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「GIに乗りたい」川須騎手ご指名対談〜浜中俊騎手編(3)

  • 2013年03月20日(水) 18時00分
 浜中騎手をゲストに迎えてのご指名対談第3回。ローカルを中心に戦い、勝ち星の数を追求した2年目、“重賞を勝つ”という目標をきっちりクリアした3年目、では4年目の目標は…。「もっとGIに乗りたいし、大きいところを狙っていきたい。でも…」と思い悩む川須騎手に、今回も熱い浜中節が炸裂!

■年齢やキャリアではなく、「今、自分がどうしたいか」

──福永さんと浜中さんが、「川須はもっと中央で乗ればいいのに」とお話されていたとのことですが、それを聞いて、川須くんはどう思いますか?

GIに騎乗したい

GIに騎乗したい

川須もっとGIに騎乗したい、大舞台を経験したいという気持ちがあるので、そのためにはもっと中央で乗らないといけないんだろうな、とは思います。でも、中央で乗ると、どうしても馬の質が落ちるので…。誰を乗せようかという話になったときなど、やっぱり勝ち星の数も大事だと思うんですよね。

浜中 僕も同じことで悩んだ時期があったよ。やっぱり数を勝ちたかったから。中央だと、どうしても馬の質が落ちるし、頭数も集まらないかもしれないし…って。ただ、僕は3年目から中央をメインにしようって決めた。

川須 それは浜中さんご自身で決められたんですか?それとも、どなたからかアドバイスがあったとか?

浜中 自分で決めたよ。GIに乗りたい、GIを勝ちたいと思ったら、そこにつながる重賞は中央にあるわけで、そういう馬にめぐり合うチャンスも中央のほうが多いでしょ? それに、リーディング上位の先輩たちは、大半が中央にいる。そういう先輩たちと一緒に戦って、技術を盗みたいと僕は思った。

川須 そうですよねぇ…。

浜中 ローカルを主戦場にするのがダメだっていっているわけじゃないよ。でも、たとえば川須が乗っていた馬が中央の重賞に出ていたりすると、なんで乗りにこないのかなって思う。大きいレースを勝ちたいという目標があって、そのためにステップアップしようと思ったら、やっぱりリーディング上位の先輩たちがいるなかでひとつでも勝ち星を取っていくっていう、そういう時期に来てるんじゃないかなぁって思うんだよね。勝ち星にしても重賞勝ちにしても、川須はもう下地があるんだから。やっぱり迷いがある?

川須 そうですね。2年目に“数を勝つ”という目標をクリアしたことで、3年目を待たずに減量が取れたんですけど、勢いで勝ちすぎた部分が大きかったと思うんです。技術が伴って減量が取れたのならいいんでしょうけど、そうじゃないっていう不安もありまして。

浜中 冷静に自分を見てるんだね。

川須 すごく冷静です。でも、技術を磨くのならいろんなところで乗らなければいけないと思って、去年は年明けの小倉が終わったあとは中央で乗るようにしたんです。その年明けの小倉で初めて重賞を勝つことができて、いいスタートが切れたんですけど、やっぱり中央にきたら勢いが鈍って…。

自分をシビアに見てほしい

自分をシビアに見てほしい

浜中 そこは超えなければいけない壁だよ。僕はたしかに運が良かったし、これだけ順調にこられるのは珍しいことだと自分でもわかってる。わかった上で後輩に言いたいのは、自分をシビアに見てほしいっていうこと。川須はある程度、自分を冷静にとらえられていると思うけど、僕は中央をメインに切り替えたとき、そう簡単に勝たせてもらえないのは当たり前だと思った。でも、GIを勝ちたいっていう目標を達成するためには、厳しくてもそこで戦っていかなければしょうがないって。さっきもいったけど、川須は十分下地もできているし、自分に挑戦していくっていう気持ちをね、優先したほうがいい時期かなとは思うけどね。そういう存在だと思うから。

川須 はい…。GIに乗りたい、GIを勝ちたいっていう気持ちはもちろんあるんです。でも、中央ではやっぱり勝てない、だからローカルに戻ろうってなるのは嫌なんです。だったら、まだ4年目だし、そんなに慌てる必要はないんじゃないかなぁって思ったり…。僕、自分に甘えているのかもしれませんね。

浜中 僕は、自分はデビューして何年目だからとか、一度も考えたことないよ。“まだ若いから”ってよくいわれるけど、そんなの関係ない。リーディングを獲ったことにしても、24歳っていう年齢を引き合いに出して評価されるのがすごくイヤだった。それこそ、ユタカさん(武豊騎手)なんて、もっと若くして獲ったわけだからね。自分をシビアに見てほしいっていうのは、そういう意味もある。大事なのは、自分がどうしたいかでしょ? でもまぁ、決断のタイミングなんて人がどうこういうべきことではないけど、少なくとも、3年目だから、4年目だから…っていうのを理由にするのはダメだと思う。

川須 そうですよね。自分のなかに、最低でもこのくらいは勝ちたいっていうラインがあるんですけど、きっと今の僕には、中央をメインにしたとき、その最低ラインの数を勝てる自信がないんでしょうね。だからこう、パッと切り替えられないというか。

浜中 そうなのかな。たしかに、人が評価するほど簡単ではないよね。難しいことだと思うし、迷っている川須の気持ちもすごくわかる。僕の場合は、GIに乗りたいっていう目標がはっきりしていたから、迷わなかったのかもしれないね。だから川須も、自分が今、どこを目指しているのかをハッキリさせることが先決だと思う。

川須 そこなんですよね。2年目、3年目って目標をクリアできたんですけど、じゃあ次の目標はとなると…。

浜中 いっぱるあるでしょ。ないの?

川須 今年の段階では、まだ“GI”っていう言葉は出てこないんですよね。出てこないというより、今の僕はまだいえないです。

浜中 思った以上に、川須って冷静なんだな。

川須 目標がパッと出てこないから、いろんなことで迷っているんでしょうね。

【次回のキシュトーーク!は?】
浜中騎手をゲストに迎えてのご指名対談最終回。浜中騎手にとって飛躍のきっかけとなったスリーロールスやショウナンマイティのエピソードや、世代交代の旗手として、後輩たちに伝えたいことなど、ジッと聞き入る川須騎手を前に、若きリーディングジョッキーが熱く語ります!

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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