スマートフォン版へ

浦和競馬場

  • 2012年02月01日(水) 18時00分
 2月19日(日)から浦和競馬場でもJRAの勝馬投票券を発売することが発表された(当面の間は日曜日と祝日のみ)。私は埼玉県民をかれこれ15年近くやっているのだが、これがもっと早く始まっていればなあと思わずにはいられない。なんてったって、私の自宅から中山競馬場までの電車賃は往復で2千円近く。東京競馬場へも1500円以上かかる。これに新聞代を加えると、常に2千円ほどのマイナスから勝負を開始しなければならないのだ。これって心理的に大きな負担になるのよね。

 だから、うちの近所にある売れ残ってしょうがない工業団地とか、東北上越新幹線の高架下とかにウインズができればいいのに……というのが長年の願望だったのだ。しかしそんな気配はまったくなし。その一方で、岡部町と栗橋町にはボートピアが完成。競艇にできることが競馬はなぜできんのか。そんな憤りばかりが胸の奥にあったのである。

JRAの馬券販売が始まる浦和競馬

 しかしながら、今は電話投票全盛だからなあ。とはいえ客単価を考えれば、やめたいときにすぐやめられる電話投票より、一か所に囲い込んで馬券以外の選択肢を少なくさせる現金投票のほうが主催者にとってはベターなはず。その意味でも浦和競馬場でJRAの馬券を買えるというのは、競馬産業全体にとって歓迎すべき話だろう。

 ちなみにJRAの馬券を発売するエリアは「浦和競馬場内の2号スタンド1階、3号スタンド1階〜5階、第7投票所」とのこと。つまり、浦和競馬場で一般客が入れる場所にある発売機はすべて、JRAの馬券を買えることになるらしい(唯一の例外は2号スタンドの5階にある馬主席エリア)。ということは、川崎競馬場よりも発売の規模が大きいということになる。さらには通常は無料で使える駐車場も、JRAの発売日は有料になる模様。てことは、浦和競馬組合はかなり儲かるってわけじゃありませんか!

 となると、場内の売店や食堂も大繁盛することになるのだろうなあ。浦和競馬場でハバをきかせている食べ物といえば「フライ」だが、JRAの競馬場などではなかなかお目にかかれないB級グルメで、浦和になんか来たことないという中央競馬ファンをしびれさせてあげましょう。

 さあて、じゃあ自分も2月19日以降に大繁盛するはずの食堂で、ゆっくり食事をするかなあ。

 4コーナー寄りにある3号スタンドの3階にある食堂は、以前はラーメン店だった。それが今は蕎麦も提供する居酒屋になっているのだ。そして、そこで提供している蕎麦は「へぎ蕎麦」。新潟県魚沼地区の名物である「布海苔」をつなぎに使っている蕎麦なのだ。

 ということで、その店「一馬」に突撃! さっそくへぎ蕎麦を注文すると、「少し時間がかかります」とのことだったので、これまた浦和名物の「キュウリの一本漬け」(100円)も注文。串刺しされたキュウリを食べながら待つことにしましょうかね〜。

 と思ったら、キュウリを2口かじったところで早くも蕎麦が運ばれてきた。さっそく器のなかを覗いてみると、おお、確かにへぎ蕎麦らしい、緑色がかった蕎麦じゃないの。

へぎ蕎麦&キュウリの一本漬け

 と、ここで失敗したことに気がついた。へぎ蕎麦は基本的に冷たい蕎麦で食べるもの。温かい蕎麦が400円で冷たい蕎麦が500円という値段を見て、ついつい「温かいの」と言ってしまったよ……(単なるケチ)。でも、温かいのでも味は良好。ときどきキュウリで口の中を冷やしてリセットして、これはなかなかの黄金コンビかもしれないなあ。

 それにしても浦和競馬場には、「2月19日からJRA発売!」などの看板や掲示物がほとんど見当たらない。この商売っ気のなさが浦和競馬らしいというかなんというか……。それでもいざウインズ浦和として機能しはじめたら、かなりの賑わいを見せるはず。なんてったって、700万埼玉県民が夢にまで見たJRA場外なのだから。そして、競馬はやるけれども浦和競馬は未経験という人々に(私の友人に、地方競馬は怖いから行かないという人がいるのです)、地方競馬の味わい深さを知ってもらえるきっかけになってくれればと思うのである。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

グリーンチャンネル・中央競馬中継キャスターを経て、4月からは同じくグリーンチャンネルの新番組「競馬ワンダラー」の案内人を務める。そのほかにも生産牧場や育成牧場の取材、執筆、各地の競走馬セリ市の進行役も。3月には単行本「廃競馬場巡礼」を上梓。競馬のよき語り部としての研鑽を積んでいる。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング