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エピセアローム、ベルカント、ツルマルレオンなど北九州記念分析

  • 2014年08月20日(水) 18時00分


札幌記念の追い切りをライブで見ることができない私にとっては、北九州記念がメインレース

 先週の当コラムでは、関屋記念を取り上げ、クラレントの前走との『変化』をお伝えしました。今回の状態なら結果を出してくれるだろうと思い、この原稿を書き上げた時点では◎を打つ気満々でした。

 ところが、15日の調教を見て、馬体を見た時になにか物足りなさを感じてしまったんですね。結果が出て思うことは「省エネしていたんだ」と理解できますが、その場面では、気合とか雰囲気が物足りないって勝手に判断してしまいました。なんとも情けない結果に終わってしまいましたが、このような経験を積み重ねているから、少しずつでも的中率の向上、回収率のアップに繋がっていると思いたいところ。

 今週の注目は、ゴールドシップとハープスターの札幌記念だと思いますが、追い切りをライブで見ることができない私にとっては、北九州記念がメインレース。当コラムでも、北九州記念を取り上げたいと思います。

【北九州記念/エピセアローム】

 2012年、3歳時に北九州記念に出走して3着。当時は休み明けで馬体重が大幅増加。しかもオークスから一気の距離短縮と、条件的には決して簡単ではない状況でしたが、同馬の好走調教である「栗東坂路でラスト1F12.5秒以下」という最終追い切りが、結果に繋がったように思います。

 実は前走CBC賞も追い切り本数が少ないものの、ラスト1F12.4秒だったので、これが好走に繋がったのでしょう。この中間はノーザンFしがらきに放牧に出されていますが、追い切り本数は標準量こなしています。最終追い切りは2F目から12秒台のラップを刻んで、ラスト1Fが最速になる、1F12.4秒。この数字はもちろん評価できますし、2年ぶりの重賞制覇のチャンスも十分でしょう。

エピセアローム(8月19日撮影)

2年ぶりの重賞制覇のチャンスも十分あるエピセアローム(8月19日撮影)


【北九州記念/ベルカント】

 前走CBC賞は適距離のスプリント戦で人気を集めましたが、結果は5着。最終追い切りでは、坂路4F時計の自己ベストをマークするなど、久しぶりのスプリント戦に対応すべく、スピード調教を重視していたように思います。ただ、フィリーズRを制した時の最終追い切りでは、ラスト1Fが最速ラップを踏んでいたので、これが好走調教だと思います。

 今回はそのラップが踏めた1週前追い切り。この感じなら、最終追い切りでも同様の動きができるだろうと推測していましたが、今回は3F目が最速になるラップでした。とはいっても、テンから引っ掛かったわけではなく、ラスト1Fは12.5秒でまとめています。このラップの踏み方はファンタジーS1着時と似ているだけに、やはり今回の仕上げは評価しなくてはいけません。

ベルカント(8月19日撮影)

ファンタジーS1着時とラップが似ているだけに今回の仕上げは評価しなくてはいけないベルカント(8月19日撮影)


【北九州記念/ツルマルレオン】

 昨年の覇者。屈腱炎で1年ぶりのレースとなる今回ですが、馬体に関しては、決して太目感はないと思います。ただ、個人的な印象としては、もっと張りがあって、いかにもスプリンター、戦車のような体だっただけに、その迫力は完全に戻っていないと思います。

 1週前追い切りの動きは非常に地味でしたが、最終追い切りは併せた相手が動かなかったこともあり、きっちり先着。時計も1F12.3秒はラスト1Fが最速になっており、現状としては十分に態勢は整ったかと思います。ただ、馬券圏内への好走という意味では、57キロというトップハンデも含めて、厳しい状況ではないでしょうか。

ツルマルレオン(8月19日撮影)

現状としては十分に態勢は整ったと思えるが馬券圏内への好走という意味では厳しい状況のツルマルレオン(8月19日撮影)


【北九州記念/ルナフォンターナ】

 画像は19日の坂路馬場でのキャンターですが、開門直後になると、まだ日が昇っておらず、暗いのが、最近の栗東。非常に見にくい画像で申し訳ありませんが、この日の様子は非常に落ち着いていて、いい雰囲気でした。

 20日の最終追い切りはCW。単走だったと思いますが、他厩舎の併せ馬と一緒に追い切るような形になったので、実質的には併せ馬でしたが、しっかりとした伸び。同厩舎との併せ馬では、遅れるようなところがある馬ですが、実戦形式のような形がいい刺激になったのかも知れません。

ルナフォンターナ(8月19日撮影)

非常に落ち着いていて、いい雰囲気だったルナフォンターナ(8月19日撮影)


【北九州記念/スギノエンデバー】

 時として大崩れすることもある馬ですが、基本は前走のように堅実。特に実績のある、小倉や中京では、結果を出すタイプ。北九州記念は3年連続の出走で、1着、5着という結果ですが、追い切りパターンは1着時と5着時で違っています。

 1着時、2012年は1週前追い切りで速い4F時計を出し、日曜日、最終追い切りを軽め。2013年は中2週ということもあって、日曜日に速い時計を出し、最終追い切りを軽めという内容でした。今年は中6週での出走となるので、どちらのパターンを選択するか注目していました。今年は2013年と同じ。得意な競馬場、レースであることは間違いありませんが、馬券圏内まではどうでしょう。

◆次走要注意

・8/6 小倉 3歳上500万下【クールオープニング】(7人/2着)

 デビュー時は420キロだった馬体重が456キロまでに成長したのが、3走前の未勝利戦。前走は距離も長く、凡走しましたが、1800mならやはり鋭い脚を見せてくれました。
 ただし、最終追い切りでのラップの踏み方がちぐはぐだったように、まだ良化の余地あり。オープン入りは決して遠くない道のりです。

[メモ登録用コメント] [芝マイル]最終追い切りが坂路で1Fごとにラップが速くなりラスト1Fが最速なら勝ち負け

・8/17 小倉 2歳未勝利【グァンチャーレ】(2人/1着)

 デビュー戦は同厩舎ヒルノマレットに敗れてしまいましたが、追い切り内容では、マレットよりも優秀でした。そのあたりは、メンバー最速上がりを使っていた末脚でご理解いただけると思います。
 今回の相手、ウインソワレも強い相手でしたが、再びメンバー最速上がりをマークして、今度は差し切り。坂路での動きを見ていると、まだまだ伸びしろはあると思います。

[メモ登録用コメント] [芝マイル]最終追い切りが坂路でラスト1Fが最速になる加速ラップなら勝ち負け

◆今朝の追い切り特報

・2歳新馬【セカンドテーブル

 入厩当初から先週までは、2歳同士での併せ馬でしたが、先週の追い切りで動いたことから、今週は3歳との併せ馬。道中の走りは折り合いを欠くようなところがありましたが、最後の1Fまでしっかりとした伸び。軽量の見習い騎手が騎乗したとはいえ、6F79.6〜5F65.5〜4F51.7〜3F37.9〜1F12.4秒という数字は、並ではありません。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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