)。

 もちろん、前走格下のレースからきた馬のほうが勝率・連対率・複勝率で劣るのはある意味当然のことである。しかし、競馬ではその組からまれに穴馬が激走して「低連対率・高回収率」という状態を作り出すことが多い。

 ここで言いたいのは、大阪杯はそのような構図になっておらず、むしろGIや別定GII組の中においしい要素が転がっている、ということである。

 有馬記念と中山記念だけではない。京都記念からは9番人気1着のトーホウドリームが出ているし、香港Cからここへ来たマグナーテンが8番人気で2着したこともあった。

 前走格下のレースを勝ち負けしてきた馬と前走格上のレースで大敗してきた馬とでは、両者が互角と思われたり、前者の勢いが買われたりするものである。しかしこの大阪杯に限っては、強い相手と戦ってきた過程を評価する必要があるようだ。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング