今年の3月下旬に、落語家の快楽亭ブラック師匠から相談を受けた。
「名古屋競馬場で協賛レースをやりたいんだけれど」
実施希望日は5月4日。祝日の上にかきつばた記念が行われる日だから、これは早いうちに予約しないと枠が埋まってしまいそうだ。ということで、さっそく師匠にはレース名を決めていただくようにお願いして、その間に私は名古屋競馬場に冠協賛レースの空き状況を確認。「予約はできないですが、現状ならまだ余裕がありますよ」という言葉を受けて、翌日に名古屋競馬場のホームページから「個人協賛競走」を申し込んだ。
快楽亭ブラック師匠
ちなみに名古屋競馬場での実施条件は、「馬主、調教師、騎手、厩務員の4名分合計で1万円分以上の品物」となっている。冠協賛レースに申し込む人は、たいてい商品券などを選択するらしいが、快楽亭ブラック師匠は「落語」という資産をお持ちの方。
ひとつめの「快楽亭ブラック還暦記念」には、落語のDVDを賞品に。ふたつめの「立川談志の正体・増刷記念」には、そのレース名である本と落語CDの2つを提供。これで両方とも定価ベースで1人あたり2500円を大きく上回ることになるわけだ。しかし申し込みから数日後、名古屋競馬場から連絡が。
「品物だけというのはちょっと……」
ということで、急遽クオカードも追加でセット。同時に申し込んだ「オリジナルゼッケン」の代金と賞品を名古屋競馬場に郵送し、あとは当日を待つのみとなった。
そしていよいよ5月4日。師匠は11頃には競馬場に着いていて、まだ移動中だった私の携帯にさかんに電話がかかってきた。「今日の段取りが書かれている紙を家に置いてきちゃったんだけど」
レース名がモニターに
冠協賛レースは13時30分発走だからまだ余裕があるが、私も12時過ぎに競馬場に着いて速攻で師匠と合流。取り急ぎウイナーズサークルに行くと、ちょうどその場に担当者さんがいたので段取りを聞くことができた。あとは馬券を買ってレースを見守り、確定後にウイナーズサークルに集合すればいいだけだ。
ということで、私も馬券発売機の列に並んだ。そしてふと見上げれば、モニターにレース名が表示されている。しかしこんな安価でレース名がつけられていいのかしら? 馬券にもレース名が入るから人の目にはたくさん触れる。これなら演歌歌手のキャンペーンなどにもっと利用されていいと思うのだけれどなあ。それで場内で1曲唄うとか。客層とは完全にピッタリだし、CDもきっと売れるはず!
快楽亭ブラック還暦記念
立川談志の正体・増刷記念
ということで、師匠も名古屋競馬場で一席……というのは無理な話。歌と落語とでは所要時間がまったく違うのだから仕方がないですな。それでもウイナーズサークルでの表彰式を終えたところで、色紙を持ったファンがやってきた。
快楽亭ブラック師匠は東京が活動のベースだが、名古屋でも月に10日前後、大須演芸場に出演している。ということで、この日は競馬場に大須演芸場で出演している芸人さんや、常連のお客さんも来場。
冠協賛レースに申し込むと、特別観覧席のチケットを6枚もらえるので、友人知人を競馬場に誘うきっかけにもなる。2つの冠協賛レースが終わってからは特別観覧席内の食堂で酒盛りが始まったが、最後の2レースは店を出て全員で馬券対決! 名古屋競馬場の売り上げが協賛レース実施のおかげで少しは増えたかな?
「個人協賛競走」を申し込めるのは、船橋、川崎、名古屋、笠松、金沢、福山、高知の各競馬場。ぜひみなさんも「冠協賛レースのオーナー」として、馬柱にレース名を刻みましょう!