スマートフォン版へ

東西の「サトノ」を逆転できる仕上がりにあるのは? 最終追い切りチェック!

  • 2017年03月15日(水) 18時00分


道中の感じも前走以上だったトリコロールブルー

 本日3月15日の栗東トレセンは調教開始前は傘がないとびしょ濡れになってしまうほどの雨。調教開始直後に雨は止んだものの、曇り空。その後、雨が雪へと変わり、次第に横殴りの降り方へと変化します。雪が止んだと思えば、次は青空。そして、また黒い雲が空を覆い…。という感じで、目まぐるしく天気が変化していきました。

 こんな天気だとちょっと憂鬱になったりするものですが、トレセンニュースでもお伝えした阪神大賞典のサトノダイヤモンドを筆頭に、この春のG1を盛り上げてくれるであろう馬たちの追い切りが山盛り。時間があれば、追い切りを見て、その直後の様子もしっかり確認することができて。シュヴァルグランが追い切った時間帯はそれができただけに、馬を見た後に「なんて幸せなんだろう」と思った感触は、女性がおいしい食事の後に最高のデザートを口にした時の感触に似ているのかも知れません(笑)。

【ファルコンS/ナイトバナレット】

 未勝利戦勝ちは新潟芝1400mでしたが、前走は中山芝1600mを内枠から後方まで下げて、最後は外からの差し切り。なかなか体力の必要な勝ち方をしたという印象でしたが、どちらの勝利も中1週。使ってこそ、タフなところが持ち味として出るという判定が前走までの私のイメージです。

 それだけに今回は休み明けがどうかと思っていましたが、中間の追い切りでは好時計を連発。特に先週の坂路4F51.1秒はこれまでの自己ベストを1秒も縮める数字。そして最終追い切りも4F51.9秒と速く、2F24.6秒も脚力を示す数字。個人的にはこの攻めた内容が次走の距離延長に対してマイナスになるかも知れないという懸念はありますが、今回に関しては間違いなくプラスとなる攻め強化でしょう。

ナイトバナレット(3月14日撮影)

ナイトバナレットはプラスとなる攻め強化(3月14日撮影)


【スプリングS/トリコロールブルー】

 前走は休み明け、しかも最終追い切りが単走だったこともあり不安視していましたが、きっちりと結果を出してきました。今回は中3週。ここへ向けて、坂路とCWを併用して追い切り本数多く仕上げることができており、ひと叩きした上積みは十分に感じることができる調整過程です。

 今回は1週前追い切りで、レースで騎乗予定のM.デムーロ騎手が跨っての併せ馬。ここでしっかりと時計を出して、最終追い切りは単走。これは前回と同じパターン。前走時よりも最後の直線での動きはしっかりしていますし、道中の感じも前走以上。あとは中山競馬場に対する適性がどの程度なのかといったところでしょう。

トリコロールブルー(3月15日撮影)

ひと叩きした上積みを十分に感じるトリコロールブルー(3月15日撮影)


【スプリングS/モンドキャンノ】

 当初は京王杯2歳Sを勝ち、短距離路線を進むだろうと思われましたが、朝日杯FSでは2着。折り合うことができれば、距離延長にも対応できるという陣営の考えから、今年はスプリングSからNHKマイルCという路線を設定。昨年までの調教内容を見ていると、私も距離に対応できると思っていましたが、今年の心配は中間の調教内容。

 昨年時に比べるとCWでの追い切り本数が少なくなりました。確かに3月8日、1週前追い切りはCWでしたが、これも4F追い切り。6F追い切りがないので、道中の折り合いという意味では昨年と同じように走ることができるかどうかは未知です。ただ、1週前追い切りでも最終追い切りでも後ろから追いかけて行きたがるという素振りを見せなかった姿からはすでに2歳時の調教が実になっているのかも知れません。今回はコーナー4つなど課題の多い舞台ではありますが、仕上がり状態に関しては休み明け以上の評価をしたいところ。

モンドキャンノ(3月14日撮影)

仕上がり状態に関しては休み明け以上の評価をしたいモンドキャンノ(3月14日撮影)


【阪神大賞典/シュヴァルグラン】

 この中間から調教における乗り手が替わりました。それによって、私個人が感じたのは「走りが素軽くなった」ということ。このヒントとなったのは、この中間最初の追い切りで騎乗した大江祐輔調教助手が口にした「マラソンのような追い切り」という言葉です。確かに、この中間は普段から機敏に動かすということをテーマにしたような調教が課されています。

 それを専門的な言葉として発してくれたのが、1週前追い切りに騎乗した福永祐一騎手。「ハミに向かっていく」というものですね。ただ、このテーマでの課題は後ろの稼働力。現状ではまだということでしたが、そういった意味でどうしても動かす必要がある坂路馬場での追い切りには大きな意義があったように思います。

 今までなら先行していたインヴィクタに追いつくのがやっとでしたが、今回の最終追い切りでは追いつくどころか先着まで持っていきました。ダイナミックなフットワークはこれまでのシュヴァルグランとは明らかに違ってきており、まさにひと皮もふた皮も向けてきたと思います。現状でサトノダイヤモンドとどの程度のレースができるか。かなり興味深い一戦となりそうです。

シュヴァルグラン(3月14日撮影)

シュヴァルグランのフットワークはこれまでとは明らかに違う(3月14日撮影)


【フラワーC/ディーパワンサ】

 デイリー杯2歳S、阪神JFと4着に終わっていますが、どちらのレースも勝ち馬のレース運びや能力が上だったというだけ。相手次第、レース選択次第ではすでに重賞を勝っていても不思議ない、そう思わせてくれる素質の高さを感じます。厩舎の重賞初制覇は先週、カラクレナイに先を越されてしまいましたが、2週連続重賞制覇だって十分可能性はあるでしょう。

 今回はコーナー4つの芝1800m。これに不安を感じる方がいるかも知れませんが、個人的にはこの舞台が最適と思わせてくれるようなレース運びをできる印象を持っています。その根拠はCWでの追い切りの動き。常にCWでの併せ馬は外から前を捕まえにいく動きを見せており、その加速力は素晴らしいものがあります。一瞬の脚は他馬に見劣るところもあるかも知れませんが、今回は立ち回りひとつで十分勝ち負け。それが可能な仕上がり状態にもあると思います。

ディーパワンサ(3月15日撮影)

立ち回りひとつで十分勝ち負けできそうなディーパワンサ(手前)(3月15日撮影)



◆次走要注意

・3/11 うずしおS【ジュールポレール】(1人/1着)

 サダムパテックの半妹ですが、タイプは全く違います。牝馬らしい柔らかさがあるものの、気性的な難しさも秘めているようです。
 そんなところが最終追い切りにも表れていますし、レースでも上がりはメンバー最速。切れがあるのに先行することもできる安定タイプなので、今後も順調に結果を出していくはずです。

[メモ登録用コメント] [阪神牝馬S]西園正都厩舎の勝負調教に該当すれば勝ち負け

・3/11 アネモネS【ショーウェイ】(7人/7着)

 休み明けで追い切り本数が少ない状態。しかも中山競馬場は初めてで、16キロも馬体が減ってしまった状況。正直、状態は最悪だったと思いますが、それでもハナを切って勝ち馬と0.6秒差は能力が高い証拠。
 次走は馬体重がきっちり戻って、追い切り本数が標準なら十分勝ち負けできると思います。

[メモ登録用コメント] [芝1600m]調教タイプが標準で馬体重が10キロ以上増なら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・3歳未勝利【グレンマクナス】
 既走馬相手の初出走でも結果を出してくれると思いましたが、やっぱり甘くありませんでしたという前走。今回は一度レースを経験していますし、最終追い切りの動きを見ていても、負けるわけにはいかないという状態です。

【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング