売上好調の流れが変わりませんように…
2008年5月31日の第1回以来13年と10カ月、705回にわたって連載させていただいた当コラムはこれが最終回。お名残惜しいところではありますが、10年ひと昔という言葉があるくらいですから、このへんが“潮時”かもしれませんね。
約14年の間には、いろいろなことがありました。最も大きな出来事と言えば、2011年の東日本大震災と、2020年から始まった新型コロナウイルスの大流行でしょう。
東日本大震災では日本の広い地域が甚大な被害を受け、多くの方々が「競馬どころではない」という状況になりました。
その影響で馬券の売上は減少。先週の当コラムには、2011年度のばんえい競馬の売上が103億円台に落ち込んだ、という話を書きましたが、JRAの売上も2兆3000億円に達しませんでした。これは、1988(昭和63)年以来、23年ぶりのことだったのです。
その数年前から馬券の売上は減少傾向にありました。そこで、新たなファンを開拓し、競馬から遠ざかっていた方々を呼び戻すため、さまざまな取り組みが行われ始めます。
インターネットの活用は、そういう取り組みの“さきがけ”であり、“軸”になっていたと思います。その“旗頭”の1つが、この『netkeiba.com』なんですよね。
そんな中で起きた東日本大震災。今から考えると、これが競馬にとっての“ターニングポイント”になったと思われます。「もう後がない」という“崖っぷち”に追い込まれたことで、その後の取り組みの“本気度”が変わってきた、と言えばいいでしょうか。
まず、大震災から1年半ほど経った2012年10月に、IPATによる地方競馬の馬券発売が始まります。次いで2013年3月からは、地方競馬のシステムを使ってJRAの馬券を発売するJ-PLACEが各地の地方競馬場やその場外発売所に設けられていきました。
それやこれやの取り組みが功を奏し、2011〜12年を境に馬券売上は回復に転じます。
そして、2年前の2020年春に始まったのが、新型コロナの大流行です。毎日、毎週の競馬を開催し続けられるかどうかが危ぶまれた時期もあり、主催者は無観客開催など前代未聞の対応を迫られました。
この危機を救ったのは、そう、インターネット。「外へ行けない、遊びに行けない」というコロナ禍の制約は、馬券のネット発売にとって強力な“追い風”になったわけです。
先週も書いたとおり、2021年度のばんえい競馬の売上は史上最高の500億円を突破。IPAT発売網に含まれていないばんえいがそうなったくらいですから、競馬は絶好調の状態をキープしています。2021年のJRAの売上は2003年以来18年ぶりに3兆円を超えたほどです。
その“流れ”が最近の世界情勢の影響で変わることのないよう、平和を祈るばかりです。ではみなさん、これで失礼します。長い間のご愛読、ありがとうございました。
【連載終了のお知らせ】
当コラムは本日の更新を持ちまして、連載を終了させていただくことになりました。長い間のご愛顧、まことにありがとうございました。