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園田競馬場

  • 2011年10月19日(水) 18時00分
 大柿一真騎手が9月22日の園田プリンセス賞で重賞初制覇を飾り、その表彰台で優勝騎手インタビュー担当の竹之上次男アナウンサーが発したのが、「大柿騎手が何か言いたいことがあるそうです」という言葉。

 それを受けて、大柿騎手は表彰台の上から彼女に向かって公開プロポーズをしたという話題は、多くのスポーツ紙にも掲載された。

 姫路市在住の彼女に仕事を休ませて「観にきて!」と頼み、そして自分は重賞初勝利をかけてグリグリ人気の馬に騎乗。ただでさえプレッシャーがかかる断然人気馬への騎乗なのに、自分でさらに重圧をかける物件を持ち込んでしまうとは。普通なら「負けたらどないしよ……」と思って躊躇してしまいがちだ。

 しかし弱気にならず、自分の青写真のとおりの結果を実現した大柿騎手はエライ!

 というか、負けたらまず客が許さないし(そんな事情があったことは、間違いなく公には知らされないだろうけれど)、大柿騎手自身の運命も大きく変わっていたはずだ。そう考えると、あの日の大柿騎手には神が舞い降りていたということでしょうなあ。

 下原理騎手のメイレディがクビ差届かなかったのも、すべては『神様のおかげ』なら説明がつく。そんなヒキの強さを持っているのなら、もっと飛躍できるはず。ガンバレ、大柿一真騎手!

一世一代のプロポーズをした大柿一真騎手

 と思うのはやまやまだが、今の兵庫は木村健騎手の独壇場で、勝利数のみならず勝率と連対率も年間1位がほぼ間違いなし。騎乗回数こそ川原正一騎手のほうが少し多いが、築き上げたその牙城は当分の間、安泰だろう。つい数年前にインタビューしたとき、「もうすぐ1500勝ですね」と声をかけたというのに、今の調子なら来年は2500勝達成が確実。この勢いがあと20年続けば、佐々木竹見さんの記録に手が届くかも?

 今年の兵庫の競馬は10月18日終了時点で1445レース行われていて、木村、川原、田中学、下原の4騎手が挙げた633勝が全体の43%を占めているという状態。兵庫所属騎手は30名ほどいるが、立ちはだかる壁が大きすぎるためか、早々に引退してしまう騎手も多い。騎手で馬券は買いやすいけれど、兵庫の競馬はこのままの状況が続くのだろうか?

 競馬新聞を読みながらそんなことをしみじみ考えつつ、ゴール近くにある「そのだ屋」に入る。なんとなく今日はラーメンという気分だったので、「中華そば」を注文してみた。ついでにおでん2個も。

そのだ屋の中華そばはスープも美味

 オヨヨ、出てきた「中華そば」は、想像と違う透明なスープ。まず飲んでみると、塩ベースという感じだけれど、そのなかに甘さが潜んでいるような、舌ざわりだけでは分析しにくい味がする。うーん、この甘さの素はなんなんだ……と考えていたら、すっかりドンブリが空になってしまった。体に悪いっつーの。でも、いったい何がこの味の秘密なんだろう!?

 というのはいずれまた探求するとして、とりあえず馬券を買わなきゃ。「そのだ屋」を出て新聞に目を落としながら歩き、ふと顔を上げたところで見つけたのがこの看板。

『……悪質な「ノミや」「コーチや」です』

赤文字を基調とした? 大胆な看板

 自分自身、コーチ屋に声をかけられたことは過去に2回あるけれど、まだそういう人ってこの世に現存するのかしら?

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グリーンチャンネル・中央競馬中継キャスターを経て、4月からは同じくグリーンチャンネルの新番組「競馬ワンダラー」の案内人を務める。そのほかにも生産牧場や育成牧場の取材、執筆、各地の競走馬セリ市の進行役も。3月には単行本「廃競馬場巡礼」を上梓。競馬のよき語り部としての研鑽を積んでいる。

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