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【天皇賞(秋)・スワンS・アルテミスS予想】秋の府中で行われる頂上決戦! 東西重賞有力馬の調教内容をジャッジ

  • 2023年10月25日(水) 18時00分

世界No.1ホースとの再戦に万全仕上げのドウデュース


 先週の菊花賞。勝ったドゥレッツァは一旦先頭に立って、その後息を入れるためにペースを落とし、そのタイミングでハナを狙っていた馬の直後につけるという、大外枠を帳消しにする大胆な騎乗。馬の強さがあってできた芸当でしょうが、馬を知っているからこそ、馬を信じているからこそ、できることなのでしょうね。

 さあ、天皇賞(秋)。頭数は少なくても役者が揃った、見どころたっぷりな一戦。個人的には昨年のパンサラッサの役割をジャックドールが担ってくれることで、最後の直線に向いた時に東京競馬場の大歓声が沸く、そんなイメージです。その中からどの馬が抜け出してくるのか、今から楽しみで仕方ありません。

【アルテミスS/サフィラ】

 最後の直線で内ラチにぶつかる不利がありながら、走ることを諦めずに懸命にゴールを目指した姿が印象的だったデビュー戦。それを思えば、2戦目は順当勝ちといったところで、さあここからが本当の戦いが始まるといったところでしょう。

 CWできれいな加速ラップを踏むことはなかなか至難の業ですが、前走時の1週前追い切りでこれに該当。そして、今回の1週前にもきっちりきれいな加速ラップを踏んでいます。動きの質としては今回の方が良く見えただけに、あまり変わっていないかも知れませんが、それはレベルの高い部分での話で、中3週でこれだけしっかり動けること自体が前走以上といってよいと思います。

調教Gメン研究所

前走以上の状態でアルテミスSを迎えられそうなサフィラ(10月24日撮影)


【スワンS/グレナディアガーズ】

 前走高松宮記念は中3週ではありましたが、質の高い追い切りを消化していたので、◎を打ちました。結果5着も納得の走りでしたから、5歳になっても決して力が衰えたという印象はありません。ただ、今回は骨折休養を挟んでいるので、そこがポイントでしょう。

 まず追い切り本数に関しては十分すぎるくらいに消化。しかも坂路で4F50.6秒をマークしたり、CWで3F36.5秒をマークしたり、今回も質の高い追い切りを消化できているといってよいでしょう。個人的には距離は1400mベストの印象が強いので、狙うとすればここかなという気はします。

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1週前追い切りをこなすグレナディアガーズ(10月17日撮影)


【天皇賞(秋)/ドウデュース】

 ドバイ遠征で無念の出走取消。そこからじっくりと間隔をあけて、今秋は天皇賞(秋)から始動するということを早々に発表していました。それゆえにここに向けた調教開始も早く、しかも追い切りを開始した時点から、来週が競馬でも走れるんじゃ…と思わせてくれるような動きを見せていました。

 1週前追い切りのCWでの3頭併せは文句なしでしたし、最終追い切りは坂路。国内のレースでの最終追いはすべてトラック馬場だったので、この坂路追いをどう判断するかですが、友道康夫厩舎自体は1週前CW、最終坂路というのが通常のパターン。ですから全く気にする必要はありません。むしろ東京芝2000mでスピード勝負になるようなら、これがベストな最終追いになるはず。その最終追いも4F52.8秒で2F24.1秒、1F12.0秒。しっかり4F目最速ラップを踏めています。

 この追い切りを終えた後、厩舎へ戻る途中、騎乗していた前川和也調教助手にお話を伺っていると、他厩舎の馬が嘶いたのを聞いて、ドウデュースが一喝!? するような声を発したんですよね。これがめちゃくちゃ迫力があって。だから気持ちの部分も相当しっかりしているんだろうなと感じることができました。

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1週前追い切りをこなすドウデュース(10月19日撮影)


【天皇賞(秋)/プログノーシス】

 金鯱賞で初重賞制覇を果たしましたが、これが遅すぎるくらいの素質馬。そう思わせてくれたのは、前走札幌記念でタフな馬場でも2着に4馬身の差をつけることができる結果を見せてくれました。少しレース間隔はあくものの、過去の札幌記念→天皇賞(秋)は好走ローテといってよいでしょう。ただ、どんな調教内容を課してくるかには非常に興味がありました。

 調教量としては十分すぎるくらいの量をこなしています。そして、1週前追い切りではCWで併せ馬を課して先着。これもいい動きでした。そして、最終追い切りはCW。単走だったことも加えると、3勝クラスを勝った時と同じパターンになります。動きに関しては、すごくスムーズで、本当に馬の気分任せのような走りだったのに6F83.7秒も出ていたんだという感じ。すごくいい状態で出走してくるのではないでしょうか。

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状態の良さを調教からアピールするプログノーシス(10月25日撮影)


【天皇賞(秋)/ジャックドール】

 昨年の天皇賞(秋)は4着。同じローテーションになりますが、調教内容が全く違います。まず本数としては昨年が5本に対して、今年は9本。とても同じ間隔とは思えない本数強化ですし、坂路での時計の出し方や最終追い切りのCWでの負荷に関しても違います。

 1週前追い切りがあまりにも素晴らしかっただけに、最終追い切りが軽くなることを懸念していたのですが「来週もある程度はやるつもり」と1週前追いを終えた後に藤岡健一調教師からお話を聞くことができていたので、そこはあまり心配ではありませんでした。実際、単走ではありましたが、5F65.4秒。追い切り直前に「66秒くらい」という目安を教えてくれていただいていましたが、さすがは騎乗した仲田雅興調教助手。ラスト2Fは11.1秒、11.0秒ですから、この状態で自分の競馬をして負けたら仕方なし、でしょう。

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昨年4着からの巻き返しを狙うジャックドール(10月24日撮影)


◆次走要注意

・10/21 2歳未勝利【インザモーメント】(2人/1着)

 デビュー戦でも注目していましたが、2戦目は状態もアップさせての勝利。追い切りでの動きが良くなっていたので、まだまだ上昇幅のありそうな素質馬。この後は少し間隔があくようですが、当然次走も注目です。

[メモ登録用コメント] [芝中距離]最終追い切りがCWで馬なりの併せ同入先着なら勝ち負け

◆開催おすすめの調教適性

<京都芝1400m外>
◎最終追い切りが坂路で4F目最速ラップ
◎最終追い切りが坂路で3F目以降12.5秒以下のラップ
◎最終追い切りがトラックウッドチップ馬場で2F23.9秒以下

 京都競馬場で行う、久しぶりのスワンS。春開催の傾向を参考にすると、やや坂路優勢ではあるものの、トラックでも2F時計が速ければ調教適性として互角に勝負できるといった感じ。ただ、該当馬がそれなりの頭数になりそうなので、優先順位として坂路なのかトラックなのかは決める必要がありそうです。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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