札幌で見つけた新セオリー「トレセン経由の入厩馬を狙え」/トレセン発秘話
◆ローマンレジェンド、クリノスターオー、キャトルフィーユの共通点
エルムS→クイーンSと開幕から2週連続で重賞が施行された札幌開催で、注目すべき“新セオリー”が誕生している。それは「トレセン経由の入厩馬を狙え」。象徴的だったのは開幕週のGIIIエルムSだろう。
1着ローマンレジェンド、2着クリノスターオーはともに栗東で入念な乗り込みを消化後、函館競馬場に入厩した。後者は函館ウッドでの最終追い切り(上がり42.2-13.7秒)こそ冴えなく映ったが、調教パートナーの中塚助手の言葉はその不安を一掃するに十分な説得力を有していた。
「稽古、実戦ともに真剣味に欠ける馬。特にコースの追い切りは難しくなるだろうと予測して、栗東の坂路で十二分に負荷をかけてきた。追い切りはチグハグになったけど、それも織り込み済み。態勢は十分ですよ」
クイーンSの優勝馬キャトルフィーユからも本気度がビンビンと伝わってきた。最終追い切りで稽古駆けするディアデラマドレを先行させた併せ馬は意欲的だったし、こちらも栗東でしっかり攻めてから函館に入厩したクチだ。これは偶然の共通項? いや、それが「ノー」であることは、ゴールドシップの調教をつけるため函館から栗東へとんぼ返りした須貝厩舎=北村助手の言葉が代弁しているように思える。
「函館のウッドは小回りのため、負荷をかけるのが難しい。使っている馬ならともかく、休み明けとなると息を作るのも簡単ではないんです。しかもオープン馬となると、ここだけで仕上げるのは難しいでしょうね。ゴールドシップを函館に直入させないのも、そんな理由があるから。札幌記念に向けて、栗東で土台を作ってから函館に連れてきますよ」
この言葉を聞く限り、ゴールドシップにとって札幌記念も凱旋門賞への単なる“場つなぎ”ではない? こちらも今夏のトレンドたる栗東経由の函館組。北村助手が函館に戻ってきた際は、別掲の“栗東最終追い”の感触をまずはじっくり聞きたいものである。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)