福島競馬場の献花台。ヨシオが抱えている花束は“ヨシオのお姉さん”から(提供:福島競馬場)
当コラムを担当してくれていた福島競馬場の誘導馬ヨシオが、5月11日に腸捻転で天国へ旅立ちました。ヨシオは最期までがんばっていたそうです。
5月18日から福島競馬場に設置された献花台には、あわせて約1000件の献花・記帳が。たくさんの方々がヨシオへ気持ちを伝えに訪れていました。
もう立派な誘導馬になられたし……と連載は終了していたのですが。開催日は誘導馬に騎乗し、毎日福島競馬場の誘導馬たちと携わっていらっしゃる業務課の皆様、そして“ヨシオのお姉さん”からのヨシオへのメッセージを、当コラム最後の更新とさせていただきます。
いままでご愛読いただいた皆様、本当にありがとうございました。そしてヨシオ、また会おうね!
福島競馬場・ターフィーショップのディスプレイ(C)netkeiba
福島競馬場業務課の皆様から、ヨシオへ
ヨシオー!!!!!
ヨシオにはたくさん笑わせてもらいましたね。頭ぶんぶんしたり、変顔したり、イケメンポーズしたり、一挙手一投足がかわいくて、おもしろくて、常にヨシオの周りには笑顔が溢れていました。子供たちからもとても愛されていたよね。乗りやすくて扱いやすいまさに子供たちの先生でもありました。
アイドルホースとしてぬいぐるみになるなど、現役時も引退後も多くのファンに愛された馬生でしたね。下見所や本馬場入場時は必ず「ヨシオーーー!」と呼ぶお客様の声が聞こえてきたね。ヨシオはちゃんと聞こえているのかアイドルモードになり、愛想をふりまきまくってたね(笑)。そのヨシオを呼ぶ声が2回福島から聞こえなくなるのかと思うと今から寂しいです。
そして、2回福島ではヨシオとやりたいことがありました。それは、三冠馬3頭が出走し盛り上がった2020年のジャパンC(GI)に出走し、偶然にも福島競馬場で誘導馬となっている3頭(クレッシェンドラヴ、トーラスジェミニ、ヨシオ)での誘導です。昨秋、トーラスジェミニが福島に来ると決まった時に閃いてずっと温め続けていました。春の開催でトーラスも問題なく誘導業務をできるようになったので、2回福島競馬で3頭での誘導ができそうだなと思っていました。
正直、ヨシオがいない福島開催は想像がつきません。しかし、いつまでもくよくよしていたら、普段絶対に怒ることのないヨシオが耳絞って変顔して怒ってきそうだから、しっかり前を向いて、ヨシオが盛り上げてくれた福島競馬をもっと盛り上げていけるように福島競馬場職員一同、誘導馬一同頑張るからね! ずっと見守っててね。
最後になりますが、競走馬引退後、福島競馬場に寄贈してくださった馬主の加藤志明様、森調教師、そして応援してくださったファンの皆様、すべての方に感謝申し上げます。
ヨシオ! ありがとう! 安らかに。
福島競馬場業務課一同
ヨシオの馬房はお花やにんじんでいっぱい!(C)netkeiba
いつものごはんとお水もお供えされていました(C)netkeiba
ヨシオの仕事道具のひとつ、鞍!(C)netkeiba
ヨシオをぴかぴかにしていたお手入れセット(C)netkeiba
ヨシオのお姉さんから、ヨシオへ
よしおへ
2022年の夏に福島競馬場に来てからあっという間に2年が過ぎたね。
競走馬の仕事を引退して福島にきて、誘導馬や乗馬としての仕事をするために、毎日毎日一緒にトレーニングしてきたね。運動神経がよく、頭のいいよしお。日に日にできることが増え、よしおの成長を感じる毎日が楽しくてしかたなかったし、学習能力・適応力の高さにも驚かされました。
誘導馬デビューをしたのは2022年秋開催だったね。自分のやるべき仕事をすぐに理解して、あっという間に誘導馬のお仕事をこなせるようになったよしお。お仕事をするたびに、ファンの方々から「ヨシオォォォ〜!!」とアイドル顔負けの声援をもらったね。ウィナーズサークルでは、ヨシオぬいぐるみと一緒に応援してくれている方も開催のたびにどんどん増えて。お客様の前では、いつでも楽しそうに可愛い顔で頭ぶんぶんして愛嬌を振りまくよしお。アイドルよしお、かわいかったなあ〜(笑)。
でも仕事を終えて部屋に戻ると必ず、魂抜けてお口をぽかーんと開けて、スイッチオフのよしお。呼んでも薄目のお口半開きで振り返るだけのよしお(笑)。よしおなりに、仕事の自覚があって、頑張って可愛く振舞っていたのかなあなんてね。
2023年に入ってからは、馬術の競技会にも出るようになったり、子供たちも乗せられるようになったり。新しいことを求められてもいつでもそれに全力で応えてくれるよしお。乗馬としても、本当によく頑張ってくれました。よしおをきっかけに、馬術競技を知ってくれた方もいたんだよ、すごいよよしお!
福島開催期間はもちろん、福島競馬場でのイベントでも、馬術の競技会でも、よしおの人気を目の当たりにして、鞍上の私はあまりの人気に圧倒される傍ら、誘導馬になってからのよしおの頑張りを見ていると、いつでもどこでも、人から求められていることに一生懸命全力で応えてきたが故の人気なんだなあと納得で、実は尊敬していたよ。
競走馬としてタフネスに78戦走りぬいたよしお。乗馬になった後も、怪我も病気も一切なく元気で私にも子供たちにも色んなことを教えてくれたよしお。いつでも頑張り屋さんだったよしお。そんなよしおがもういないなんて信じられないよ。いつまでも元気でおもしろよしおで、皆を笑顔にしてくれるって、子供たちを乗せて競技も頑張ってくれるって、そう約束したじゃん! あまりに突然のことで、衝撃と悲しみで涙が止まらなかったよ。
よしおに伝えたいこと、それは感謝しかありません。
私を乗せてくれてありがとう。たくさんのことを教えてくれてありがとう。色々な経験をさせてくれてありがとう。毎日面白いことして笑わせてくれてありがとう。たくさん頑張ってくれてありがとう。よしおのおかげで、楽しいすてきな時間を過ごさせてもらいました。よしおに教えてもらったことを忘れず、私も頑張るよ。
これまでヨシオを応援してくださった方々、本当にありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。福島競馬場からヨシオはいなくなってしまいますが、全国の競馬場ではたくさんの誘導馬がヨシオと同じように一生懸命仕事をしております。競走馬引退後にリトレーニングされ、馬術用馬として頑張っている馬たちが全国にたくさんおります。ヨシオをきっかけに、競走馬のセカンドキャリアにも注目頂ければ何よりです。これからも、競馬、競走馬、そして競走馬引退後のセカンドキャリアの応援をよろしくお願いいたします。
よしお、もう頑張らなくていいんだよ。お花食べてもいいよ。ゆっくり休んで、楽しく過ごすんだよ。そっちでも、おもしろよしおで、皆を笑顔にしてあげるんだよ!
今まで本当にありがとう。もう泣かない! よしお大好き! またね!
阪神競馬場への異動前に、よしおと(羽二生さんご提供)
阪神競馬場業務課・羽二生香成
羽二生さんお気に入りのヨシオの写真たち!(羽二生さんご提供)
かわいすぎか??(羽二生さんご提供)
ヨシオのお姉さん目線のヨシオ(羽二生さんご提供)
…みんなっ!!!
ヨシオだよ。みんなかなしくしちゃってごめんね。
いまは体も軽くてどこまでもはしれちゃうし、なんでも飛べちゃうし、なんでもできちゃう! だからこっそり、ちょっとだけコラム書きにきちゃった(笑)。みんながもってきてくれたにんじんやお花いっぱいたべてるから、もう心配しないでね。
いつもみんなが応援してくれてほんとうにうれしかったよ!
みんなありがとね。またね!
これからも福島競馬場のみんなをよろしくね。(羽二生さんご提供)