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ハクサンムーン、エピセアローム、クラレントなどセントウルS、京成杯AH分析

  • 2014年09月10日(水) 18時00分


阪神競馬場で行われるセントウルSはなかなか見応えあるレースになりそうですよ

 今朝(10日)のトレセンニュースでも取り上げさせていただきましたが、ゴールドシップ、ジャスタウェイ、ハープスターの凱旋門賞出走予定馬はみな、順調に調整。いよいよ本番が近くなってくるという感じですが、国内の競馬も今週から秋開催がスタート。本当なら、ローズSのレッドリヴェールや、神戸新聞杯のヴォルシェーブなど、もっとトレセンニュースで取り上げたい馬の追い切りがあったくらい。やっぱり、話題性のあるスター候補が栗東に戻ってきてくれると、こちらも追い切りを見ていて、わくわくしますね。

 まず、今週はスプリンターズSのトライアルレース、セントウルSが阪神競馬場で行われます。今年から、1着馬にはスプリンターズSへの優先出走権が与えられることに。収得賞金が下位の下剋上があるのか、はたまた、実績馬がきっちりと結果を出すのか。なかなか見応えあるレースになりそうですよ。

【セントウルS/ハクサンムーン】

 帰厩してすぐにトレセンニュースに取り上げましたが、その時の印象は今春の休み明けとは雲泥の差。レースが2ヶ月も先なのに、すでに馬体は充実して、張りも十分でした。ここから、どのような調整をするかと見ていましたが、思惑通りに仕上がっている、それが1週前追い切りまでの印象です。

 そして、最終追い切り。いつも通り、坂路馬場を単走でしたが、ラスト1Fが最速になる、きれいな加速ラップでフィニッシュ。時計は4F53.9〜3F38.8〜2F25.1〜1F12.4秒。これは昨年のセントウルS1着時の最終追い切りと比べて、少し遅い数字。客観的なデータから見ると、これが心配材料ですが、主観的にはとにかく文句ありません。ただ、返し馬では気の悪さを見せる馬だけに、今回初コンビとなる戸崎圭太騎手との相性は気になります。

ハクサンムーン(9月10日撮影)

昨年のセントウルS1着時の最終追い切りと比べて少し遅い数字ですが、内容的にはとにかく文句がないハクサンムーン(9月10日撮影)


【セントウルS/エピセアローム】

 2012年セントウルSの覇者。北九州記念からのローテーションは当時と変わりなく、参考にするなら、当時の追い切り内容でしょう。違いとしては、1週前追い切りを行った2012年と違って、今年は1週前追い切りがなし。つまり、中2週で2本追い切っていた2012年に対して、今年は最終追い切りの1本しかありません。

 また、最終追い切りの内容も違います。2012年が坂路4F52.3秒に対して、今年は4F53.4秒。1週前追い切りがない上に、1秒以上時計が遅くなっているのは、決して追い切り的に評価できないと思います。もちろん、ラスト1Fが12.4秒で動けたことはよいと思いますが、全体的な追い切り内容として、過大評価は禁物です。

エピセアローム(9月9日撮影)

ラスト1Fが12.4秒で動けたことはよいと思いますが、全体的な追い切り内容として過大評価は禁物のエピセアローム(9月9日撮影)


【セントウルS/エーシントップ】

 高松宮記念4着後は、函館SSを使う予定もありましたが、やはり前走のダメージは大きかったようで、無理せず、秋の始動をこのレースに選択。じっくり休養させた効果もあり、リフレッシュして栗東へ戻ってきました。

 むしろ、帰ってきた当初は大人しすぎたくらい、ということで、2週続けて、武幸四郎騎手を乗せた追い切り。最終追い切りはかなり速い時計になって、4F51.4秒。この数字は霜月S1着時とほぼ同じなので、評価できますが、3F目が11.9秒と速くなりすぎて、ラスト1Fがやや失速気味の1F12.6秒。このあたりをどう評価するかといったところですが、前走4着を決してフロック視できない状態にあると思います。

エーシントップ(8月19日撮影)

前走4着を決してフロック視できない状態にあるエーシントップ(8月19日撮影)


【京成杯AH/クラレント】

 同じ「稍重」馬場でも、全く質が異なった中京記念と関屋記念。軽い馬場だった関屋記念で、きっちりと優勝した点から、中京記念の敗因が馬場だったことはハッキリしたかも知れません。ただ、調教を見ていると、やはり関屋記念は追い切り本数が多く、坂路4F時計もそれなりに速かったと思います。

 今回も追い切り本数は前走ほどでないにしても、標準と比べてやや多め。これは評価できます。ただ、最終追い切りの動きが意外と地味。4F55.1秒も本馬にとっては、少し遅いので、このあたりをどう評価していくかでしょう。

クラレント(9月9日撮影)

追い切り本数が標準と比べてやや多めなのは評価できますが、最終追い切りの動きが意外と地味だったクラレント(9月9日撮影)


【京成杯AH/サダムパテック】

 2012年マイルCS以来の優勝となった、前走の中京記念。58キロの酷量を克服し、メンバー最速上がりを使ったレース内容は、実績はもちろんのこと、状態が素晴らしく良かったということでしょう。ちなみに前走は、1週前追い切りで速い時計を出し、レース週は標準時計という坂路での追い切りでした。

 それと比較すると、今回は少し時計が遅くなっています。それは1週前追い切り、最終追い切り、どちらにも言えます。最終追い切りもやや迫力に欠ける内容で、イメージしていたほどのスピード感はなし。前走◎を打っただけに、今回の取捨が非常に迷うところです。

サダムパテック(9月9日撮影)

最終追い切りもやや迫力に欠ける内容で、イメージしていたほどのスピード感はなかったサダムパテック(9月9日撮影)


◆次走要注意

・9/7 小倉 若戸大橋特別【クールオープニング】(3人/4着)

 坂路単一調教の本馬にとっては、非常に厳しい条件。にも関わらず、メンバー最速の上がりをマークして、差したあたり、500万下では能力が抜けていると思います。
 最終追い切りで今回と同じように、ラスト1F最速ラップを踏む、折り合いのついた追い切りを消化すれば、阪神、京都なら間違いなく、強烈な末脚を発揮してくれるでしょう。

[メモ登録用コメント] [阪神京都芝中距離]最終追い切りが坂路でラスト1F最速ラップなら勝ち負け

・9/7 小倉 若戸大橋特別【ビオラフォーエバー】(6人/5着)

 ハナを切るまでに脚を使わされる大外枠。まして、ハナを切れなかった今回は明らかに全力を出すことができませんでした。
 しかし、平坦小回りで、ハナを切るレースができれば、オープンでも勝負になる素質があると思います。今回の敗戦で調子を落としていなければ、この秋も狙えるはず。

[メモ登録用コメント] [芝中距離]最終追い切りがCWで併せ先着なら勝ち負け

◆今朝の追い切り特報

・2歳未勝利【ショウナンライム

 新馬戦は直線で1頭になったことや、追い切りで目一杯追われたことがなかったことで、2着に敗れてしまいましたが、本来は新馬勝ちする能力がある馬。
 それを証明するかのように、10日の追い切りでは、レッドリヴェールを問題にしない、絶好の動きを見せてくれました。ラップの踏み方もラスト1Fが最速。今度はきっちり決めてくれるでしょう。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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