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名古屋で台湾

  • 2011年07月13日(水) 18時00分
 名古屋は独特の食文化が発達した地域。日本の大半の場所ではあまりお目にかかれないのに名古屋ではなぜかメジャーという料理がたくさんある。ざっと挙げただけでも、みそかつ、どて煮、ひつまぶし……。きしめんもそうだし、天むすも名古屋が発祥の地だと記憶している。

 そんな名古屋の「地元フーズ」は、もちろん名古屋競馬場のなかでも食べられる。といっても名古屋競馬場にきている常連さんにとっては、たとえ名物でも日常の食べ物。遠くから突撃する人にだけ、「おおっ」という反応と感動があるともいえるわけだ。

 私も名古屋競馬場ではいろいろ食べた。正門を入ってパドック側にあるきしめん店にも入ったし、どて丼も食べた。みそがたっぷりついた串かつはテイクアウトでいただいた。ついでにスタンド内にある「あらぶ」の寿司も。愛知県はうなぎの産地ということで場内には「うな重」の文字もあるのだが、予算の関係でまだ食べたことがありません(哀)。

 そしてもうひとつ、名古屋独自の食べ物が「台湾ラーメン」。いわゆる普通のラーメンに辛く炒めたひき肉とニラ、もやしなどが具で入り、さらにスープに唐辛子が入っている、いわゆるピリカラホットフードである。なんでこれが台湾ラーメンという名前なのかは不明だが、市内のラーメン店でもけっこうな確率でメニューに入っているし、それ専門という店もあるほど名古屋の人々には深く台湾ラーメンが浸透しているのである。

 もちろん、その台湾ラーメンも名古屋競馬場で食べられる。というか、すでに私は2回も食べている。それを提供している店が、正面入口の4コーナー寄りにある「えびすや」だ。

えびすや


お店のメニュー

 しかしまあ、店先に掲示されたメニューの多いこと。いわゆる街なかの中華料理店がそのまま競馬場内にあるという感じだ。実際に店に入るとまさにそのままで、白衣を着たおやじさんが注文ごとに中華鍋を振ってくれるわけだから、まさにその辺にあるラーメン屋さん!

 数分待って出てきた台湾ラーメンは、名古屋の繁華街で食べた台湾ラーメンに負けず劣らずの深い味でかなり満足。勢い余ってスープまで全部飲んでしまった。

台湾ラーメン

 しかしこういうふうに、街中によくある店が競馬場にそのままあるケースは少ない。日本中に山ほどあるパスタ屋さんは、競馬場のなかだと笠松と荒尾くらいしか思い浮かばないし、全国にあまたあるハンバーグ屋さんも競馬場では……。

 その代わり、競馬場には世間であまり売られていないフードが充実している。やきそばとか煮込みとか。でも、それって客のニーズでそうなったわけではなくて、大量に作って取り分ければいいから楽、という店側の都合だと思うんですよね〜。今は競馬場に空き店舗がいっぱいあるのだから、ラーメンや洋食を修業中の若手に出店してもらうとか、いろいろ考えられそうなものだけれど。

 でも今の地方競馬の集客力では、新規のテナントを募集してもなかなか現れないのかも。それでも南関東であれば平日の昼間で約3千人、ナイター競馬ならそれ以上が集まるわけで、そんなに人が集まるレジャー施設はそれほど多くないはずだ。個人的には競馬場フードがもっと多様化してほしいと願っている。それが現地に突撃する動機になることもあるんだし!

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グリーンチャンネル・中央競馬中継キャスターを経て、4月からは同じくグリーンチャンネルの新番組「競馬ワンダラー」の案内人を務める。そのほかにも生産牧場や育成牧場の取材、執筆、各地の競走馬セリ市の進行役も。3月には単行本「廃競馬場巡礼」を上梓。競馬のよき語り部としての研鑽を積んでいる。

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