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船橋競馬の能力調教試験

  • 2012年06月06日(水) 18時00分
 南関東の競馬場では、それぞれの開催の1週間から2週間前に「能力調教試験」(=能試)が行われている。実戦でファンに馬券を買ってもらえるだけの能力があるかどうかをチェックされるわけで、デビュー前の馬はこの試験に受かって初めて「競走馬」になれるわけである。

 ちなみに船橋競馬場では、2歳馬は今の時期だと800mを54秒0以内で走れれば合格。3歳馬は1分9秒0以内が合格だから、その線引きは実戦より余裕がある。だから各陣営とも、速く走るというよりは合格させることに重きを置いている感が大きいようだ。

 ちなみに6月5日の能力調教試験には43頭が出走したが、不合格となったのは2頭だけ。ゴール前でバチバチ叩かれている馬が少なかった反面、その馬自身がもつ素質が披露されるということでもあるだけに、この先に控える新馬戦の馬券を買う上で大きなヒントになるのは間違いない。

 ということで、スタンドには専門紙の記者さんもスタンバイ。走破タイムは主催者から発表されるが、一杯一杯なのか馬なりなのか、スタートはどうだったのか、コーナーはきちんと曲がれたのかといった状況は発表されない。新馬戦の馬券を買うときの手がかりは新聞のシルシだけというファンも多く、もちろん人気分布も新聞のシルシが大きなカギを握ることになる。そういった意味でも記者さんは責任重大であるといえる。

 一方、ファンにとっても新馬戦は宝の山。そりゃ当たり前で、将来の活躍馬と将来の下級条件馬がいっしょくたになって走るわけなのだから。ではさっそく、5鞍行われた能試から注目馬を挙げてみたい。なお、船橋競馬の新馬戦は6月21日(木)に実施される予定となっている。

【1組目(5頭)】
 ともに50秒4のタイムで、1位入線はインサイドザパーク(父タイムパラドックス・牡)、2位入線はオベロンホワイト(父スウェプトオーヴァーボード・牡)。インサイドパークはやや出負けしたがすぐに好位に取り付いて、最後まで楽な手ごたえ。オベロンホワイトも上々の走りだったが、この組からはインサイドパークだけをチョイスしたい。

【2組目(5頭)】
 1位入線は49秒8(この日の最速タイム)でガバナーリヴァイヴ(父スクワートルスクワート・牝)。行きたがる面を見せていた印象はあったが、兄にJRAで6勝を挙げているジェイケイガバナーがいる潜在能力を見せたといえるのかも。1000m戦ならいきなりから注目していいかもしれない。

【3組目(4頭)】
 52秒1でシャンタル(牝)とスカイツリーガール(父グリーンアプローズ・牝)がほぼ並んで入線。シャンタルは騎手がまったく追っていなかったが、最後まで先頭を守るという気合を見せていたように感じられた。この馬の父、ホールウォーカーは、エイシンサンディ直仔で浦和4勝という成績の新種牡馬だが、すでに浦和で新馬戦勝ち馬を出している。

【4組目(5頭)】
 1位入線は51秒5でプチフルール(父マイネルラヴ・牝)。ただ、この組はスタートからゴールまでスローペースで一団の走り。ちょっと判断はむずかしいが、3位入線(52秒1)でも手ごたえが楽だったユウバエ(父スパイキュール・牝)に注目してみたい。ちなみに母プルザトリガー、姉ロッパツノダンガンはともに活躍馬。

【5組目(4頭)】
 スタートからゴールまでリアライズリンクス(父ダイタクリーヴァ・牡)とリアライズブラック(父アドマイヤドン・牡)が併走し、3位以下を離してゴール板を通過。半馬身くらいのリードで先着(50秒3)した前者は大きなストライドで、初戦から好勝負が期待できそうだ。50秒4の後者も走りに無理がなく、上山競馬で14戦11勝した母から伝わる能力にも注目してみたい。

 ということで6月21日(木)の新馬戦にご注目を! ちなみに船橋競馬は「薄暮開催」を実施するので、第1レースが12時55分に発走予定。最終レースは18時半の予定です。

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グリーンチャンネル・中央競馬中継キャスターを経て、4月からは同じくグリーンチャンネルの新番組「競馬ワンダラー」の案内人を務める。そのほかにも生産牧場や育成牧場の取材、執筆、各地の競走馬セリ市の進行役も。3月には単行本「廃競馬場巡礼」を上梓。競馬のよき語り部としての研鑽を積んでいる。

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