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マイラーズC、フローラS、福島牝馬Sの注目馬調教分析

  • 2013年04月16日(火) 18時00分
 先週の皐月賞はロゴタイプが完勝。No.1予想コラムや中山競馬場のオープン型レーシングセミナーでもお話ししましたが、強い馬だと分かっていても、調教内容からは決して高い評価ができなかった馬。予想を参考にしてくださった方には非常に申し訳ない結果になってしまいましたが、個人的には「仕方ない」の一言で処理しています。

 ただ、来週に行われる天皇賞春は、そんな簡単な言葉で済ませることができない重要なレースだと思っています。調教内容が非常に重要なレース、それが天皇賞春ですから、是が非でも的中させる、そんな意気込みで、出走予定馬を坂路馬場からじっくりと観察させてもらいました。

 その前に、まずは今週の重賞。ヴィクトリアMへ向けた福島牝馬S、オークスへ向けたフローラS、安田記念へ向けたマイラーズCと、どのレースもGIのトライアルとなるレースなので、見逃すことはできません。


前回の放牧帰りよりもいい状態のアロマティコ

前回の放牧帰りよりもいい状態のアロマティコ

 福島牝馬Sからはアロマティコ。前走関門橋Sを勝った後、ノーザンFしがらきへ短期放牧へ出されて、3月21日に栗東へ戻ってきていますが「前回の放牧帰りよりも、いい状態で戻ってきてくれました」とは、担当する野口陽介調教助手。

 この中間は、今回からコンビを組み、福永祐一騎手が追い切りに跨っています。ファーストコンタクトだった、4月4日の追い切りではまともに引っ掛かって、坂路4F53.1〜1F14.7秒と終いは止まるラップに。4月10日には2回目の騎乗で追い切られましたが、この時も少しだけ行きたがるような仕草がありました。ただ、騎乗してもらったことで、馬のイメージができたと思いますから、あとは本番。ヴィクトリアMへ向けて、収穫のあるレース内容を期待しています。

 フローラSの注目は、やっぱりラストグルーヴでしょう。今朝の調教の様子を撮影することはできませんでしたが、ここまで順調。1週前追い切りでもしっかり動けていましたし、あとはキャリア1戦で重賞。東京競馬場までの輸送をこなしてくれるかどうかというところです。

 マイラーズCは少し重点的に。レースの鍵を握るのは、マイラーズCを連覇中のシルポート。阪神でも京都でも逃げ切るというのは、この馬のポテンシャルの高さでしょう。今年も中山記念からのローテーションになるため、間隔はあきますが、陣営が思う通りの仕上げにはなっているようです。


陣営が思う通りの仕上げになっているシルポート

陣営が思う通りの仕上げになっているシルポート

帰厩しての調教量は多いくらいのカレンブラックヒル

帰厩しての調教量は多いくらいのカレンブラックヒル

 ただ、個人的にはシルポートが気分よく逃げることができるかどうか、オースミスパークの存在に尽きると思います。2012年京都金杯。この2頭がテンから競り合う展開になった時、シルポートは16着に敗れています。オースミスパークが出走してきた場合、どのような展開になるのか、これがシルポートの着順を決めるような気がしてなりません。

 激しいハナ争いを直後で見る形になるであろう馬がカレンブラックヒル。こちらはフェブラリーSの惨敗を経て、芝に戻る形になりましたが、1週前のCWコースでの追い切りの動きからは、負けたことによる異変というのは全く感じません。

 逆にノーザンFしがらきから帰厩しての調教量は多いくらい。個人的には最終追い切りを坂路ではなく、NHKマイルCや毎日王冠を制した時と同じように、CWコースで行ってくれば、状態としては文句ないと見ています。

 最後にクラレント。前走東京新聞杯を制した後は、すぐにこのレースを目標にして放牧。帰厩してからも順調に調教を積んでいます。もともと速い追い切り時計をマークするタイプではなく、この中間はウッドチップの状態が良くないということもあり、4F55秒前後という時計。ただ、今朝の坂路馬場の雰囲気だと、今週は久しぶりに良い馬場状態での追い切りということになりそうなので、前走時くらいの時計はマークしてほしいところ。


橋口調教師が勝利を意識しているクラレント

橋口調教師が勝利を意識しているクラレント

 個人的には六甲Sを勝った、同厩シャイニーホークが在厩しているにも関わらず、このレースへ登録しなかったことが気になったので、そのあたりを橋口弘次郎調教師に聞いてみると「このレースは一頭で十分。シャイニーホークは京王杯SCへ全力投球」という返答。実は、六甲Sの時もシャイニーホークとオリービンの2頭を登録しなかったのですが、その時も今回と同じ理由でシャイニーホークしか出走しませんでした。つまりクラレントに対して、それだけ勝利を意識しているということ。これは聞き逃せません。

◆次走要注意
・4/13 阪神9R はなみずき賞【ハッピーモーメント】(1人/6着)
 スタートが普通だったこともあり、ある程度前の位置取りでのレース。いつも後ろから行く馬が前に行ったから、末がなかったという見解もあるかも知れませんが、私は肝心の勝負どころで追い出せなかったことがすべてだと思っています。今回の負けで人気が下がるようであれば、次走は必ず買い。今回は角居勝彦厩舎の勝負調教に該当していたので、具合は間違いなく良かったと思います。次回も勝負調教に該当すれば、今度こそ結果が出るはずです。

[メモ登録用コメント] 角居勝彦厩舎の勝負調教に該当すれば勝ち負け

・4/14 中山11R 皐月賞【エピファネイア】(2人/2着)
 この中間は福永祐一騎手だけでなく、いろんな乗り手が手綱を握るということを試して、レースへ出走。その効果なのか、断定はできませんが、パドックを非常に落ち着いた雰囲気で周回。返し馬でも落ち着いた印象がありました。レース後の福永祐一騎手のコメントでハミを噛んでしまったという言葉がありましたが、この中間の陣営の取り組みがなければ、着差はもっと開いていたと思います。この敗戦は決して無駄ではなかったと思うだけに、次走、またどのような変化を見せてくれるか楽しみにしています。

[メモ登録用コメント] 角居勝彦厩舎の勝負調教に該当すれば勝ち負け

◆今週末馬券圏内
・4/21 東京11R フローラS【エバーブロッサム
 前走フラワーCは後方から怒涛の追い込みで2着。決して器用なタイプではなく、開幕週の東京芝2000mは向いているタイプとは思えません。にもかかわらず取り上げた理由は、春開催の東京芝2000mが堀宣行厩舎の鉄板スポットだから。その勝率の高さは驚異的なだけに、最終追い切り次第では、本命を打つことになると思います。

[メモ登録用コメント] 良馬場なら勝ち負け

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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