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全国統一!?

  • 2012年06月20日(水) 18時00分
 ほんの十年ほど前までは、地方競馬の馬券にはいろいろと種類があった。表面が銀色のものとかペラペラの紙とか。地紋はもちろん文字の形にもそれぞれの特徴が現れていた。

 そういったオリジナルな感じのする馬券が、各競馬場にJRAから自動馬券発売機が払い下げられるようになってから徐々に減少。近年では発券コストおよび紙資源の有効化という観点から、裏が黒い馬券もだんだんお目にかかれぬようになってきた。

 南関東の馬券が徐々に二次元コード入りのものに変わっていき、現在は園田や名古屋などでも同じ様式になっている。その様子にさみしさを感じつつも、個人的には「全国的に同じ馬券が導入されるんだったら払い戻しも全国で可能になるのでは」ということを薄々感じていた。というのも、今年の3月に門別競馬場に行ったとき、試しに大井で買った当たり馬券を門別の払い戻し機に入れてみたら、きわめてあっさり払戻金が排出されたという経験があったからである。

 でもそのときは、道営競馬と南関東競馬が相互発売などで提携しているから門別でも大井の馬券を払い戻せたのだろうと思っていた。しかし、じつはそうではないらしい。先日、名古屋競馬場に突撃したときのこと。

名古屋競馬場の枠単

名古屋競馬場の枠単

「今日で枠単は終わりですよ〜」と、競馬エースの坂本千鶴子さんに教えられたのをきっかけに、その日はお名残購入ということでレースごとに枠単も買うことにしてみた。そしてウラ食ったレース後に場内をウロウロしていると、

『6月12日から名古屋競馬場での発売集計機能を共同トータリゼータシステムへ移行します』

 という表示をみつけたのである。そこには6月18日からの名古屋開催から「ワイド」が導入され、「枠単」の発売が終了することが書かれていた。さらに、

『また、共同トータリゼータシステムの導入により、全国の地方競馬施設で名古屋競馬の払戻が可能となります』

 とも。なるほど〜。馬券の左半分に二次元コードが印刷されている馬券って、JRAも地方競馬もおんなじレイアウトでつまんないなあと感じていたのだけれど、そうなるんだったら旅打ち派にとっては悪くない話かも。時間の都合で最終レースまでいられないとき、前売りで馬券を買って帰っても払い戻しの心配をする必要がなくなるんだものね(その前に的中させねばならんけど)。

 思い返せば、私の人生には無効になってしまった馬券がいくつかあった。盛岡で買って持って帰った馬券を東京競馬場で払い戻そうと思っていたら、いつの間にか東京開催が終わってしまって配当額を岩手競馬に寄付することになったっけ。園田から持ち帰った的中馬券を2か月以内に……と思っていたら行けなくなって、泣く泣く馬券を荼毘に付したことも。Aiba静内で馬券を買って千歳空港に向かったら、それが3万馬券的中で払い戻しをどうしようと悩んだこともあったなあ。

 でも、そういうケースがこれからは少なくなっていくわけか。持って帰った馬券を払い戻しに行く、という旅のきっかけは失われるけれど、これまでのムダを思えば全然たいしたことないぞ。これからは旅打ちでも悩むことなく馬券を買って家に帰ろう!

 でもそれは、いわゆる飛んで火に入る……ってことになるだけなのかも!?

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グリーンチャンネル・中央競馬中継キャスターを経て、4月からは同じくグリーンチャンネルの新番組「競馬ワンダラー」の案内人を務める。そのほかにも生産牧場や育成牧場の取材、執筆、各地の競走馬セリ市の進行役も。3月には単行本「廃競馬場巡礼」を上梓。競馬のよき語り部としての研鑽を積んでいる。

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