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園田競馬場

  • 2011年10月26日(水) 18時00分
 先日も園田競馬場に突撃したばかりだというのに、またまた園田競馬場に突撃。しかしスケジュールの都合で、到着したのは午後2時半。タダバスから降りて競馬場横のコンビニに直行し、スポーツ紙を手に入れてから突撃だ!

 というタイムロスをしていたら、締め切り直前の音楽が絶好調で流れているぞ。ええい、とりあえず自分の新聞を開くのはあとにして、となりのおじさんの新聞を横目でのぞいて馬券を買うか。2頭軸の3連単と3連複だ。

 と、急いでマークカードを塗っている途中に締め切りベル。でも大丈夫、園田は締め切りベルが鳴ってもしばらくは馬券が買えるのだ。「早めにベルを鳴らして買い漏らしを減らす」という政策は売上面を考えたらどの競馬場も絶対にやるべき。JRAだって締め切りのベルが鳴ってからしばらくは馬券が買えるのだから。

 というシステムのおかげで無事に購入。運がよけりゃ当たるかな? おおっ、まるで人気のないヒャクマンゴクが粘っているぞ。それはヒモに入れてある!

 よかったよかった、3連複は的中だ。しかしサイフから馬券を取り出してみると、4番と5番の2頭軸で買ったはずの馬券が3番と4番の2頭軸になっていた。えええ? まさかまさかの塗り間違い?

 ……塗り間違いでした。せっかく9番人気のヒャクマンゴクが頑張ってくれたのに〜。

 うーむ、最近どうも流れが悪い。昼食はまだだし、気分転換にフードコートにでも行くか。と、場内をダラダラ歩くと、食堂街にある「あたり屋」に目が行った。飲食店の屋号で「あたり」というのはいかがなものかと思うのだが、いいや、ここにしてみよう。注文するのはゲンをかついでカツ丼じゃ!

園田競馬場「あたり屋」のカツ丼

 おおっ、清く正しい日本のカツ丼ではないですか。カツも厚いし、なんだか蕎麦屋のカツ丼みたい。これはゆっくり食べたいな、ということで次のレースの馬券はケータイで買うことにした。

 電話投票を終えて再びカツ丼に熱中するも、具の部分は満足できるボリュームなのだが、どうもごはんが少なめだ。ということでメニュー表に書いてある「ライス」を注文。それがどんな量なのかわからないので「大盛」と言ったら、「大盛は多いと思いますよ〜」と返ってきたので素直に普通盛にしてみた。

「なあ、商売っ気がないやろ」

 と、おでんコーナーにいたおばさん。まあいいじゃないの、損して得取れって言葉もあるんだし。で、出てきたライスはちょうどいい量で安心。それを食べながら店内のテレビでレースを見れば、おお、3連単が大的中。これもカツ丼効果かな?

 さっきの塗り間違いのダメージから回復して、メインレースは心に余裕がある勝負。そして最終レース後は、アルドラゴンの引退式だ。

 まずは表彰台で馬主さんと田中範雄調教師のインタビュー。師は声を詰まらせながらインタビューに答えていた。

田中範雄調教師

 そして、アルドラゴンが馬場に入場。六甲盃を勝ったときのゼッケンをつけてスタンド前までゆっくり歩き、そして反転して馬場をゆっくりと一周。その姿には大きな拍手が起きた。まだまだ現役でやれるぞという声も飛ぶ。それもそうだ。勝って引退という形なのだ。なんだかもったいない気がするなあ。

アルドラゴンの勇姿

「この引退式に備えて、1週間ほど乗馬クラブへ修業に出しました。厩舎にいるとどうしても気合が乗ってしまうから、お客さんの前を常歩でゆっくりなんて無理やからねえ」

 と、師。引退式でつけたゼッケンの六甲盃は、2400m戦なのに返し馬で暴走しかかり、木村健騎手が「これじゃあ2400mなんてもたないよ」と思ったにもかかわらず勝ったというレースである。その元気さは今も健在。そう考えるとさらにもったいない!

 でも、目には見えない部分もあるのだろう。引退式を終えて師は「また強い馬を育てますよ」とコメントしてくれた。アルドラゴンはオーナーの親族の方の個人所有馬として乗馬クラブで暮らすとのこと。ゴール板を背に記念写真を撮り、スタンド横のウイナーズサークルでファンへの挨拶を終えたヒーローは、静かに厩舎方向へと帰っていった。

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グリーンチャンネル・中央競馬中継キャスターを経て、4月からは同じくグリーンチャンネルの新番組「競馬ワンダラー」の案内人を務める。そのほかにも生産牧場や育成牧場の取材、執筆、各地の競走馬セリ市の進行役も。3月には単行本「廃競馬場巡礼」を上梓。競馬のよき語り部としての研鑽を積んでいる。

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