イメージよりは好走する傾向
昨年の6月からスタートした新馬戦も今週の2鞍(中山と阪神、ともにダート1800メートル戦)を残すだけとなった。となると、次週以降にデビューする馬は必然的に「未勝利戦」に出走することになる。「経験馬相手に初めての競馬」という状況を考えれば、一見不利に映るが、案外初戦から好走する馬も多い。
その理由のひとつとして考えられるのは「無理やり新馬戦に間に合わせることなく、馬の仕上げ重視で出走してきている」という点が挙げられる。
わかりやすく言えば、調教師が「何としても新馬戦があるうちに出走させたい」と考えるなら、追い切り本数が少なく、調教不足だと感じていても、とりあえずデビューさせる。そういった馬は私の取材経験上、「それほど期待していない馬」であるケースが多い。一方、調教師の期待馬なら、新馬戦を見送ってでも「いい状態で出走させたい」という心理が働き、じっくりと仕上げ、万全の状態でデビュー。それが好結果を生むことも多い。
先週で言えば、15日(日)の阪神4レース、芝1800メートル戦でデビューしたデゼルがそう。阪神の開幕週(3月1日)にあった芝の新馬戦(芝のレースとしては今年最後の新馬戦)をパスして、敢えて2週間後の未勝利戦に出走。きっちりと勝利を収めた。この馬、父がディープインパクトで母が仏オークス馬という血統。血筋の良さだけではなく、調教の動きも目立っていたが、実戦でも期待通りの走りを見せてくれた。
同じく、14日(土)の阪神5レース、芝1600メートル戦では初出走のアウサンガテが2着と好走。出遅れ→動くに動けないポジション→馬群を捌く→一気に伸びて勝ち馬に詰め寄るという味な内容だった。こちらは父ディープインパクト、母アゼリというPOGでもお馴染みの血統。まだ粗削りだけに、次走はもっと動けそう。
そして今週末にはアウサンガテと同じ中内田厩舎からリーガルマナー(牡、父ロードカナロア、母エレガントマナー)がデビュー。こちらは未勝利戦ではなく、阪神最後の新馬戦(ダート1800メートル、川田騎手を予定。ただし、抽選除外の可能性あり)でのデビューだが、無理矢理、ここに間に合わせた感じはなく、しっかりと乗り込んでの出走。むしろ、最終週のレースを狙い撃ちしてきた感すらある。目方は500キロ近くあり、パワー型の馬体。それでも骨格が大きいだけで、見た目に太目感はない。初戦から勝負になりそう。
一方、中内田厩舎はすでに2歳馬も入厩。1番のゼッケンを着けた馬は牡、父Camelot、母High Fidelityという血統。そして2番のゼッケンを着けた馬は牡、父Galileo、母Prudente。新馬戦が始まる時期を考えると、おそらく一旦、放牧に出すと思われるがゲート試験は受けることになるだろう。無観客開催が続く中央競馬だが、2歳馬の入厩は着実に進んでいる。