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【富士S・菊花賞予想】有力候補のサトノグランツは描いていた通りの仕上がりか 有力馬の調教内容をジャッジ

  • 2023年10月18日(水) 18時00分

クラシック三冠最終戦はどの馬に


 今週は菊花賞。皐月賞馬、ダービー馬が出走してくるといっても、先週ほど一本被りになることはありません。そこに金曜日には雨が降るかもという天気予報が加わって、馬券的にはいろいろと考える要素があって、面白い菊花賞になるかも知れません。

 ただ、先週の時点で友道康夫調教師が口にしていた「開幕週にしては、馬場はあまり良くなかったよ」という言葉がすごく気になっていて、確かに超スローになれば、上がりが33秒台もありますが、それなりに流れると、ある程度上がりがかかっている印象。特別戦の出走頭数が少なくて、時計を参考にしにくいというのがありますが、コーナーを6度も回る菊花賞ともなれば、やっぱり上がりがかかる想定で予想を組み立てた方がいいのかも知れません。

【富士S/ナミュール】

 今年は東京マイルを3戦続けて使っていますが、好走は東京新聞杯の2着のみ。この時は追い切り6本、すべてに併せ馬を課してきて、1週前前追い切りも最終追い切りも4F時計が53秒台でラスト1Fが11秒台。本数自体は多くなかったものの、非常に密度の濃い調教内容を消化しているという印象でした。

 その後の2戦はそこまでの調教が課せられていません。もちろん調教内容だけでなく、GIだったからという違いがあるのかも知れません。ただ、今回は東京新聞杯に似たシチュエーション。それゆえに調教内容の比較は好走凡走の見極めに重要だと思いますが、1週前追いまでの時点で前記した内容はクリアしていません。ただ、最終追い切りに関しては4F目が11.9秒をマークしたので、この点だけは評価できます。

調教Gメン研究所

密度の濃い調教内容を消化したナミュール(10月11日撮影)


【富士S/ステラヴェローチェ】

 2022年ドバイシーマクラシック以来のレース。これに加えて、マイルが2歳時の朝日杯FS以来ですから、さすがにブランクが、と気にしたくなる状況ではあります。ただ、調教量に関しては9月上旬から追い切りを開始、15-15の時計を毎日のように出したり、水曜日には坂路を2本乗るなど、いろんな工夫がなされています。

 坂路での追い切りに工夫はあるのですが、休養前はCWでも強い負荷をかけられていた馬。今回はそれがなく、その代替として坂路2本乗りなどがあると思うので、そういった意味ではいろんなブランクを埋めるだけの調教内容、というわけにはいかないイメージです。

【菊花賞/サトノグランツ】

 ゆきやなぎ賞の最終追い切りを終えた後「今回の追い切りも決して悪くないですけど、本格化するのは秋だと思います。菊花賞ですね」と言った大江祐輔調教助手の言葉。それがいよいよ現実になろうとしているということなのでしょう。神戸新聞杯を勝って「さあ!」って感じですよね。

 そこに向けての調教内容もしっかりしています。1週前追い切りのCWでの3頭併せも素晴らしい動きでしたし、最終追い切りは軽く走っているように見えて、時計は4F52.7秒。モニターでその動きを確認した時は54秒か55秒くらいのゆったりした走りでしたが、これだけ数字が出たことについては「ゆったりと走っているんですが、今までに比べてパワーが付いてきたからこの時計が出ているんでしょう」と大江助手。陣営が描いていた通りの仕上がりということなら、結果が出るんじゃないかと思います。

調教Gメン研究所

結果を出せる仕上がりのサトノグランツ(10月18日撮影)


【菊花賞/ファントムシーフ】

 前走時の時点で仕上がり状態としては完璧だったと思います。だからこそ、今回に向けての上積みというのはあまりないかなと思っていたのですが、1週前追い切りのCWでの併せ馬はそれが間違いだったかもというくらい、素晴らしい内容でした。それだけに注目した最終追い切りだったのですが。

 実は動きは見れていなくて、ラップを見ただけ。それが14.5秒、15.0秒、13.0秒、11.9秒。前半が0.5秒もちぐはぐラップになりました。前走時の最終追いはもちろんきれいな加速ラップ。映像を見れば、あまり気にならないかも知れませんが、やはり客観的には評価を下げるしかないかなと思っています。

調教Gメン研究所

1週前は素晴らしい内容も最終追いはちぐはぐだったファントムシーフ(写真右、10月12日撮影)


【菊花賞/ハーツコンチェルト】

 美浦所属馬ですが、前走後も引き続きの栗東滞在ということで、ここに取り上げさせてもらいます。1週前追い切りは寺島良厩舎の馬を相手に併せ馬を敢行。ここでいい動きを見せていましたが、その結果、かなり気持ちが乗ってきたなと感じます。状態を上げるという意味では必要なことだと思いますが、普段の仕草も少し煩いかなと思っていたので、最終追い切りの動きには注視しました。

 単走、馬の少ない時間帯ということもあったんですが、6Fから5Fで一気にラップが上がる感じで、その後はラップを緩めてという感じ。前走時の3、4コーナーが少し行きたがっている仕草に見えたんですが、それがあるだけに、どうも今回は道中の折り合いがひとつの鍵になるのかな、と思ってしまいます。

調教Gメン研究所

かなり気持ちが乗ってきたと感じれるハーツコンチェルト(10月18日撮影)



◆次走要注意

・10/15 テレビ静岡賞【アメリカンファクト】(13人/13着)

 人気薄が人気通りの着順に敗れただけと思われてしまうかも知れませんが、パドックでの気配は抜群でした。あの雰囲気の通り、前に行ってしまうと最後は脚がないというパターンのような気がします。スタートが良くても、無理やり下げて競馬をすれば、結果が変わってくるんじゃないかという期待を持っています。

[メモ登録用コメント] [東京ダート1400m]後方待機なら一変可能

◆開催おすすめの調教適性

<東京芝1600m>
◎最終追い切りが美Wでラスト1Fが最速ラップ
◎最終追い切りが坂路で4F目最速ラップ

 昨年の富士Sは最終追い切りが栗東坂路で4F目最速ラップを踏んだ馬が1着から3着。今年のサウジアラビアRCは最終追い切りが坂路で4F目最速ラップを踏んだ馬が2頭しか出走していなかったので、1着3着が美Wでラスト1F最速を踏んだ馬の好走でした。先週の日曜日は雨の影響を受けた馬場だったので、12番人気の最終追い坂路4F目最速ラップが2着でしたが、Wか坂かちょっと判断の難しい馬場ではあります。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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