昨年の12月3日から川崎競馬場でJRAの勝馬投票券を買えるようになった。これまでJRAの馬券を地方競馬の施設で売る例は盛岡、水沢の両競馬場をはじめとする岩手競馬のいくつかの施設や、姫路、佐賀、荒尾競馬場、そしてBAOO高崎などがある。
私も地方競馬の施設でJRAの馬券はたびたび買っているが(昨年の有馬記念は前日に佐賀競馬場で買いました)、地方競馬とJRAは買う場所が別。それが川崎競馬場では、地方競馬の馬券を売っている機械が、そのままJRAの開催日でも活躍しているのだ。JRAの施設で地方競馬を売るときはJRAの機械で地方競馬の馬券を売っていたわけだが、その逆となると初めてではなかろうか。
そして川崎競馬場はこのことによって、年中無休で馬券を売る施設になった。うーん、なんてトレビアン。私はかつて、元日に「初詣だ〜」と意気込んで高崎競馬場に突撃したら、競馬場がシャッターで密閉されていたという大惨事を食らったことがある。そんな空振りをしてしまう人が皆無な世の中になることが私の夢のひとつになのだから、今の川崎競馬場はまさに我が意を得たりという感覚だ。
という状況なので、昨年の「全日本2歳優駿」のときにはカツマル君とターフィーが川崎競馬場で競演。優勝騎手よりこちらのほうに注目が集まっていたような気も!?
ちなみに南関東が週末に開催する場合は両方の馬券を発売するそうだが、同じ発売機でどちらも買えるわけではないとのこと。それでも同じ施設で馬券が買えるなら、ハシゴする人だって増えるはずだ。2012年は川崎開催が土日に2回実施される予定になっているから、そのときは1日まるごと競馬場で過ごすというのも面白そう。特別観覧席は昼夜通し券という形になるのかしら?
しかしながらJRA発売時の川崎競馬場には、1日平均で9000人以上もの来場者があるというのだから驚きだ。土日は無料バスが運行されていないのに……。JRA発売日は来場者の滞留時間が短いという傾向はあるらしいが、それでもここで馬券を買った人の多くは「本来なら馬券を買っていなかった」であろう人。その意味でも需要の拡大にはつながっているわけで、こうした相互乗り入れが全国的に広がっていくことを期待していきたい。
需要が拡大しているのは、場内の食堂や売店も同じ。とある食堂は12月の川崎開催のときは閉店していたのに、その週の土日は張り切って営業していたという情報も……(汗)。
それでもトータルでプラスになるなら喜ばしいこと。川崎競馬場には食の名物が多いから、これまでJRAの施設でビミョーな食事をしていた人からすると(失礼)、それだけでも来場モチベーションにつながっていくはずだ。
その名物のひとつが、パドック横の売店にあるコロッケとチキンカツ。両方ともソースをかけないで食べたのだが、基礎の味つけがしっかりしているから十分すぎるほどにおいしいから、これを食べただけでも来てよかったなという気分になれる。
かつて指定席券を手に入れるために人々が長蛇の列を作った3号スタンド1階の大半は、現在は駐輪場になっている。そんな変化が縮小均衡への道だと感じられて寂しい気持ちになったものだが、そこは逆に「楽しさが濃縮される」と考えればいいのかも。日本には「JRAしかやらない」という競馬ファンがあまりにも多い。地方競馬でJRAの馬券が買えるということが、そのカベを少しずつ低くしていくことにつながってほしいものだ。