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【中京記念予想】猛暑が続く夏競馬 状態の判断は追い切り本数や時計よりも走りの弾み

  • 2023年07月19日(水) 18時00分

ルージュスティリアら有力馬の追い切り内容をチェック


 連日の35℃超え。人間が普通に生活するだけでも大変なのに、トレーニングをする馬は本当に大変です。ただ、今は5時から馬場開場ということで、その時間帯ならまだ・・・、と言いたいところですが、今朝19日の気温は26℃でした。それでも30℃を超える時間帯よりも暑くはありませんし、できるかぎり、調教時間中も前半に追い切りを終えて、という陣営の工夫も見られます。

 夏負けの症状として、目の周りが黒くなる、牡馬は睾丸が腫れて大きくなる、といったことが言われています。もちろん、これらで馬の状態を判断することも大切ですが、追い切りを見ていると、夏負けしている馬はどこか動きがぎこちなかったりします。逆にこの暑さでも状態が良いと弾むような動きを見せていたりしますし、調教に関しては追い切りの本数や時計だけにこだわるのではなく、いかに弾んでいるか。これが重要な気がします。

【中京記念/ルージュスティリア】

 いくら牝馬とはいえ、53キロ。トップハンデが59キロですから、その差は6キロ。これが人気を推し上げる要因のひとつかもしれませんが、逆の視点だと、それだけ実績はないということでしょう。確かに3歳時も含め、重賞では掲示板にすら載っていません。ただ、ヴィクトリアMで先行した内容をどう捉えるかによっては、美味しいハンデと判定することもできるのかもしれません。

 あとは調教内容。1週前追い切りは坂路で2F23.7秒と素晴らしい後半の脚力。そして、最終追い切りはCWでした。これはチューリップ賞以来の最終追いなので、ここの判断が難しいところ。ただ、近2走が坂路で結果を出せていないので、新馬勝ちでの実績もあるCWは素直に評価すべきなのでしょう。

【中京記念/ディヴィーナ】

 追い切りではめちゃくちゃ動く馬なんですが「だからこそ、ジョッキーが乗り難しいって思っちゃうところがある」とはヴィクリアMの戦前に友道康夫調教師と交わした会話です。その後、ヴィクトリアMを振り返ると「追い切りに騎乗していなかったこともあって、先入観なく乗ってくれたことで、最後の直線でいい脚を使えたのでは」と師は分析していました。

 ある意味、前走の好走でジョッキーが手の内に入れたこともあり、連続騎乗、そして、1週前追い切りにも騎乗。ジョッキーが騎乗したCWでの追い切りでここまで落ち着いた走りを見せたのはいつ振りだろうと思うような、いい動き。最終追い切りは前走同様の坂路ですし、4F目最速ラップは踏めなかったものの、2F速い時計をマークしたところは評価すべきです。

調教Gメン研究所

中京記念の出走予定のディヴィーナ(7月18日撮影)


【中京記念/ホウオウアマゾン】

 2021年のアーリントンC以来、勝利からは遠ざかっていますが、netkeiba.comの予想オッズは19日正午時点で3番人気。やっぱり人気のある馬なんだなあと思いますが、1週前追い切りのCWでの動きはちょっと重さがあるかなという印象。そもそもCWで追い切る時はそういった状態なので、最終追い切りは坂路なのかCWなのか気になっていました。

 結局、CWでの併せ馬。時計的にはラスト1Fが11.5秒なので、決して悪くないと思うのですが、結構しっかりと追われていました。偶然だと思いますが、この時に外にモズナガレボシがいて、手応えはそれに劣勢だったことも見栄えしない追い切りとなった理由のひとつ。ここを使ってからの方が良くなりそうな気配はあります。

調教Gメン研究所

栗東CWで最終追い切りを行ったホウオウアマゾン(写真中央、7月19日撮影)


【中京記念/ダノンスコーピオン】

 安田隆行調教師が「完璧に乗ってくれた」と振り返る安田記念ですが、結果は13着。まだ完調ではなかったのか、中2週が応えたのか。後者に関しては、NHKマイルCを勝ったローテーションでもあっただけに、ここの敗因がはっきりしないところは個人的にどうもスッキリしません。

 ただ、ここ最近の坂路での追い切りは抜群という言葉しかありません。終い重点とはいえ、11秒台を連発。8本の追い切りのうち、6本が11秒台ですから本当に素晴らしいラスト。アーリントンCを勝った時もCWではラスト1Fが11秒半ばでしたから、それと同じような終いの切れを見せている今回は変わってきて不思議ないと思います。

調教Gメン研究所

栗東坂路で追い切りを行うダノンスコーピオン(7月18日撮影)


【中京記念/ウイングレイテスト】

 美浦所属馬ですが、坂路の閉鎖もあって、この中間は栗東に滞在。追い切りこそ、CWで行われていますが、普段の調整を坂路で行っていて、これがひとつのリズムの形成になっているのでしょう。

 最終追い切りは松岡正海騎手が跨って、6F標識を過ぎたところでは少し速いラップ。3コーナーに入って、少し息を入れるような形になって、最後の直線は11秒台のラップ。6F80.9秒と速い時計が出ていながら、ラストは11.3秒ですから栗東にも慣れたというところでしょう。あとは重賞での力関係だけ。

調教Gメン研究所

松岡騎手を背に栗東CWで最終調整を行ったウイングレイテスト(7月19日撮影)


◆次走要注意

・7/16 名鉄杯【ダノンハーロック】(8人/8着)

 1年以上の休養明けでしたが、スタートから向正面に入るまではいいポジションをキープ。ただ、向正面で落鉄したと思うので、その後は参考外。この後も無事にレースを使えるようなら、OP特別なら十分勝ち負けでしょう。

[メモ登録用コメント] [ダート中距離]最終追い切りが坂路で4F51.9秒以下なら勝ち負け

◆開催おすすめの調教適性

<中京芝1600m>
◎最終追い切りが坂路馬場で4F目最速ラップ
○最終追い切りが坂路馬場で2F25.0秒以下
○1週前日曜日追い切りが栗東トラック馬場

 中京記念に関しても、最終追い切りが坂路重要というのは変わりません。また、4F目最速ラップや2F時計も重要ですが、1週前追い切りに注目すべきなのが中京記念だと思うので、そのあたりはウマい馬券で紹介できればと思っています。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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