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末脚が生きる展開となってレーザーバレット連覇/オーバルスプリント・浦和

  • 2016年09月16日(金) 18時00分

(撮影:武田明彦)



◆今この馬にもっとも合っているのは地方のコーナーを4つ回る1400mの舞台

 先行タイプが何頭もいるメンバーで、1番人気に支持されたソルテは外目の10番枠。その出方がまず注目となった。とはいえ控える競馬もできるので、2、3番手の好位を追走するものと思われた。

 しかし充実期を迎えたソルテのスタートダッシュは抜群だった。逃げる可能性のあったグレイスフルリープはスタートのタイミングが合わず後方に取り残され、スーサンジョイも行き脚がつかず。行く気を見せたのは最内枠のタマモホルンだけだったが、さすがにスピードの絶対能力が違っていて、ソルテが難なくハナに立った。と思ったところ、競りかけてきたのが大外枠のレガルスイだった。

 最初の3Fは11秒台後半のラップが続いて35秒3。2コーナーではレガルスイがソルテの外にピタリと馬体を併せた。4F目こそ12秒4だったが、5F目が11秒9とペースは落ちることなく、1000m通過は59秒6というハイペース。向正面では3番手のタマモホルン、ニシケンモノノフとは2馬身ほどの差がついて縦長の展開となった。逃げたソルテには、いかにも厳しい流れとなって、最後の2Fのラップは、12秒6、13秒6と、ゴール前で脚が上がってしまった。

 それでおあつらえ向きの展開となったのが、中団で脚を溜めていたレーザーバレット。そもそもメンバー的に先行争いが激しくなるだろうという読みもあっただろうし、中央勢の中ではもっとも人気がなかったので、気負うことなく自分の競馬に徹することができただろう。

 昨年4月の京葉S(中山ダート1200m)で4コーナー最後方から全馬ゴボウ抜きという衝撃的な追い込みを決めたことのあるレーザーバレットだが、今この馬にもっとも合っているのは地方のコーナーを4つ回る1400mの舞台。4走前のかきつばた記念では初めてブリンカーを着用して、積極的に2番手につける競馬を試して3着。前走NST賞ではそれをチークピーシーズに変え、引き続き今回も着用。今年8歳ながらまだまだ試行錯誤をしていたことがうかがえる。結果論ではあるが、近2走の5、6着という敗戦は1200mゆえあまり気にする必要はなかった。加えて、陣営の話として「今年一番の仕上がり」ということもあったのだろう。さまざまなことがうまく噛み合ったことでオーバルスプリント連覇となった。

 惜しくも半馬身差で2着だったソルテは、メンバー的に先行争いが激しくなることは予想された。しかしその相手がグレイスフルリープでもスーサンジョイでもなく、同じ南関東で大外枠のレガスルイに苦しめられることになるとは。JpnIIを勝って他馬より別定重量を背負い、それでも1番人気に支持されたがゆえの試練といえるだろう。長期的なビジョンでレースを選び、段階を経て鍛えられ強くなったソルテだが、大目標としているJBCスプリントを勝ち切るには、さらなるパワーアップが必要だろう。

 一方で、ソルテに真っ向勝負を挑んだレガルスイは、さすがに直線半ばで振り切られたものの、3着に粘ったことは今後に向けて大きな経験となった。南関東の生え抜きで、デビューからの2戦は1000、1200mを使われたが、3戦目以降は1500〜1700mのみを使われ、1400m戦は今回が初めて。地方競馬では競馬場の形態から全国的に1400m戦が多く組まれているだけに、今後は活躍の場が広がっていきそうだ。

 ニシケンモノノフは、スタート直後、ソルテを先に行かせて外に持ち出し、4番手を追走。厳しいペースでなし崩し的に脚を使わされ、最後まで差を詰めることができなかった。3着のレガルスイにも半馬身及ばずの4着。それがソルテとは3kg差があってのことで、あらためてソルテの能力の高さが示される結果でもあった。

 前走サマーチャンピオンの逃げ切りから、地方の1400mが合うと思われたグレイスフルリープだが、スタートで後手を踏んだところで万事休す。スーサンジョイはフェブラリーS以来7カ月ぶりの実戦で、事前に陣営のコメントでもあったように万全の仕上がりになかったのだろう。この2頭はまったく能力を発揮していない。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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