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日曜日の大井競馬

  • 2011年08月17日(水) 18時00分
 南関東の競馬といえば平日開催が普通で、カキイレ時は祝日や年末年始が中心。かつて大井や川崎は土日もけっこう開催していて、そしてかなり賑わっていたものだ。それが日本のものづくりの力が衰えるリズムと同調しているかのような右肩下がりで入場人員が減っており、その影響が大きいためか土日開催の売上額は平日以下。JRAに普段の顧客を取られているのは明らかということで、少し前には関係者筋から「今後は土日開催を極力減らすかも」という話も聞いていた。

 しかし実際はそうなってはおらず、大井競馬では2005年を最後にしばらく実施していなかった「お盆期間は土日ぶち抜き連続開催」を、昨年から復活させているのである。しかも今年は川崎競馬も土曜開催を久々に実施。馬券の売上の大半が競馬場か場外だった時代から、主要な顧客が電話投票にシフトしている現状を鑑みて、JRA終了後に転戦してくる層を狙う戦略がある程度の結果につながっているのだろう。

 でも、肝心の競馬場には客が入っているのか? という疑問解決も兼ねて、8月14日の大井競馬場に突撃してみた。

 まずは夕方5時すぎの第3レースからスタート。ウインズ後楽園や錦糸町の最終レースから転戦するには難しい時間帯だが、場内にはけっこう多くの人の姿があった。これなら春先の平日ナイターより人が多いかも。入場者数と馬券の売上額は比例しないものだが、このくらいの賑わい度があれば「競馬場に来た」という感覚はより強くなる。

スタンド

 そのあとは「ふるさとコーナー」で行われている、ばんえい競馬のプロモーション会場に移動して、3連複3連単が導入されたばんえい競馬で勝負。マークカードが旧式で、1着と2着の欄に1コずつしか塗れないのがわずらわしい……。南関東でも3連単が導入された当初は、このスタイルのマークカードだったっけ。1頭軸相手4頭の3連単を買うにはマークカードが4枚必要だったあの時代を思い出した。しかしフォーメーションに慣れてしまったゆとり世代の馬券オヤジは、その感覚を思い出すまで書き損じを大量生産。それにも負けず、「ふるさとコーナー」に集結した50人以上のファンとともに、ばん馬の歩みに大声援!

ふるさとコーナー

 そのうち「ばん馬とのふれあい」の時間になったので、会場である内馬場に移動した。しかしばん馬の姿は見当たらなかった……。場所と時間を間違えたかな?

 その代わり、たくさんいたのは小さな馬たち。ミニチュアホースと遊べるイベントが行われていたのだ。その近くにはポニーの姿も。ミニチュアホースには乗れないものの、どうやらポニーには乗れるらしい。もちろん大人はダメだけど。そしてその近くにはなんと、ハンガーにかけられたいろんな模様の勝負服が!

勝負服

 こりゃ英才教育にはもってこいですな。こんな経験がたくさんあれば、物心がついたときにはスンナリ競馬に入っていけるはずだ。競馬産業の未来のために、継続してそういう子供をたくさん育成していかないと! 馬券を売ってレースをするだけが競馬施行者の仕事ではないのだ!

 実際、ポニーの近くにある自動券売機では、小学校低学年とおぼしき少年が小銭とマークカードを機械に入れていたからねぇ。この子の将来が楽しみだ〜(厳密には競馬法違反ですが……)。

 今後の大井競馬の日曜ナイターは、8月28日、9月25日、10月9日、10月30日の4回。9月以降は中山や東京からハシゴもできる(10月10日も可能です)。個人的に「大井競馬はいつでも行ける」なんて思って突撃回数が減っていたところだったが、トゥインクル開催はなかなかエキサイティングであるということを、日曜日の大井開催で改めて感じさせられた。となれば、また次の開催も突撃してみるか!
25周年

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グリーンチャンネル・中央競馬中継キャスターを経て、4月からは同じくグリーンチャンネルの新番組「競馬ワンダラー」の案内人を務める。そのほかにも生産牧場や育成牧場の取材、執筆、各地の競走馬セリ市の進行役も。3月には単行本「廃競馬場巡礼」を上梓。競馬のよき語り部としての研鑽を積んでいる。

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