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「この馬しかない」と思わせる動きを見せたのは!? 高松宮記念追い切りチェック!

  • 2017年03月23日(木) 18時00分


体重は増えないことが理想のメラグラーナ

 今週は月曜開催の影響で、追い切りが通常の水曜ではなく木曜に集中。その関係で当コラムに関しても更新日を1日遅らせてもらいました。とはいっても、22日の水曜日に追い切った馬もそれなりにいます。昔なら全休明けに追い切るなんてとんでもないくらいの風潮でしたが、時代の変化とともに、そういったことはなくなっています。

 この原稿を書いているのは、23日午後なので、高松宮記念の最終追い切りがすべて終了している状態。きっとここまで本命を迷うものだろうと思っていましたが、実は22日の時点で「しゃあない」とばかりに本命を決めてしまいました。先週の時点では違う馬だったのですが、やっぱりあの動きの衝撃は今でも忘れることができません。

【高松宮記念/ソルヴェイグ】

 冒頭に記した「衝撃」はこの馬の最終追い切り。それは決して時計だけはありません。まず前走時の最終追い切りに遡りますが、頭の位置が高く、明らかにスプリンターズS時とは違う走りを見せていました。スプリンターズSでは本命を打ちましたが、その落差に思い切って無印にしたのが私の前走評価です。

 そこからどのくらい良くなってくるのか。それを注目していましたが、3F目が最速になった1週前追い切りと比較すると、雲泥の差となる4F目最速ラップ。それでいて、4F時計が自己ベスト更新。担当者である松浦良幸調教助手は「飼葉をしっかり食べていて、すごく状態がいい」と絶賛。だからこそ強い攻めをできるし、それで更に良くなっていくといった感じのようです。左回りが初めてなどの課題はあるものの、現状を評価するのであれば、やっぱりこの馬しかありません。

【高松宮記念/シュウジ】

 前走の敗因について様々な憶測ができるところですが、調教内容は1週前に4F49.8秒をマークするなど、休み明けだからといって、トライアルだからといって、負荷が軽かったとは思えません。それだけに結果論として、やはり8キロの馬体重増という見える数字に敗因を求めたくなってしまいます。

 だからというわけではないのでしょうが、この中間は本当に追い切り本数が強化されました。これにより、馬体の輪郭がはっきりしてきた印象を受けるだけに、やっぱり前走は太かったのではないでしょうか。1週前追い切りは本当に素晴らしい動きでしたし、最終追い切りも緩めることなくしっかり。これで負けたら仕方ないくらいの仕上げでは出てくると思います。

シュウジ(3月14日撮影)

この中間は本当に追い切り本数が強化されたシュウジ(3月14日撮影)


【高松宮記念/メラグラーナ】

 前走は休み明けで追い切り本数が少ない状態。過去の休み明けはこの調教内容でも好走歴がありましたが、さすがに重賞ではどうだろうと少し疑っていましたが、特に問題ないレースぶりで勝利。ただ追い切りをあまりやっていない状態で8キロ減という体重には少し気持ち悪さも感じました。

 そして中2週の今回。追い切り本数はそれなり。1週前追い切りはエラーとなっていますが、私が見ていた感覚では、4F56秒前後くらいだと思います。だから極端に時計が遅いわけではありませんし、3月19日には半マイルでも時計を出しています。そして最終追い切りも4F52.4秒。これだけやっているのであれば、体重のことを気にする必要はないのかも知れません。むしろ過去の成績で10キロ以上馬体が増えた時に凡走しており、体重は増えないで出走することが理想でしょう。

【高松宮記念/フィエロ】

 8歳にして初めての1200m。それだけに1週前追い切りの坂路4F49.2秒はスプリント適性を高めるという意味でプラスではないかと思いましたが、それまでの調教過程を見ていると、これは最終追い切りに温存していたような気がしました。それだけに今後の調整に注目していましたが、3月20日にはCWで4Fから時計を出しています。これを見て、今回はとことん攻める調教になるのかなというイメージ。

 そして最終追い切りは坂路で単走。4F53.0秒は速くありませんが、2F24.5秒、1F12.1秒は当然速い数字。この時計自体は前走時の最終追い切りと大差ないものなので、好走調教と思いますし、あとはスプリントの流れに対応できるかどうかでしょう。

フィエロ(3月23日撮影)

今回はとことん攻める調教というイメージのフィエロ(3月23日撮影)


【高松宮記念/レッツゴードンキ】

 前走の追い切りでは、4F時計も速い数字なので、2Fが24秒を切るという素晴らしい脚力を見せていました。それが桜花賞以来の勝利につながったとすれば、やはりこの時計はひとつの目安になってくるのではないかと思います。

 ちなみに1週前追い切りは4F50.4秒で2F23.7秒。このバランスは前走時の1週前追い切りとほぼ同じ。これで最終追い切りが2F24秒切りなら前走とほぼ同じと評価したかったのですが、結果的に2F時計はエラーに。僕に対しての嫌がらせというわけではないでしょうが(笑)、とりあえず調教VTRを何度か見て、後日区間ラップを計算する予定。ただ動きをライブで確認した時の印象ではそこまで速い数字ではなかったように思っています。とはいっても、もちろん好走できる状態にあることは間違いありません。

レッツゴードンキ(3月14日撮影)

好走できる状態にあることは間違いないレッツゴードンキ(3月14日撮影)


◆次走要注意

・3/18 若葉S【インヴィクタ】(1人/3着)

 最終追い切りの併せ馬でも遅れ。状態面での割引に加えて、距離の2000mも決して得意とは思えない中でのメンバー最速上がりをマーク。やはりオープンくらいのメンバーなら十分勝ち負け。
 ただ、距離適性に関してはもっと長くてもいいはず。今後は長距離路線が理想ではないかという印象を受けます。

[メモ登録用コメント] [芝長距離]最終追い切り併せ先着なら勝ち負け

・3/19 阪神大賞典【シュヴァルグラン】(2人/2着)

 サトノダイヤモンドとの1馬身1/2は決定的な差、もう逆転できないのかも知れません。しかし、この馬自身はモデルチェンジを遂げ、きっちり馬体重も減っての出走。この馬にとってもこれが完成形でないとすれば、このレースを使ったことによる上積みはあるはず。
 実際、追い切り本数が多く、最終追い切りの併せ馬で先着することが天皇賞春に必要な調教適性。それを考えると、今回のレースだけで見限るわけにはいきません。

[メモ登録用コメント] [天皇賞春]調教タイプが標準多め併用で最終追い併せ先着なら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・淀屋橋S【フルールシチー】
 6歳牝馬ですが、追い切りでの動きは常に絶品。今回も4F目11.9秒で、後半2F23.9秒。前走は馬群でもレースできたことが収穫。あの走りが今回もできるようなら、中団から差す脚を使えるはずです。

【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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